何気なく見ていた韓国ドラマ『チャングムの誓い』に「クララ」という言葉が出てきてビックリしました。
このドラマの中で薬草の話があった時のことでした。
「クララ」は根の部分が生薬として用いられているので話の中に出てきたのでした。
韓国語でも「クララ」と言うのかな? などと思ったのですが考えてみたら見ていたのは日本語訳版でした。
今だったら「クララ」が咲いているかもと思い、以前に見つけたことがあった場所に行ってみました。
やっぱり咲いていました。
クララ~♪、アルプスの少女を思い浮かべる可愛い名前なのですが、それに似合わず素朴で地味な花です。
実はこの名前、根に苦みがあるから「苦辣(くらら)」、食べると目が眩んでしまうから「眩草(くららくさ)」というところから付いたようなのです。
立派な日本語なんですね。
カタカナで書くから勘違いしてしまうのですよね。
花は葉っぱと同化してしまうような色で、気をつけて見ないと見過ごしてしまいそうな感じです。
でも、クララは地味だけれど今の日本にはとっても大事で、なくてはならない花(木)なのです。
それは、瑠璃色の羽が特徴の「オオルリシジミ」という蝶の餌になるからです。
現在オオルリシジミは長野県の一部と阿蘇地方にしか生息が確認されていない絶滅危惧種の蝶です。
オオルリシジミの幼虫がクララだけを食草とするようなのです。
だからこの花(木)がないとオオルリシジミは生きていけなくなってしまい、絶滅してしまいます。
今では「オオルリシジミ」の保護増殖を促進のため、食草の「クララ」を植える活動をしている地域もあるようです。
学名:Sophora flavescens Aiton
英名:Shrubby sophora
別名:マトリグサ、クサエンジュ
科名・属名:マメ科 クララ属
原産国:中国
韓国ドラマの中に出てきた薬草は実際には『キバナオウギ(黄花黄耆)』のことのようです。
キバナオウギは「クララ」や高山植物の「タイツリオウギ(鯛釣黄耆)」に近い品種だということで、日本語訳をした人が「クララ」という言葉を使ったのだと思います。