その昔、天智天皇が琵琶湖の南の方に狩りに行った時に、休憩するために立ち寄った場所にとても元気な老夫婦がいて、どうしてそんなに元気なのかと訳を尋ねたら「このおいしい実を食べているから」とアケビに似た実を差し出した。
その実を食べた天智天皇が「むべなるかな(いかにもその通り)」と言ったから、それが「ムベ」の名前の由来になったという説がある。
また別の説では、宮中への貢ぎ物として献上されていた時の名前が「包且(おおむべ)」と呼ばれていたので、それが「ムベ」になったとも。
どちらにしても大昔から存在していたものだということが分かる。
[葉はアケビにそっくり]
「ムベ」を初めて見たのは九州を旅行した時だった。
数十年前のことになる。
熊本や鹿児島で、生け垣や日よけのためのグリーンカーテンとしてこの木が使われていたのを見た時だった。
その時は夏だったので葉っぱしか見ていなかったので、てっきりアケビだとばかり思っていた。
その頃、関東地方の山野にはアケビはたくさんあったが、「ムベ」は見たことがなかった。
でも、どこかのサービスエリアでその木に名札が付いているのを見て、初めてそれが「ムベ」だと知った。
調べてみると、やっぱり「ムベ」は暖地性の植物で、温暖化によって徐々に北の方に広まってきたらしい。
そのため、今では東北地方でも栽培できるようになったということだった。
学名:Stauntonia hexaphylla
英名:Japanese staunton vine
別名:トキワアケビ、ウベ
科名・属名:アケビ科 ムベ属
原産地:日本、朝鮮半島、台湾
別名のトキワアケビは冬になると葉が落ちてしまうアケビに対して、ムベは一年中緑になっているから。
そして、葉っぱは木がまだ小さいときは3枚、そして長ずるにつれて5枚、実が生る頃には7枚となるので「「七五三の縁起木」ともいわれている。