あと、加羽沢 美濃の映画音楽は、本当に、映像の邪魔にならず、俳優の気持ちに寄り添うような音楽で、耳に心地よい。主題歌の平原綾香の「Etenally」も、歌詞もよかったし、いつもより高い中音で歌われるサビが、何ともドラマチックだ。
それと、この「四日間の奇蹟」の舞台となった山口県の角島というところは、本当に、ユートピアのような美しい島で、ここだからこの奇蹟が起きたことが、信じられる。最後のエンドロールで、この島をゆっくりカメラが追っていき、全景を映して行ったのは、印象的。教会のセットが、まだ残っているというが、観光客が詰めかけるだろうな。
作品自体は、俳優のリアルな演技を積み重ねた演出で、ファンタジーでありながら、絵空事でない重みを感じさせ、『世界の中心で、愛をさけぶ』や『いま、会いにゆきます』といった既成のラブファンタジーとは一線を画す作品になっていると思う。
死を目前に、今まで生前に交流のあった人に、感謝するというちょっと気恥ずかしい、でもそうしたいと誰しも思う生き方の理想を、正攻法で、丁寧に作り上げている。今流行の派手な超大作とは、真逆のささやかな物語であるが、そこが、佐々部監督の真骨頂である。
助監督を長くつとめた佐々部監督は、40代になって、破竹の勢いで作品を撮っている。去年アカデミー賞作品賞を獲得した「半落ち」のあとの本作で、6月4日の封切り以降、これからどのような評価を得るのだろうか。見守っていきたいと思う。
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