日本のサイクルショーとの「格差」
規模で言えば、台北や上海のサイクルショーは東京の4~5倍は大きい。台北のショーは真剣勝負の場という雰囲気が漂う。
サイクルモード東京ではほとんど外国人のバイヤーを見かけないが、台北では外国人率が高い。主催者によれば、
4日間の期間中に7000人以上の外国 人が訪れ、前年比で10%増だという。彼らの目は真剣そのものだ。
私と同様、空港から会場に直行し、トランクを引きずりながら明日のヒット商品につながる 自転車や部品を探そうと会場を闊歩していた。
正直なところ、11月のサイクルモード東京の後に3月の台北サイクルショーを見ると、日本人としてはいささか恥ずかしい気持ちになる。
このサイクル ショーにおける「格差」は、隣の台湾が世界の自転車ビジネスの最先端を疾走しているのに、
日本の自転車産業が世界から取り残された実情を、そのまま雄弁に 語っているからである。
私が訪れたのは最終日だった。閉幕記者会見が開かれ、主催者が意気揚々と今年の成果を発表していた。
出展企業が過去最高の台湾内外から1100社、 展示ブース数はおよそ3000。外国人の訪問者数は7000人を超え、
前年比で11%増だった。2016年からは手狭になった会場を2倍に拡充する、とい う。
日本メーカーは、戦わずして白旗
東南アジアで勃興する自転車マーケットで、チャンスをつかんでいるのは中国や台湾などのメーカーである。
中国税関による輸出統計によれば、2012 年の中国からの自転車輸出は、インドネシア(18%増)やタイ(51%増)、
フィリピン(38%増)など東南アジア向けが軒並み急増。外貨を稼げる商品と しての自転車の存在感が高まっている。
台湾メーカーも同様だ。東南アジアに近い台湾のサイクルショーは、今、これらの国々からバイヤーが集結する場となっているのだが、
ブリヂストンやパナソニックなど日本の自転車の完成車メーカーは出展すらしていない。
会場で会った日本の自転車業界関係者に理由を尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「海外市場で勝負しても勝ち目がないと、あきらめているんです」
日本の自転車メーカーも初めから負けていたわけではない。1990年代以前は世界一の輸出を誇り、
台湾のメーカーは技術力、ブランド力とも太刀打ち できず、日本の下請けに甘んじていた。ところが、
日本の「失われた20年」の間に、台湾ではジャイアント、メリダなどのメーカーがめきめきと力をつけ、日 本は抜き去られてしまった。
最大の理由を一言で言えば、世界で勝負できる高付加価値の自転車に挑戦せず、、
日本で毎年数百万台は売れる低価格のママチャリ(軽快車)市場に甘ん じたからである。
一方、輸出志向の強い台湾メーカーは、つねに最先端の欧州や米国で売れる自転車を作ろうともがき続け、
結果的に大きな差がついた形だ。 「ガラパゴス市場」にこだわって競争力を失った日本の携帯電話と
そっくりの展開が10年以上前に起きたのが自転車製造業なのである。
東洋経済ニュース引用
残念だがまた、大事なッビジネスチャンスを日本は逃した結果になる、