シュレーダー首相の社会民主党(SPD)と野党のキリスト教民主同盟(CDU)は、大連立政権を樹立することで合意、次期首相にはメルケルCDU党首が就任することになった。
が、
毎日新聞の10月14日の社説では「愛なき結婚」でいいのかと書かれる始末。
SPDとCDUが、連立とはね。革新=SPD 支持層 雇用者 保守=CDU 支持層 労働者層など被雇用者 という縮図だもんね。
付加価値税(消費税)の造成と、所得税最高税率を、CDUが訴えれば、SPDは、金持ち優遇策だと真っ向から対立。SPDが、トルコの欧州連合(EU)の加盟を支持すれば、CDUは反対。
どこをどう協調、妥協していくというのか?
SPDは、CDUのメルケル氏が次期首相となることを合意して、SPDが財務・労働・保健など主要な閣僚ポストを握る手はずで、これでは、メルケル女史は、お飾りに選ばれたという感があるなあ。
メルケル女史は、地味な印象があるが、それは、彼女が、旧東ドイツ出身であることが、影を落としている。
牧師の父が、東ドイツの教会を任されたのに伴い、幼い頃に移住。東ドイツで、牧師一家というと、秘密警察の監視下に置かれた。西ドイツと通じて自由な考えを広める者として「異端者」扱いされたのだ。インテリで、脅威に感じるからこそ、疎まれる存在になったのだろう。それでも、後ろ指をさされないように、優秀な成績を修めて少女は応えた。「ロシア語の通訳になりたかったが、牧師の娘では、限界があり、政治には無関係な物理学を選んだ」と自ら語る。
西ドイツと全く違う政治体制のもとで育った彼女に、統一ドイツは、どう映るか?
優秀なだけじゃ、政治の世界は、渡れない。
彼女に舵取りをさせて大丈夫かと危惧するドイツ人もいても不思議でない。
酸いも甘いもかみわけたという感を与えるシュレーダーは、国民にとても人気がある。彼に続投を望む声も高い。
彼女の険しい表情から、したたかなゆとりのある表情が浮かぶことを、期待する。
小池百合子さんを見よ。「世界中の女性で、したたかでない人なんていませんよ。そもそもしたたかでない政治家なんて、政治をやめたほうがいい」週刊文春10月20日号
船出は、これからだから。