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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

オリジナル版に忠実な上に、ダンスシーンが超絶パワーアップしていて大興奮だった『ウエスト・サイド・ストーリー』

2022年02月11日 22時49分02秒 | 映画
 

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:2/26
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★★★★★★
      音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★★★★★★

【ジャンル】
ミュージカル
ラブストーリー

【原作・過去作、元になった出来事】
・ミュージカル
 『ウエスト・サイド物語』(1957)

・映画
 『ウエスト・サイド物語』(1961)

【あらすじ】
夢や成功を求め、
多くの移民たちが暮らすニューヨークのウエスト・サイド。
だが、貧困や差別に不満を募らせた若者たちは、
同胞の仲間と結束し、
各チームの対立は激化していった。

ある日、プエルトリコ系移民で構成された
“シャークス”のリーダーを兄に持つマリア(レイチェル・ゼグラー)は、
対立するヨーロッパ系移民
“ジェッツ”の元リーダーのトニー(アンセル・エルゴート)と出会い、
一瞬で惹かれ合う。

この禁断の愛が、
多くの人々の運命を変えていくことも知らずに…。

【感想】
ミュージカル映画の金字塔!
60年の時を経て、再びスクリーンで!!
元の作品が好きなので、だいぶ色眼鏡ついちゃうけど(笑)

◆オリジナル版に忠実+αのストーリーに大満足

ミュージカル版の初演は1957年。
その後、1961年に映画化されている本作。
今回は、スティーヴン・スピルバーグの手によって、
60年ぶりにリメイクされた。

一応、僕は事前にオリジナル版で復習はしたものの、
その必要がないぐらい、
オリジナル版に忠実なストーリー構成。
長らく観ていなかった人でも、
徐々に記憶を蘇らせることができると思う。

とはいえ、もちろん変更・追加となったシーンもある。
歌とダンスが披露されるタイミングや場所が変わっていたり、
トニーとマリアのエピソードが追加されていたり、
新たな歌もあったりと、
とても楽しめる内容だった。

そのおかげで、
全体的にキャラクターが深掘りされるだけでなく、
彼らの置かれた環境が
オリジナル版よりもわかりやすくなっていたので、
個人的にはかなり好印象!

例えば、オリジナル版は
冒頭でマンハッタンの都市部の空撮映像が流れるのね。
でも、本編の舞台はスラム街っぽいところばかり映され、
スタジオのセット内での撮影も多かったから、
イマイチ舞台設定や時代背景がわかりづらい部分があった。

一方、リメイク版は市街地内でのロケも多い分、
自然な街並みをたくさん観れたので、
彼らの生きる時代の空気感というのをより強く感じることができた。

◆圧巻のダンスシーンに興奮しっぱなし!

今回のリメイク版で一番の見どころは
何と言ってもダンス!!
いやもうね、
本当にすごくてヤバくて熱くて。・゜・(ノД`)・゜・。(語彙力w)。
もちろん、オリジナル版のダンスも素晴らしかったんだけど、
今回のダンスはレベルが違いすぎる!!

全体的に動きがメチャクチャ速い上に、
アクロバティックかってぐらいの派手さがあって!!
それでいて、オリジナル版以上にみんな動きが揃ってるのよ!!
この群舞が最高にかっこよくて!!
特に、ダンスバトルのシーンと
『アメリカ』のシーンが最高だった!!
『アメリカ』なんて、
みんなで街に繰り出してド派手に踊り狂ってて。
しかも、衣装の華やかさとすごくマッチしてるんだよ。
プエルトリコ系の衣装って、
オリジナル版では紫が強くてやや暗い印象だったけど、
今回は黄色やオレンジなど明るい色を基調としてたから、
ものすごく晴れやかだった。

◆ファンならうれしいリタ・モレノの存在

オリジナル版でアニータを演じたリタ・モレノ。
すでに90歳だけど、
今回はヴァレンティナという、
オリジナル版でドクにあたる役で出演している。
アニータは終盤で、
ジェッツのメンバーに襲われるシーンがあるんだけど、
それを止めるのがヴァレンティナ。
リタ・モレノからしたら、
60年前に自分がやった役を助けるってんだから、
なんだか感慨深く感じるよ。

ちなみに、オリジナル版のメインキャストは、
マリア役を演じたナタリー・ウッド以外はまだご存命なので、
どうせならみんな出て欲しかったなあ
(ナタリー・ウッドは1981年に43歳の若さで謎の死を遂げているとか)。

◆そんなわけで

とにかく歌とダンスがものすごくよかったので、
配信なんか待たずに映画館で観て欲しい。
映画館で観るべき映画!

 

簡単に済むはずだった誘拐事件が多くの命が失われる惨劇となった『ファーゴ』

2022年02月11日 14時58分04秒 | 映画

【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:19/24
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
サスペンス
犯罪映画

【元になった出来事や原作・過去作など】
実際に起こった3つの殺人事件をミックス

【あらすじ】
事業の資金不足に悩む
自動車ディーラーのジェリー(ウィリアム・H・メイシー)は、
自分の妻を偽装誘拐させ、
義父から身代金を引き出そうと考えた。
ジェリーに依頼されたカール(スティーヴ・ブシェミ)と
ゲア(ピーター・ストーメア)は、
妻の誘拐に成功したものの、
逃走中、職務質問をかけてきたパトロール警官を射殺し、
その目撃者までも殺害。

翌朝、女性警察署長マージ(フランシス・マクドーマンド)が
現場検証に訪れるが―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1996年のアメリカ映画。
町山智浩さんの解説付き。

◆小さな計画がとんでもない事態へと発展していくサスペンス

最初は些細な話だった。
まあ、些細といっても誘拐事件だから、
正しい表現ではないけれど。
お金が必要だったジェリーは、
雇った男たちに妻を誘拐させて、
義父から身代金をもらおうっていう話。
人の命がなくなることなんてないはずだったのに。

誘拐途中に、
車体ナンバーを付け忘れていたことで
警察に呼び止められ、
彼を射殺。
そこをたまたま車で通りかかった
2人の目撃者も射殺。
その後も、
邪魔をする人はどんどん殺されていって。
本当に、
なんでこんなことになってしまったのかわからないぐらい、
人がバンバン死んでいく怖さ。
間違っても、
"ヤバいやつら"とは関わらない方がいい
という教訓になるぐらいだった。

◆フランシス・マクドーマンドの細かな演技に注目

町山さんの解説がなかったら、
そこまで深く考えなそうなところまで知れたのが、
今回の企画上映のよかったところ。

この映画、
主演はフランシス・マクドーマンドで、
彼女が初めてアカデミー主演女優賞を受賞した作品。
とはいえ、彼女が出てくるのは
上映してから30分を過ぎてからで、
ジェリーを演じたウィリアム・H・メイシーの方が
出演時間は長いんだけど(笑)

彼女が演じたマージは、
地元の警察官。
普段、殺人事件なんて起きなそうな
閑静な場所で起きた悲劇。
殺害された死体を見て、
普通なら取り乱しそうなところを、
彼女は淡々とした様子。
吐きそうになったかと思えば、
ただのつわりだったり。
さらに、現場に残された足跡から、
犯人像まで特定。
妊娠中にも関わらず、
冷静に捜査にあたる姿は、
なかなか肝の据わった人物であることが伺える。

そんな彼女の細かい表情が、
この映画の最も重要なシーンを担っていたというから驚き。
彼女は、同級生であった
マイク・ヤナギタという日系人と再会する。
そこで、彼は奥さんと別れたことや、
マージのことが好きだったことを告白するんだけど、
後日、別の友人との電話で、
それがウソだったことが発覚。
本編と何の関係もないし、
なんでこんなシーンを挟んだのか、
僕自身わからなかった。

ここからは町山さんの受け売りになっちゃうんだけど。
ヤナギタの言葉がウソだったと知ってから、
マージは車を運転しながらボーっとした表情をしていて、
突然何かに気づいた顔に変わるのよ。
一瞬のことだし、
小さな変化だから、
よく観てないと気づかないんだけど。

そして、ここが一番の肝。
彼女は運転しながらずっと考えていたんだよ。
こんな普通の人でもウソをつくのかって。
そこでハッとする。
普通の人でもウソをつくなら、
散々話を聞いていたジェリーもウソをついているのではないかと。
そこから一気に話が進んでいく。

今のドラマや映画だと、
刑事や探偵がこれまで得た情報を整理しているシーンって、
特別な演出があるじゃない。
例えば、『99.9 -刑事専門弁護士-』だと、
まつじゅんが耳をふさいでいるとか。
当時はそういう演出がないから、
マージのボーっとした表情が、
何かを考えているんだっていうのも、
ちゃんと観てないとわからない。
むしろ、この演出をした監督がすごいと思うんだけど。

あと、出てくる人はみんなミネソタ訛りらしいんだけど、
英語が聞き取れない自分には、
そんな違いはわからなかった。
なので、東北弁でしゃべってるって思うといいらしい(笑)

◆そんなわけで

今から25年以上前の映画だけど、
だんだんと大ごとになっていくストーリー展開は面白いし、
フランシス・マクドーマンドの演技もすごくよかったのでオススメ。


人類史上最も難しいチームビルディングを実現させた『クレッシェンド 音楽の架け橋』

2022年02月10日 22時13分33秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:17/25
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
パレスチナ問題
音楽

【原作・過去作、元になった出来事】
・楽団
 ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団

【あらすじ】
世界的指揮者のスポルク(ペーター・シモニシェック)は、
紛争中のパレスチナとイスラエルから
若者たちを集めてオーケストラを編成し、
平和を祈ってコンサートを開くという企画を引き受ける。

オーディションを勝ち抜き、
家族の反対や軍の検問を乗り越え、
音楽家になるチャンスを掴んだ20余人の若者たち。
しかし、戦車やテロの攻撃にさらされ、
憎み合う両陣営は激しくぶつかり合ってしまう。

そこで、スポルクは彼らを
南チロルでの21日間の合宿に連れ出す。
寝食を共にし、
互いの音に耳を傾け、
経験を語り合い、
少しずつ心の壁を溶かしていく若者たち。

だが、コンサートの前日、
ようやく心がひとつになった彼らに、
想像もしなかった事件が起きる――。

◆民族紛争の当事者たちによるオーケストラという強すぎる設定

今回題材となったのは、
イスラエルとパレスチナの若者たちを集めて作られたオーケストラ。
実在するウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団がモデル。
長らく対立を続ける両者が、
オーケストラという
最も一致団結しなければならない環境に置かれるっていう設定は、
コンテンツとして強いよね。

イスラエルとパレスチナの問題は、
以下にわかりやすくまとめてあるので、
よかったら読んでみてください。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji97/

気が合う合わないとか、
そういうレベルの話じゃない。
厳密に言えば、
2000年という長い歴史にわたる争いなので、
民族としてお互いに憎しみや嫌悪感が積もりに積もってる。
事あるごとに、
相手を罵り、
口論に発展し、
大騒ぎになり、
オーケストラの練習すらままならない。

◆無理ゲーすぎるチームビルディングの過程が見ごたえあり

会社勤めをしていても、
組織をどう作っていくかってことに
頭を悩ませる人は少なくないだろう。
それが今回は民族レベルでの不和である。
その状況をまとめていくのが、
世界的指揮者であるスポルクの役目。

まずは、自分たちのやるべきことは何かを、
みんなの共通認識として持つ。
メンバーだって、
ケンカするために集まったわけではないし、
そもそも敵意があるわけでもない。
だから、その共通認識さえしっかり握れれば、
後はとにかく話し合いの連続。
あえて相手への不満をぶちまける時間を作ったり。
相手の立場になって考えるロールプレイングをしたり。
自分や家族の身に起こった悲劇を共有したり。
そうやって、徐々にお互いを知っていくことで、
ひとつのチームになっていく過程は面白かった。

ちなみに、実際の撮影現場も、
この映画と同じような流れだったらしい。
最初はいがみ合っていたけど、
最後にはみんな打ち解け合うみたいな。

◆印象に残る"鍵"の話

これはあまり本編とは関係ない話なんだけど。
劇中に出てくるメンバーのおばあちゃんが、
首から鍵をぶら下げてるっていう話があって。
現実でも、昔のパレスチナ難民は、
首から鍵をぶら下げて生きていたらしいんだよ。
それは、追い出された人たちが、
いつか自分の家に帰れることを願ってのことなんだけど、
そういう実際のエピソードを入れ込んでくるのはいいなって思った。

◆クラシックの名曲が心地いい

ヴィヴァルディの『四季』から《冬》、
ラヴェルの『ボレロ』、
パッヘルベルの『カノン』など、
今でもいろんな場面で使われるクラシック音楽は、
いつ聴いても心が安らぐ。

しかも、演奏している楽団員役の人は、
みんな本物の演奏家たち。
映画の設定に沿って、
メインの4人以外は、
ユダヤ人とアラブ人の演奏家からキャスティングし、
演奏指導もしたとのこと。
その作り込みが素晴らしいよね。

◆そんなわけで

あまりにも溝が深い対立を背景にしながらも、
徐々にお互いを受け入れ、
一致団結して音楽を奏でていく様子はとても見ごたえがあった。
これはぜひオススメしたい映画!


石油泥棒というぶっ飛んだ設定にハマるも、ラストのグダグダコメディがもったいなかった『パイプライン』

2022年02月09日 20時10分20秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:17/24
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
犯罪映画
クライムアクション
コメディ

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
盗油業界最高の穿孔技術者ピンドリ(ソ・イングク)。
彼は、数千億ウォンの石油を盗むための大計画をぶち上げた
大企業の後継者ゴヌ(イ・スヒョク)の提案を拒めず、
危険極まりない作戦に合流する。

そこには、プロ溶接工のチョプセ(ウム・ムンソク)、
地中を透視できるかのように把握しているナ課長(ユ・スンモク)、
怪力の人間掘削機ビッグショベル(テ・ハンホ)、
彼らを監視するカウンター(ぺ・ダビン)といった、
個性的なメンバーが集っていた。

しかし、異なる目的を持つ者たちが騙し騙されながら、
計画は予想外の方向にこじれ始める…。

【感想】
相変わらず設定が面白い韓国映画。
とはいえ、個人的にはちょっと期待外れだったかなー。
韓国映画はメチャクチャ面白いのとそうでないのとで、
だいぶ差が激しい気がする(笑)
(一方、邦画はそこまで差がつかずに平均的っていう印象がある)

◆"盗油"という発想の面白さ

本作の題材は、
石油を盗む"盗油"と呼ばれる特殊犯罪。
産油国でない日本では聞きなれない言葉だけど、
実際の韓国では社会問題になっているらしい。

これ、石油を運ぶトラックを強奪するとか、
そんなハイリスクな話ではない。
石油が通るパイプに穴を開け、
そこからホースなどで石油を抜き取ろうというものだ。
地中の構造を把握し、
穴を掘り、
手作りの特別なドリルでパイプに穴を開けていく、
専門知識やスキルが必要とされる高度な犯罪。

そんな盗油事情を真正面から描いたのは、
韓国映画の中でも初めてじゃないかな。
日本では起こり得ない犯罪自体に、
とても興味がわく内容ではあった。

◆シリアスなのかコメディなのかどっちつかず

犯罪映画ってことで、
ハラハラする展開やシリアスな雰囲気ももちろんある。
なのに、ちょいちょいコメディ要素が入ってきて、
それはそれで笑えるんだけど、
作品全体としてあんまり統一感がなかったかなー。
どうせなら、もっとコメディに振り切って欲しかった。
特に、ラストの乱闘シーンからはだいぶグダグダしてて、
せっかく作り上げてきたクライムアクション感が台無しに。

先に書いたように、
トラック強奪みたいな派手さがない分、
こういうコメディ要素で抑揚をつけたのかもしれない。
ただ、ミートスパゲティにタバスコ入れまくって、
ちょっと違う食べ物になってしまったっていうイメージ(笑)

◆そんなわけで

題材はよかったけど、
話のテイストがうまく合っていなかったので、
すごく惜しいなっていう印象の映画。
盗油という特殊犯罪がどんなものなのかを知るにはいいかもしれない。

 

美しすぎるお姉さまたちが殴って蹴って撃って刺して満身創痍になりながら敵をフルボッコする『355』

2022年02月07日 20時37分56秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:15/23
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
アクション
スパイ

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
アメリカのCIA本部に緊急情報がもたらされた。
あらゆるセキュリティをくぐり抜け、
世界中のインフラや金融システムなどを攻撃可能な
デジタル・デバイスが南米で開発され、
その途方もなく危険なテクノロジーが
闇マーケットに流出しようとしているのだ。
この非常事態に対処するため、
CIAは最強の格闘スキルを誇る女性エージェント、
メイス(ジェシカ・チャステイン)をパリに送り込む。

しかし、そのデバイスは国際テロ組織の殺し屋の手に渡り、
メイスはBND(ドイツ連邦情報局)のタフな秘密工作員マリー(ダイアン・クルーガー)、
MI6のサイバー・インテリジェンスの専門家ハディージャ(ルピタ・ニョンゴ)、
コロンビア諜報組織の心理学者グラシエラ(ぺネロペ・クルス)と手を組んで、
世界を股にかけた追跡戦を繰り広げていく。
やがて、中国政府のエージェント、
リン(ファン・ビンビン)もチームに加わるが、
彼女たちの行く手には想像を絶する苦難が待ち受けていた……。

果たして、
第三次世界大戦を阻止することができるのか——。

【感想】
最近ちょいちょい増えている
女性のエージェント(スパイ)モノ。
今回は5人のエージェントが手を組み、
激しいアクションを駆使して
敵の野望を阻止する痛快なアクション映画でした。

◆変わってきたエージェント映画の潮流

エージェントが活躍する映画と言えば、
『007』シリーズや『ミッション:インポッシブル』シリーズなど、
男性かつ基本は単独行動だった(サポート役はいるけど)。
それが、シャーリーズ・セロンの『アトミック・ブロンド』(2017)や
ジェニファー・ローレンスの『レッド・スパロー』(2018)、
スカーレット・ヨハンソンの『ブラック・ウィドウ』(2021)など、
最近は女性が主人公の作品も増えてきた。
今回は、そんな女性スパイが5人も登場し、
手を組んで戦うというまた新しい流れ。

◆見惚れるほどに美しいエージェントたち

"美しすぎる〇〇"っていうだけでギャップになる世の中だけど、
映画の世界に出てくる女性エージェントは美人揃い。
しかも、本作のキャストに関してはただ綺麗なだけじゃなく、
みんな若いときからの美しさを保ち続けているのがすごい。

そもそもエージェントって
10代~20代の若い人あんまりいなくない?
大体30代以上が多い印象(男性も含めて)。
本作の5人も、年齢的には30代後半~40代半ば。
ジェシカ・チャステインやペネロペ・クルスなんかは、
彼女らが若い頃からの映画を観ているけど、
今の方が歳を重ねることで妖美さが増して、
昔以上に綺麗だと感じる。

それでいて、激しいアクションもこなす体の張りっぷり。
実際にはスタントダブルを使ってはいるけれど、
役者本人との繋ぎがスムーズというか、
格闘にしろ銃撃戦にしろ、
やっぱりハリウッドは見せ方がうまいなと感じる。

◆キャラクターが薄くて印象に残りづらい

美女たちが暴れまわるところに迫力は感じるんだけど、
キャラクターが立っているかといったら、
そう感じられなかったのがやや残念なところ。
ジェームズ・ボンドみたいにすぐ女性と寝ちゃうとか、
そういう特徴があったらよかったのに。
酒癖が悪いとか、
超がつくほどのオタクとか、
人間として面白みを感じられる点があったら、
もっと愛すべき映画になってたかも。

◆ストーリー自体は普通

ストーリーに関しても極めてオーソドックス。
世界を混乱に陥れるデバイスを、
それを悪用しようとする組織から奪還するというだけ。
まあ、エージェントが活躍する映画って大体そんな感じよね。

だから、キャラクターが立ってるか、
ド迫力のアクションがあるか、
そういうところを観ている方は期待すると思う。
その点では、
先に書いたことをまとめると、
アクションは目立つけど、
キャラは薄いということで、
何とも言えない感じ(笑)

◆そんなわけで

美しすぎるお姉さまたちが暴れまわる画は大好きだったけど、
もう一押し欲しかったなっていうのが個人的な所感。
ザ・ハリウッド的な作品が好きな人なら観てもいいかなとは思うものの、
あまり期待しすぎない方がいいかも(笑)


設定はよかったのにすべてが中途半端でお笑い要素もダダ滑りだった『大怪獣のあとしまつ』

2022年02月05日 23時05分24秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:22/22
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★☆☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
コメディ
SF
特撮
大怪獣

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
人類を未曽有の恐怖に陥れた大怪獣が、
ある日突然、死んだ。
国民は歓喜に沸き、
政府は怪獣の死体に「希望」と名付けるなど、
国全体が安堵に浸る一方で、
河川の上に横たわる巨大な死体は、
腐敗による体温上昇で徐々に膨張が進み、
ガス爆発の危機が迫っていることが判明。

大怪獣の死体が爆発し、
漏れ出したガスによって周囲が汚染される事態になれば、
国民は混乱し、
国家崩壊にもつながりかねない。
終焉へのカウントダウンは始まった。
しかし、首相や大臣らは
「大怪獣の死体処理」という前代未聞の難問を前に、
不毛な議論を重ね右往左往を繰り返すばかり…。

絶望的な時間との闘いの中、
国民の運命を懸けて死体処理という
極秘ミッションを任されたのは、
数年前に突然姿を消した過去をもつ
首相直轄組織・特務隊の隊員である
帯刀アラタ(山田涼介)。
そして、この死体処理ミッションには
環境大臣の秘書官として、
アラタの元恋人である
雨音ユキノ(土屋太鳳)も関わっていた。

果たして、アラタは爆発を阻止し、
大怪獣の死体をあとしまつできるのか!?
そして、彼に託された本当の〈使命〉とは一体―!?

【感想】
ものすごい酷評を受けている“ある意味”話題の映画。
期待値を最低レベルにしてから観たので、個人的には酷評までとはいかないまでも、、、まあ低評価なのはわかる。。。
山田クンのファンでもない限りは観なくてもいいかも(笑)

◆何を楽しむものなのかがわからない

誰もが知る“巨大怪獣”の、
誰も知らない“死んだ後”の物語ってことで、
大怪獣の死体をどう処理するのかってのが、
この映画の題材。

なんだけど、
アラタたち実働部隊の
勇気ある行動を楽しむものなのか、
国のお偉いさん方のつまらない
責任のなすりつけ合いを楽しむものなのか、
どっちつかずな印象。

特撮映画として捉えるべきなのか、
コメディとして捉えるべきなのか、
まあ実際はそのミックスジャンルではあるものの、
どちらも中途半端すぎたのがよくなかったかなあ。

◆ダダ滑りなお笑い要素

これはかなり主観によるので、
人によっては面白く感じる人もいるのかもしれないけど、、、
僕はまったく笑えず。。。

特に、国のお偉いさん方のやり取りがヒドイ(笑)
ちょいちょい入れ込んでくるギャグは
何がおかしいのかわからず、
国防大臣(岩松了)は無駄に下ネタを多用していて、
観ているこっちが恥ずかしくなるぐらいの寒さ。
これ、日常生活における
内輪での話なら笑えるかもしれないけど、
外から見たらマジで面白くない。

もしこれが洋画だったら、
もっとテンポよく、
ぶっ飛んだ形にして、
外人のオーバーリアクションもあって、
笑えたかもしれないなあなんて思ったり。

そういえば、『シン・ゴジラ』(2016)にも
お偉いさんたちのすったもんだがあったけど、
あれを面白くやろうとして、
やりきれなかった感じかな。

言語の壁を超えて笑わせてくる
マーベルの秀逸さを痛感します(笑)

◆まさかの終わり方

ラストは、、、もう、、、ね。。。
「え?」って。

もしかしたら、この映画は低評価すぎるがゆえに、
逆に話題にしようとする
計算し尽くされたものなのかもしれない。。。

◆そんなわけで

題材はすごくよかったんだけどなー。
『シン・ウルトラマン』のスピンオフで、
科学特捜隊が大怪獣の事後処理を行う話とかにした方が
もっと面白くなりそう。
怖いモノ見たさで行くなら止めはしないけど、
これより観て欲しい作品は他にある(笑)

ただ、映画としてはイマイチだとしても、
ある意味話題になるという点では、
これはこれでアリなのかもと思ったりする。

 

故ハロルド・ライミスへの愛を感じると共に、まさかの孫悟飯要素も入ったエモさ爆発の『ゴーストバスターズ/アフターライフ』

2022年02月05日 00時54分19秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:4/21
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
アクション
コメディ
ジュブナイル

【原作・過去作、元になった出来事】
・映画
 『ゴーストバスターズ』(1984)
 『ゴーストバスターズ2』(1989)
 『ゴーストバスタース』(2016)

【あらすじ】
30年間にわたり、原因不明の地震が頻発する田舎町。
そこで暮らし始めたフィービー(マッケナ・グレイス)は、
祖父が遺した古びた屋敷で見たこともないハイテク装備の数々と、
〈ECTO-1〉と書かれた改造車を発見する。
科学者だった祖父イゴン・スペングラー(ハロルド・ライミス)は
〈ゴーストバスターズ〉の一員で、
30年前にニューヨークを襲ったゴーストたちを
この町に封印していた。

地震の原因がゴーストの仕業だと突き止めたフィービー。
「なぜこんな場所に封印を?
 おじいちゃんが死んだとき一体なにが?」
祖父がこの町に隠した秘密に迫ろうとしたそのとき、
ゴーストたちの封印が解かれ、
町中に溢れかえる。

今、ゴーストたちの復讐劇が始まる――。

【感想】
『ゴーストバスターズ』シリーズ第4作目。
お話としては、『1』と『2』の続きで、
2016年版はなかったことに(笑)
1作目から37年、
前作からも32年経ってからの続編だけど、
いやー、これもう過去作を観た人にはうれしい内容だったね。
しかも、『1』と『2』の監督だった
アイヴァン・ライトマンの息子、
ジェイソン・ライトマンが監督を務めるという運命っぷり。

◆故ハロルド・ライミスへの愛に溢れたストーリー

『ゴーストバスターズ』と言えば、
ピーター・ベルクマン(ビル・マーレイ)が主人公の映画。
むしろ、彼ばかり目立っていて、
他の3人の印象は少し薄いぐらい。
とはいえ、ハロルド・ライミスが演じた
イゴンはメカニック担当で、
唯一のメガネキャラだったので、
覚えている人も多いかも。

そんな彼を物語の中心に添えたのが本作。
ハロルド・ライミスは『1』と『2』の脚本も担当していたけれど、
残念ながら病気のため2014年に死去。
今回の物語でも亡くなる設定のため、
その孫であるフィービーが主人公だ。
ずっとピーターでやってきた流れを、
イゴンおよびその孫に焦点を当てたのが、
本作の一番の特徴。

これが想像してた以上によかったのよ!
最近はあまり観ないけど、
昔の洋画って少年少女が冒険などを経て
大人へと成長していく「ジュブナイル映画」がよくあったよね。
『スタンド・バイ・ミー』とか
『ネバーエンディング・ストーリー』とか。
この映画もまさにそんな感じで。
科学オタクで、コミュ障で、
友達もできずに孤独だったフィービー。
ずっと変人と言われ続けてきた祖父が、
自分と同じ科学を愛する人で、
実はゴーストバスターズの一員で、
多くの人命を救っていたということを知って。
祖父の意志を継いで、
町を襲うゴーストたちを退治する決意をするっていう、
感動と冒険の物語。
これはやっぱり、
科学好きだったイゴンのキャラクターがあったからこそ、
実現できる内容だよねって感じる。

正直、序盤はストーリー上の動きがほとんどなくて
退屈な部分もあるんだけど、
後半からの怒涛の展開はものすごく楽しめた。

ちなみに、『1』、『2』に続くストーリーではあるものの、
『1』しか関わってこないので、
あらかじめ予習するならその1本だけで十分かと。

◆かわいいかわいいマシュマロマン

『1』で有名なシーンと言えば、
ラストに出てくる巨大なマシュマロマン。
今回は、小さなマシュマロマンがたくさん出てくる。
これがもう最上級にかわいくて。。。
自分で焼かれに行ったり、
ミキサーに入ってグチャグチャになったり。
こうやって書くとスプラッター感あるけど、
実際はものすごくかわいいから!

◆まさかのドラゴンボール要素

ネタバレになるので書けないけど、
『ドラゴンボール』を読んだことある人ならわかるシーンが(笑)
途中からこの展開を予想できる人も少なくないだろうけどね、
感慨深い。

◆そんなわけで

変な話、ハロルド・ライミスが生きていたら、
こういう物語にはならなかったかもしれない。
それぐらい、彼の死が大きな影響を与えた映画だと思う。
序盤の地味さがちょっともったいないけど、
予習は1作目を観るだけで事足りるし、
37年にわたる歴史を強く感じられるのがエモいので、
個人的にはオススメしたい。

 

怖さが一切ないキモカワロードムービーだった『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』

2022年02月03日 20時37分03秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:16/20
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
コメディ
キモカワ
ホームドラマ
ロードムービー

【原作・過去作、元になった出来事】
・漫画
 チャールズ・アダムス『アダムス・ファミリー』(1937)

・テレビドラマ
 『アダムズのお化け一家』(1964-1966)
 『アダムス・ファミリー オリジナル版』(1977)
 『The New Addams Family』(1998-1999)

・テレビアニメ
 『アダムスのおばけ一家』(1973-1975)
 『The Addams Family』(1992-1995)

・実写映画
 『アダムス・ファミリー』(1991)
 『アダムス・ファミリー2』(1993)
 『アダムス・ファミリー3 再結集』(1998)

・アニメ映画
 『アダムス・ファミリー』(2019) 

【あらすじ】
思春期を迎え、
家族の食卓に顔を見せなくなったウェンズデー。
そんな彼女を心配したゴメズが、
家族の絆を深めるためにドライブ旅行を計画。

そこに、ウェンズデーの優秀な頭脳をつけ狙う
黒い影が忍び寄る。
愉快な騒動を巻き起こす
アダムス家の面々を待ち受ける事件とは。

【感想】
実は歴史が古く、
さらに多方面のメディアで展開をしている
『アダムス・ファミリー』シリーズ。
本作は、2019年にフルCGアニメーション作品として
公開された映画の続編。

◆もはやただの陽気なホームドラマ

僕の世代だと、
90年代にやっていた実写映画が一番有名かな。
あの不気味で恐ろしい世界観と、
コミカルな家族のやり取りが面白くて、
けっこう好きだった。

でも、フルCGアニメーションになってから、
その「不気味で恐ろしい」という要素がほぼなくなっちゃって。
その代わりに、"キモカワ"要素が入ってきた。
それはそれでいいんだけど、
個人的には実写映画の世界観が好きだったから、
ちょっとコレジャナイ感はある(笑)

今回は、家族との関わりに悩む
ウェンズデーを中心としたドタバタ劇だけど、
家族愛をテーマにしたホームドラマっていう印象が強かった。

◆情報量が多すぎて展開がカオス

この映画、とにかくいろんな要素がありすぎる。
ウェンズデーの実験によって、
タコの能力を得たフェスター伯父さん。
女の子にモテようと躍起になるパグズリー。
突然やって来て、
ほとんど何もしないまま帰っていく、
一番いてもいなくても同じだったカズン・イット。
そして、ウェンズデーを追ってくる謎の男たち。

アダムス家が旅行で立ち寄る先々で、
様々なトラブルが巻き起こるのが、
この映画の見どころ。
ナイアガラの滝での落下事件、
サンアントニオでの美少女コンテスト、
グランドキャニオンでの大爆発など、もうカオス(笑)
ラストとか意味わからないからね。
なんで家族旅行からそんな大バトルになっちゃうのかって(笑)

◆メッセージはシンプル

自分が家族の中で浮いていることを
悩んでいたウェンズデーだけど、
個性を認め合うのがアダムス家のいいところ。
そんな心温まる展開は、
シンプルかつ王道でわかりやすかった。
ただ、先のしっちゃかめっちゃかなトラブルから
無理矢理まとめた感じがあって、
個人的にはあんまりしっくり来なかったかな(笑)

◆そんなわけで

前作を観たから今回も観に来たけど、
あのキモカワなキャラクターが特に好きでなければ、
そこまでハマる要素はないかも(笑)
僕はやっぱり90年代の実写映画の方が好き。


「考えるな、感じろ」が炸裂していて、観る人を選びそうな『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

2022年02月02日 00時19分32秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:16/19
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
コメディ
ヒューマンドラマ

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
物語の舞台は、
20世紀フランスの架空の街にある
「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部。
米国新聞社の支社が発行する雑誌で、
アメリカ生まれの名物編集長が集めた、
一癖も二癖もある才能豊かな記者たちが活躍。
国際問題からアート、
ファッションから美食に至るまで、
深く斬り込んだ唯一無二の記事で人気を獲得している。

ところが、編集長が仕事中に心臓麻痺で急死、
彼の遺言によって廃刊が決まる。

果たして、
何が飛び出すか分からない編集長の追悼号にして最終号の、
思いがけないほどおかしく、
思いがけないほど泣ける、
その全貌とは──?

【感想】
Filmarksの評価メチャクチャ高いんだけど、
正直、僕には面白さがわからない映画でした。。。(笑)

◆共通点のないバラバラなエピソードのオムニバス

この映画は3つのエピソードから成り立っている
(厳密には、序章と補足を含めて5つだけど)。
元が雑誌の最終号を題材にした映画というだけあって、
いろんなテーマの話を楽しめるっていう感じはあるけれど、
映画として観ると統一感はない(笑)

最初は囚人であり芸術家でもある人の話、
次は学生運動に参加する男子学生の話、
最後は警察署長お抱えのシェフの話。
その上、『フレンチ・ディスパッチ』が
どんな雑誌なのかもよくわからないので、
なかなか話に入り込めず。
なので、やることが明確で、
ドラスティックでドラマチックな展開が好きな身からしたら
刺さらなかったなあと。

◆ストーリーではなく雰囲気を楽しむもの、、、?

この映画、
多分ストーリーそのものを楽しむ映画ではないのかもしれない。
全体的な空気やノリ、色使い、音楽など、
総合的にこの監督が作る世界観を好きかどうかによって
評価が分かれそう。
まさに「考えるな、感じろ」みたいな。

その中でも、
個人的には最初のエピソードは好きだった。
服役中の凶悪犯にして
天才画家を演じたベニチオ・デル・トロと、
数奇な過去を持つ看守で画家のミューズを演じた
レア・セドゥの関係性が面白かったから。

◆キャストが豪華すぎる

この映画、とにかく出演陣がすごい。
編集長役にビル・マーレイでしょ。
その他に、
ティルダ・スウィントンやフランシス・マクドーマンド、
オーウェン・ウィルソン、ティモシー・シャラメ、
エドワード・ノートンなど、
有名どころがメチャクチャ多い。
まあ、それに釣られて観に行ったら、
あんまりハマれなかったっていうオチなんだけど(笑)

◆そんなわけで

キャストが好きなら観に行ってもいいと思うけど、
ストーリー自体はあってないようなもの。
あとはこの世界観が好みに合うかどうかなので、、、
けっこう博打要素はあるかな(笑)


罪を犯した人の更生に寄り添う保護司の苦悩と覚悟と優しさが溢れている『前科者』

2022年01月31日 00時00分18秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:6/18
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
サスペンス
ヒューマンドラマ
保護司

【原作・過去作、元になった出来事】
・漫画
 香川まさひと『前科者』(2017-)

・ドラマ
 『前科者 -新米保護司・阿川佳代-』(2021)
 
【あらすじ】
2つの仕事をかけ持つ阿川佳代(有村架純)、28歳。
コンビニ勤務は至って平穏だが、
もうひとつの務めは波乱に満ちていた。

元受刑者の更生を助ける保護司という仕事で、
国家公務員ではあるものの、
ボランティアのため、
報酬は一切ない。
それでも阿川は、
次々と新たな問題を起こす前科者たちを
時に叱り、時に励ます。
「もっと自分の人生を楽しめば」とまわりには言われるが、
何があっても寄り添い続ける覚悟に一点の曇りもなかった。

そんな中、
阿川は殺人を犯した工藤誠(森田剛)を担当することになり、
懸命に生きる彼を全力で支える。
ところが、工藤は保護観察終了前の
最後の面談にも現れず、
社員登用が決まっていた自動車修理工場からも
忽然と姿を消す。
折しも連続殺傷事件が発生し、
捜査線上に工藤が容疑者として浮かぶことで、
これまで阿川が隠してきた過去や
"保護司になった理由"が明かされていく。

置いてきた過去に再び向き合う工藤、
彼を信じてその更生に全力を注ぐ阿川。
2人がたどり着いた先に見える希望とは――?

【感想】
これは見ごたえしかない映画だった。
罪を犯した人と保護司が織り成す人間ドラマが
ものすごく面白い。

原作漫画は未読だけど、
WOWOWでやってたドラマがアマプラにあったので、
それを観てから映画を鑑賞。
ドラマと映画は直接の繋がりはないものの、
ドラマを観て、
キャラクター背景をあらかじめ知っておくと、
映画の方もより楽しめるかと。
30分×6話ですぐ観れちゃいます。

◆阿川先生のホスピタリティに打ちのめされる

保護司である阿川先生の仕事は、
前科者の更生の手助けをすること。
これはドラマも映画も同じ。
でも、すべてが穏やかに終わるなんてことはまずない。
身元引受人が受け入れを拒否することもあれば、
前科者が職場でトラブルを起こすこともある。
そのたびに、阿川先生はバイト先のコンビニを抜け出して、
説得したり頭を下げたり
(いきなり抜け出しても許しちゃうコンビニの店長優しすぎるけどw)。

でも、彼女は決して前科者を見捨てることはしない。
自宅に招いて手料理を振る舞う優しさを見せ、
必要なときには大声で叱り飛ばす。
母親か教師のような存在なんだよ。
世間から白い目で見られ、
人によっては身内もおらず、
行き場を失くした前科者にとっては、
心の支えなんじゃないかな。
そんなことを無償でやり続ける
阿川先生のホスピタリティの高さには頭が上がらない。

今回の映画でも、
あとちょっとで保護観察が終わる工藤に、
身内以上に親身に寄り添い、
彼の未来を案じた阿川先生のキャラクターには、
心底尊敬の念を抱いてしまうほど。

◆明かされる阿川先生の過去

本作では、
ドラマでずっと匂わせていた阿川先生の過去も描かれる。
それは、彼女と彼女の大切な人に訪れた悲劇。
他の誰にも知られたくなかったことであり、
また彼女が保護司になろうと決めた本当の理由でもある。

その悲劇を体験したとき、
普通なら怒りと復讐に燃えるだろう。
でも、そこを彼女は
「もし、前科者に寄り添うことができたら、
 あんなことにはならなかったかもしれない」
と、救済の道を見出す。

なかなかできることじゃないけど、
そんな背景があるからこそ、
阿川先生の覚悟って尋常じゃないんだよね。
自分が体験した悲しみを二度と繰り返さないためにも、
前科者の更生に全力を尽くす。

◆工藤を演じた森田剛の演技がすごい

工藤は幼少期の頃、
目の前で実母が義父に殺され、
その後も施設やアルバイト先でもいじめに遭い、
先輩を刺殺したことで服役するという壮絶な過去がある。

人生に希望というものが見出せない中、
それでも懸命に生き、
阿川先生と対話を繰り返すことで、
ささやかな日常を取り戻しつつあった工藤に、
突如として訪れた過去との対峙。
全編を通して見せる工藤の表情や雰囲気を出した森田剛のすごさよ。
『ヒメアノ~ル』(2016)っていう映画を観たときも、
この方の演技に圧倒されたけど、
今回も本当にヤバかった。

◆そんなわけで

一生懸命、“普通”になろうとしている工藤と、
そんな彼に寄り添う阿川先生の人間ドラマは、
本当に見ごたえある。
でも、それ以上に保護司という仕事の
大変さと尊さも知ることができるので、
この映画(およびドラマ)はマジでオススメしたい。


島を守るための殺人隠蔽と警察による真相究明の攻防は面白かったけど、やっぱり漫画の方が断然いいなと思った『ノイズ』

2022年01月30日 21時16分25秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:13/17
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
サスペンス

【原作・過去作、元になった出来事】
・漫画
 筒井哲也『ノイズ【noise】』(2018-2020)

【あらすじ】
絶海の孤島に突然現れた不気味な男。
名前も知らないその男に
家族を狙われた泉圭太(藤原竜也)は、
親友の田辺純(松山ケンイチ)、
新米警察官の守屋真一郎(神木隆之介)と共に、
誤ってその男を殺してしまう。

それは、圭太が生産した"黒イチジク"が人気となり、
国からの交付金5億円が内定、
過疎に苦しむ島に明るい未来が見え始めたときのことだった――。

島のみんなと大切な家族を守るため、
3人は死体を隠蔽することを決意。

「この男が消えたところで、誰も追ってこない」。

そう思っていた矢先、
予想外の出来事に発展する。

なんと、その男は出所したばかりの凶悪犯(渡辺大知)で、
足取りを追う刑事(永瀬正敏)らが
島に大挙して押し寄せてきたのだ!
24時間体制で執拗な捜査を繰り返す県警。
その包囲網が圭太たちを追い詰め、
島の日常が崩れていく…。

島中がパニックに陥った先に待ち受ける結末とは?

【感想】
同名タイトルの漫画を映画化した作品。
とはいえ、大まかな流れは同じだけど、
設定や人間関係がかなり変わっていて、
ラストもまったく違うんだよね。

◆いつ、どのようにバレるのかの恐怖

「島の平穏を守る」こと。
それが、この映画の一番の大前提。

寂れつつあった島が、
黒イチジクのおかげで復興。
そんな明るい未来が待っていた島に
突如入ってきた出所後間もない凶悪犯の鈴木。
そんな"異物=ノイズ"を駆除しようとして、
彼を死なせてしまったところから、
島の日常が一変する。

島の未来のために、
その件を“なかったこと”にしようと画策する圭太たち。
死体の隠蔽から口裏合わせ、
刑事たちへの嘘など、
当然褒められたものではないけれど、
島や家族を守ろうと思っての行動には、
心情的に理解できる。

そんな中、次から次へとトラブルが起き、
悲劇が連なり、
共犯者が増えていく過程は面白い。
ちょいちょいボロを出しつつ、
刑事の捜査をかいくぐるも、
いつ、どのようにしてバレるのかの恐怖が、
この映画を楽しむポイントかなと。

◆最後まで目が離せない展開

この映画の見どころは、
圭太たちの一連の隠蔽工作もそうなんだけど、
“その後”にも注目したい。
ネタバレになるので言えないけど、
原作を読んだ人からしたら、
「まさか」の展開は印象に残ると思う。

◆漫画の方がもっと面白い

映画は映画でよかったと思うんだけど、
原作漫画を読んでしまうと、
やっぱり漫画の方が圧倒的に面白いと感じるかな。
漫画の方が、
キャラクターにもっと存在感があるから。

凶悪犯の鈴木は、
より一層ヤバいし怖いし様子がおかしいし、
それだけで作品全体の恐怖が増す。
庄吉じーさん(柄本明)が警察嫌いになるエピソードも説得力があるし、
刑事の畠山も自身の抱える暗い過去によって、
もっと魅力ある人物になってた。
中でも、ラストに繋がる“ある人物”の扱いが
原作と映画とで大きく変わっているのには驚いた。

"ノイズ"ってのも、
映画では主に鈴木にしか向けられていないけど、
漫画では別の視点から圭太たちにも向けられていたし、
村の住人からしたら警察が"ノイズ"になるし、
全体的に漫画の方がストーリー的にも
よく描かれているなあと感じた。

まあ、ここらへんは原作モノあるあるだけど(笑)

◆そんなわけで

藤原竜也と松山ケンイチが揃うと
『デスノート』感強いから、
それは一見の価値アリだけど、
漫画読んでる人からしたら、
だいぶマイルドになってしまっているので、
物足りなさを感じる人もいるだろうなー。

 

原作ゲームの恐怖が再び味わえるサバイバルホラー『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』

2022年01月28日 18時26分15秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:6/16
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★★
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
ホラー
サバイバル
アクション
ゾンビ

【原作・過去作、元になった出来事】
・ゲーム
 『バイオハザード』シリーズ(1996-)

・映画
 『バイオハザード』シリーズ(2002-)

【あらすじ】
アメリカ合衆国中西部に位置するラクーンシティ。
自然豊かなこの街の郊外に、
以前は製薬会社アンブレラ社の工場が存在したが、
今はそのほとんどの施設は移転してしまっている。

このアンブレラ社が秘密裏に研究開発を進めていた
“何か”が街の住民たちに大きな健康被害を与えている
とのメッセージを受け取ったクレア(カヤ・スコデラリオ)。
ラクーンシティの施設で育った彼女は、
その真実を突き止めるべく、
R.P.D.(ラクーン市警)で特殊部隊=S.T.A.R.S.の隊員である
兄・クリス(ロビー・アメル)のもとを訪ねる。
クレアはクリスにこの事実を訴えるも
「デタラメだ」と取り合ってくれない。

しかしそのとき、
街中に大音量のサイレンが鳴り響く。
アンブレラ社から住民に自宅で待機するよう
警報が発せられたのだ。
クリスは急いで署に出向き、
S.T.A.R.S.の隊員である、
ジル(ハナ・ジョン=カーメン)、
ウェスカー(アヴァン・ジョーギア)と共に、
郊外にあるスペンサー邸で消息を絶った同僚を捜索するため、
ヘリコプターで出動する。

一方、クレアはクリスを追いかけR.P.D.に。
しかし、既に住民たちの身体には変化が起き始めていた。
皮膚は腐乱し、
口や目から血液が流れ落ち、
死体のような状態にも関わらず、
人肉を欲してさまようゾンビと化したのだ。

スペンサー邸では、
クリスたちの壮絶なサバイバルが繰り広げられ、
R.P.D.内でも、
クレアと新人警官のレオンに、
ゾンビたちが襲いかかる。

【感想】
日本発の超人気ホラーゲーム
『バイオハザード』シリーズの最新映画。
映画としては第7作目だけど、
ミラ・ジョヴォヴィッチが出ていたシリーズとは別物で、
新しくリブートされた形になる。

ちなみに、僕はゲームの方は
『3』と『5』だけやっているっていう中途半端さ(笑)
『1』は、当時小学生だった自分には怖すぎたのと、
操作が難しかったので、
まともにプレイできず。
ゲームが原作だと、
映画のために予習・復習しようにも、
時間かかるのが難点よね。

◆ゲームの『1』と『2』を融合させたストーリー

ミラ・ジョヴォヴィッチ版は
完全にオリジナルストーリーだったけど、
本作はもっとゲームに近い話。
細かな設定や人間関係に違いはあれど、
うまく『1』と『2』を足したなっていう印象。
『1』でクリスたちが洋館に出向くところや、
『2』でクレアとレオンが行動を共にするところなど、
ゲームをプレイした人は懐かしい気持ちになるかも。
僕は未プレイだったけど、
なんとなくの世界観やストーリーは知っていたので、
それだけでも充分に楽しめた。
もちろん、ゲームをまったく知らなくても問題ない。

◆忠実に再現されたゲームの世界

今回の映画は、
クリスたちの視点と、
クレアたちの視点の2つを軸に進んでいく。
クリスたちは洋館が、
クレアたちは警察署内が舞台となるのだけど、
その建物の見た目も内部構造もゲームのまんま!
しかも、グリーンハーブまで置いてあって、
ゲームの中にいるような雰囲気が味わえる。
ゆえに怖い。
限りある武器で、
次から次へとわいてくるゾンビを撃退しきれず、
圧倒的な劣勢に立たされるあの恐怖は、
まさにゲームで感じたそれと同じ。

◆尺が足りてない

本作の上映時間は107分とやや短め。
その中で、2軸で進むストーリーと、
それなりに多い登場人物。
だから、お話はトントン拍子で進んじゃうし、
キャラクターもけっこうあっさり描かれている。

原作ゲームに近い分、
そこに物足りなさを感じる人はいるかも。
ゲームだと、
探索や謎解きを踏まえた面白さがあるから。
よく言えば、
映画の方はテンポがいいとも捉えられるけど。

◆そんなわけで

ミラ・ジョヴォヴィッチ版に慣れ親しんでいると、
少し地味な印象を受けるかもしれない。
世間の評価は低めだけど、
僕は原作ゲームの世界観を
うまく再現してくれたことに好感度高いです。

とりあえず、ゲーム全部やりたくなった(笑)


音声だけで事故の真相を追い、まさかの真実にたどり着く極上のサスペンス体験『ブラックボックス:音声分析捜査』

2022年01月27日 21時37分52秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:4/15
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
サスペンス
スリラー

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
ヨーロピアン航空の最新型機がアルプスで墜落。
乗客・乗務員316人全員の死亡が確認された。

司法警察の立会いの下、
航空事故調査局の音声分析官が、
ボイスレコーダー、通称“ブラックボックス”を聴く。
いつもなら責任者のポロック(オリヴィエ・ラブルダン)に同行するのは、
最も優秀なマチュー(ピエール・ニネ)だったが、
天才的なあまり孤立していた彼は外されてしまう。
だが、まもなくポロックが謎の失踪を遂げ、
引き継いだマチューは
「コックピットに男が侵入した」と記者会見で発表する。

やがて、乗客にイスラム過激派と思われる男がいたことが判明。
マチューの分析は高く評価され、
責任者として調査をまとめるよう任命される。
本格的な捜査に乗り出したマチューは、
被害者の一人が夫に残した事故直前の留守電を聞いて、
ブラックボックスの音と違うことに愕然とする。

今、マチューのキャリアと命をかけた危険な探求が始まる──。

【感想】
ブラックボックス内に残された"音声のみ"で
飛行機墜落事故の真相を追う話。
設定としては、
2018年に公開されたデンマークのスリラー映画
『THE GUILTY/ギルティ』に近しいものがある。
あれも、緊急通報指令室のオペレーターにかかってきた電話だけで、
事件解決を図る話だったから。
ただ、今回の映画は、
よりスケールが大きく、
より驚くような展開で、
メチャクチャ面白い作品に仕上がってる。

◆音声しか使わない限定された設定が秀逸

昔、脚本の学校で習ったことがある。
面白い物語の条件のひとつは、"枷(かせ)"だと。
つまり、キャラクターや状況に制約を設けることで、
視聴者の興味を引くんだと。
例えば、『ドント・ブリーズ』(2016)では、
盲目の老人宅に入った若者が返り討ちに遭う話。
『見えない目撃者』(2019)では目が見えない主人公が、
『殺人鬼から逃げる夜』(2021)では耳が聞こえない主人公が、
殺人鬼に狙われる話。
いずれも、普段使えるものが使えない中で、
どういう展開になっていくのかっていう好奇心が動く。

それが今回は、
"音声しか使えない"ということになる。
飛行機は大破、乗客・乗務員は全員死亡。
事故当時の状況を知るには、
ブラックボックスに残された音声データしかない。
この音声からどうやって手掛かりをつかんでいくのかが、
この映画の一番面白いところ。

◆孤立しても職務を全うする主人公がかっこいい

マチューは天才的な分析官として描かれているけれど、
異常聴覚を持っているなどのファンタジーな設定はない。
人よりも観察力が鋭く、
細かいことまで気になり、
徹底的に調べ上げる性格というのが、
彼が優秀とされている所以。

ただ、あまりにもマイペースというか、
こだわりがすぎるあまり、
周囲の理解が乏しい。
優秀なのはみんな認めてはいるんだけど、
「めんどくさいやつ」と思われている。
だから、思うように事が進まず、
観ている方としてもやるせない気持ちになる。

でも、マチューはあきらめない。
何度も音声データを聴き、
怪しい箇所を特定。
ノイズを除去し、
ピッチを変え、
隠された音を浮き彫りにする。
そして、バレたらクビになるかもしれないことを承知で、
独自に捜査を開始する。
物静かで、
淡々としているように見えて、
実は熱い魂を持っている彼の姿はかっこよかった。

◆二転三転するストーリー展開に驚きの連続

原因はこれか!いや違う!
じゃあこれか?いや違う!
まさかの、、、これ、、、?!

注意深く音声データに聴き入り、
時には愛する妻をも窮地に立たせ、
とある偶然によってたどり着く驚愕の真実。
その驚きの連続ゆえに、
ずっとスクリーンに見入っちゃう。
でも、一番びっくりするのは、
「音声データってそんなにいろいろわかるの?!」
ということ。
それを聴き分けるマチューもすごいけどね。

◆そんなわけで

音声という限られたソースだけで真実を暴こうとする設定と、
二転三転しながら真実を解き明かすストーリー展開が、
もう最高のエンターテインメントでした。
音声に重点を置いているだけに、
これはぜひ映画館で観たい作品。

 

日々の鬱憤から悪目立ちしたい気持ちはわかるけど、、、総じてキャストのファン向け映画だと思った『真夜中乙女戦争』

2022年01月26日 21時50分55秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:13/14
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
サスペンス
テロ

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 F『真夜中乙女戦争』(2018)

【あらすじ】
上京し、東京で一人暮らしを始めた大学生の“私(永瀬廉)”。
友達も恋人もいない。
大学の講義は恐ろしく退屈で、
やりたいこともなりたいものもなく、
鬱屈とした日々の中、
深夜のバイトの帰り道にいつも東京タワーを眺めていた。

そんなある日、
「かくれんぼ同好会」で出会った
不思議な魅力を放つ凛々しく聡明な“先輩(池田エライザ)”と、
突如として現れた謎の男“黒服(柄本佑)”の存在によって、
“私”の日常は一変。
人の心を一瞬にして掌握し、
カリスマ的魅力を持つ“黒服”に導かれ、
ささやかな悪戯を仕掛ける“私”。
さらに“先輩”とも距離が近づき、
思いがけず静かに煌めきだす“私”の日常。

しかし、次第に“黒服”と
孤独な同志たちの言動は激しさを増していき、
“私”と“先輩”を巻き込んだ壮大な
“東京破壊計画=真夜中乙女戦争”が秘密裏に始動する。

一方、一連の事件の首謀者を追う“先輩”は、
“私”にも疑いの目を向けていた。
“私”と“先輩”、“私”と“黒服”、
分かり合えたはずだった2人の道は少しずつ乖離していき、
3人の運命は思いもよらぬ方向へと走り出す…。

【感想】
原作小説は未読。
サスペンス調の映画なんだけど、
「わかるんだけど、わからない」、
そんな映画だったかな(笑)

◆多くの人が共感できそうな"私"の置かれた状況

主人公の"私"、
無気力感がすごい。
学校と深夜バイトの繰り返しだけど、
基本すべてにやる気がない。
そんなキャラを演じた
永瀬廉のナチュラルな演技はよかった。
まあ、あんなイケメンなら、
夢のようなキャンパスライフしか待っていないと思うので、
つまらない日常しかないっていうのは、
無理がありそうな気もするけど(笑)

そんな退屈な日々を過ごしているから、
心の中では何か刺激が欲しかったんだろう。
日常からの脱却を考えているときって、
「なんかもう全部ぶっ壊したい!」
っていう破壊衝動に駆られることもあるよね。
破壊することで、
そこから逃げられると思うから。

"黒服"といると、
それが叶うかもしれない。
そんな期待が、
"私"を"黒服"といっしょにいさせる要因だったろうな。
「なーんかおもしれーことないかなー」って、
自分も若いときは思うことあったから、
ここらへんの"私"の気持ちは何となくわかった。

前半はね、
退屈な毎日からの脱却っていうのが、
かわいいいたずらだったのよ。
キャンパス内の自転車のサドルを
すべてブロッコリーに変えたり、
大学のサイトをハッキングしたり。
誰かを傷つけるわけでもなく、
ちょっと話題になって注目される。
何か刺激が欲しいって思ってる身からしたら、
この上ない中毒性あるシチュエーションだよね。
こういう非日常ってやっぱり楽しいから。

ただ、後半から雲行きが怪しくなっていく。。。

◆なんでそこまでするのかわからない"黒服"

"黒服"を筆頭としたいたずら集団。
だんだんやることが過激になってきて、
最終的には東京を破壊する計画を立てる。
ここがねー、ちょっとよくわからなくて。
そもそも"黒服"の動機が謎。
なんでそこまでする?って。
何か恨みがあったわけでもないし、
変わり映えのない日々を壊したかったような感じでもなかった。
彼の動機をつかみきれなくて、
少しモヤモヤした。
まあ、世の中すべての行動に理由があるわけじゃないけどさ。
フィクションに登場する人物には、
なぜかいつもそれを求めてしまうのだけど(笑)

あと、違和感あったのがラストの大爆発。
素人集団の集まりで、
あんな東京が壊滅しそうなほどの
爆発が起きるわけがないだろって思った(笑)
そんな火薬どうやって調達するんだよって。

ただ、"黒服"を演じた柄本佑の演技はさすがだなって。
あの影のある表情やカリスマ性のある雰囲気。
すごく役に合ってたと思う。

◆そんなわけで

"私"というキャラクターに共感しつつ、
"黒服"にはついて行けず。
そして、"先輩"はあんまり印象に残らず。。。
そんな映画でした。
キャストのファンなら楽しめそうだけど、
そうじゃなかったらそこまでハマれないかもしれないなー。




超サイバー犯罪を超アナログ刑事が追い詰める展開がスリリングだった『シルクロード.com ―史上最大の闇サイト―』

2022年01月24日 22時38分40秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:5/13
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
サスペンス
ダークウェブ
闇サイト

【原作・過去作、元になった出来事】
・サービス(ウェブサイト)
 シルクロード(2011-2013)

【あらすじ】
「世界を変えたい」。
天才的な頭脳に恵まれたロス(ニック・ロビンソン)は、
自由な世界を求め、
表では絶対に買えない違法物を匿名で売買できる
闇サイトを立ち上げた。
〈シルクロード〉と名付けたサイトは、
瞬く間に熱狂的なブームを巻き起こし、
栄華を極める。

ハデな動きですぐに警察にマークされるが、
ロスは絶対に身元がバレない強固なシステムを創り上げていた。
そんなロスを追う捜査官の中に、一人のはぐれ者がいた。
リック・ボーデン(ジェイソン・クラーク)。
かつて問題行動を起こし、
麻薬捜査課からサイバー犯罪課へ左遷された男だ。

アナログ全開で足手まといのリックだったが、
独自の捜査でロスとの接触に成功する。
リックが考えた驚愕の捜査方法とは?
そして、2人を待つ運命とは?

【感想】
2011年~2013年の間に
実際に存在したウェブサイト
「シルクロード」を題材にした映画。
"闇のAmazon"、"ドラッグのeBay"とも呼ばれ、
1日の売上は1億円超というインパクト。
その誕生と終焉を描いたのが本作。

◆サイバー犯 vs アナログ刑事というギャップが面白い

このシルクロードというサイトは、
ちょっとしたウェブの知識がないと利用しづらい。
ダークウェブ上に存在し、
Tor(トーア)というソフトがないとアクセスできないから。
さらに、取引に使える通貨はビットコインのみ。
要は、取引から個人の特定を防ぐためにそうなっているのだ。

これを追いかける刑事がリック。
彼は昔ながらの刑事で、
ウェブの知識なんてほぼゼロ。
マウスの使い方をチュートリアル動画で学ぶレベル。
まわりからも"石器時代の人"ぐらいに思われている、
時代錯誤なお荷物ちゃんという扱い。

そんな彼が、
長年培ってきた刑事としての勘や行動力、
人脈を駆使して、
誰よりも早く犯人にたどり着く展開はスリリング。
「絶対おまえには無理だろ」っていう人が、
全員出し抜くことの爽快感はたまらないね。

◆リックのほとばしる刑事力がかっこいい

現実には、
サイバー犯罪課も優秀かつ事件解決に
多大な貢献をしていることだろう。
でも、この映画はあくまでもリックを主人公にしているから、
サイバー犯罪課の人たちは基本嫌なやつらで、
画面ばかり見て現場に向かわない人たちとして描かれている(笑)

そんな中、
リックはかつて麻薬捜査課にいたときの
情報屋を使って手がかりを集め、
シルクロードで実際にドラッグを買い、
会員登録をして身分を隠した上で、
運営者のロスに直接連絡を取るという、
圧倒的な行動力を見せつける。
日本の刑事ドラマでもよく出てくる
「捜査は足でやるもんだろう!」と言わんばかり。

結局、彼はひとりで、
誰よりも早く犯人のロスにたどり着いているんだよ。
あれだけの人員を使った捜査チームと比べたら、
ほぼひとり+情報屋で同じ成果を挙げているのだから、
コスパメッチャよすぎだろって。

ただ、ロスも簡単に人を信じすぎじゃないかてのは思ったけど。
あと、そもそもリックって過去の問題行動を理由に、
麻薬捜査課からサイバー犯罪課へと左遷されてきた設定だけど、
そんな立場で独自に捜査できるほどの
権限と自由があるのかってのは気になったかな(笑)

◆そんなわけで

"闇のアマゾン"なんて、
『遊戯王』に出てきそうな名称だけど、
それを作り上げたロスの天才的な手腕と、
彼を追うアナログ刑事の執念が見応えあるので、
個人的にはオススメしたい映画。