ショップ ダンケ

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私の父

2007-01-27 22:11:37 | 徒然草

思いやりのある人、ジェントルマンだった。

晩年、目が悪くなったことが、受け入れがたいようだった。
77年、役にたってきた目だったから。
いくつも病気を抱えていたけれど、直前まで、うちで穏やかに過ごせた。
父の世話をしてくれた兄家族に、感謝。

末っ子の私は、叱られた記憶がない。
普段は、仕事一途で、子供の頃、遊んでもらったりしたわけでないけれど、その背中に守られてきた。

幼い頃、新しい洋服を買ってもらったとき、必ず着て、父に見せに行った。
「おお、かわいいよ。似合っているよ」と誉めてもらうのは、他の誰に誉めてもらうより格別だった。

娘時代は、友達と遊んで夜遅く帰ってくる私を、しょっちゅう駅まで迎えにきてくれた。
さすがに続くと、不機嫌そうで、車のなかで小さくなっていたものだ。

勝手に、就職先を決め、そして辞め、添乗員のようなヤクザな仕事に就いても、黙って見守っていてくれた。あの時も、毎回、空港に送ってもらったっけ。

音楽など縁のない人だったのに、母に引きずられて、しぶしぶ尺八を習った。母のお琴と父の尺八の合奏がうちの中に、響いてくるのを、聞くのが好きだった。

夏が来る前に、家族に看取られ、苦しむ時間も短く、母の元へ旅立った。
病院からの帰り、咲き誇る紫陽花を見たとき、母が迎えに来たのだと思った。
紫陽花は、母がこよなく愛した花だった。

私は、貴方の娘に生まれたから、幸せ。
私が好きになる男性は、いつもどこか、貴方に似ている。
お父さん、ありがとう。

Mein Vater

Ich bin glueckglich, weil ich als deine Tochter geboren bin.

Die Maenner, die ich liebe, sind immer etwas dir aehnlich.

Vati, Ich bin ganz dankbar fuer dich.


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
このブログにコメントしたいのだけれど (らっく)
2007-02-01 23:16:53
このブログにコメントしたいのだけれど
気持ちをまとめられなくて、今は無理かな
もう少ししたら書きたい。そのときは読んでやってくださいな。
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父が亡くなって、しばらく経ったので、父との思い... (カッチイ)
2007-02-03 07:27:39
父が亡くなって、しばらく経ったので、父との思い出が語れるようになりました。

時間って、ありがたいですね。悲しみも、癒してくれます。

私見ですが、父親といい関係を結べている娘と、母親といい関係が結べている息子って、ハッピーなことが多いと思うのです。
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素敵なお父様だったのですね。息子にとっての父親... (ひろみつ)
2007-02-03 13:34:13
素敵なお父様だったのですね。息子にとっての父親は矛盾の塊のような複雑な存在ですが、娘にとってはどうなのかなと思うことが時々ありました。

お父様のいい思い出が君を守ってくれますように。
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そうねえ、父親と息子って、母親と娘って、ある意... (カッチイ)
2007-02-04 00:14:54
そうねえ、父親と息子って、母親と娘って、ある意味ライバルだから、難しいのかもねえ。

お見舞い、ありがとう。私の父くらいの年代の人って、日本の復興期を支えた人たちですよね。「Always3丁目の夕日」の世界かな。あの映画は、私の父親たちくらいの年代も、映画館に通わせたらしいですね。
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