円安による輸入原材料価格の上昇を背景に、電力会社や食品メーカーなど値上げの動きが相次いでいる。
客離れを警戒するスーパー各社はコスト削減を強 化して生活必需品を逆に値下げするなど踏ん張っている。
ただ、メーカー側の出荷価格引き上げの動きは広がっており、今後は店頭価格にも本格的に波及する可 能性がある。
脱デフレに向けてアベノミクスが目指す物価上昇が徐々に浸透し始めた形だが、賃金が上がらない中、
値上げだけが先走りすれば、家計を苦しめる 懸念がある。【柳原美砂子、赤間清広】
「熱中症が心配で冷房をつけざるを得ない。夏の電気代が心配」−−。全国各地で猛暑日を記録した11日、
千葉県浦安市の主婦(60)は顔をくもらせた。
火力発電用液化天然ガス(LNG)などの輸入燃料費が円安で割高になったことを理由に、
大手電力10社 は8月も電気料金をそろって引き上げる。東京電力管内の標準的な使用量の
家庭の電気代は7月比58円増の7978円。1年前(7201円)と比べ800円 近く負担が増す。
東京ガスなど都市ガス大手4社も一斉に8月の料金を7月比29~47円値上げ。
東京都内の家庭の8月の光熱費は計1万4000円近くにな る計算だ。
一方、食品メーカーでは7月の出荷価格引き上げラッシュが目立つ。
日清フーズは家庭用小麦粉を約2~ 7%値上げ。政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦の価格を
4月から平均9・7%上げた影響という。小麦粉が主原料の山崎製パンや敷島製パンも最大6%値上げ したほか、
日清オイリオグループも食用油の出荷価格を家庭用で1キログラム当たり20円以上、
業務用は1缶(16・5キログラム)当たり300円以上引き 上げた。同社は4月に値上げしたばかりだが、
原材料の価格上昇で、追加値上げせざるを得ない状況という。
食品メーカーでは価格は変えずに容量を減らす「実質値上げ」の動きもある。
日本ハムは主原料の豚肉や鶏 肉、植物油などの高騰を理由に、7月からハム・ソーセージ89品目や
加工食品の内容量を減量、平均8%の実質値上げに踏み切った。
例えば、売れ筋のソー セージ「シャウエッセン」は11グラム減の127グラムに内容量が減った。
メルシャンやサントリーワインインターナショナルは9月から、円安や原材料高騰を理由に
ワインを値上げすると発表。輸入車や米アップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」
などにも値上げの波が広がっている。
毎日新聞 2013年07月15日 東京朝刊
私が、以前から掲載し懸念していた、電力会社や食品メーカーなど値上げが一斉に堰を切ったように
始まってしまった、年収500万円以下の家庭では、消費支出総額に占める食料費支出の割合
つまり、エンゲル係数は、25%を超える、30%を超えれば、先進国ではない、
しかし、現状ではそれを避けられない事態なのだから、事を深刻に受止める必要になった。
政府は、この値上げに対しては、一切コメントしない、臭い物には蓋をしろだ、