木地師さんに発注していた新しい椀の木地が到着。
まずは傷見(きずみ)をします。
一個一個天然の木から削り出された木地は、一つ一つ個性があります。
同じ工程で塗ると、製品差・個体差のようなものが出てきます。
傷を見ながら、完成時の製品差・個体差を均一に近づけるために、
個性ごとに仕分け、それぞれの工程を検討します。
塗りの作業工程の中で、重要な、時間のかかる作業です。
傷見を終えたら、少しだけ木地を調整(削ったりやすったり)して、
木固め(きがため)をします。
木地に漆を含浸させ、防水性、強度を上げます。
今回は黒く染めます。
カーボンや顔料で漆を黒くする方法もありますが、
私は松煙(しょうえん)を使います。
これは松材を燃やした時に出る煤で、非常に粒子が細かく、
また人体に無害のようです。
生漆(漆のほぼ採れたままの状態)に松煙を混ぜ、いくつか別種の
漆もブレンド、テレピンで希釈し、木地に含浸させます。
私の場合、漆が硬化後、表面を空研ぎしてもう一度木固めしています。