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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

自分好みのAIの必要性について考えさせられる人間とアンドロイドのラブストーリー『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』

2022年01月23日 23時12分46秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:7/12
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
ラブストーリー
AI

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
ベルリンのペルガモン博物館で、
楔形文字の研究に没頭する学者アルマ(マレン・エッゲルト)。
研究資金を稼ぐため、
とある企業が極秘で行う特別な実験に参加することに。

そこに現れたのは、
紺碧の瞳でアルマを熱く見つめるハンサムなトム(ダン・スティーヴンス)。
初対面にも関わらず、
積極的に口説いてくる彼は、
全ドイツ人女性の恋愛データを学習し、
アルマの性格とニーズに
完璧に応えられるようプログラムされた
高性能AIアンドロイドだったのだ!

トムに課されたミッションは、
“アルマを幸せにすること”ただひとつ。
実験期間は3週間。
献身的でロマンチックなトムのアルゴリズムは、
過去の傷から恋愛を遠ざけてきた
アルマの心を変えることができるのか――?

【感想】
人間とアンドロイドのラブストーリーってことで、
内容としては過去にも同じ映画はたくさんあった。
けれど、これはラストの主人公の考え方に共感できるかどうかで、
だいぶ評価が分かれそう。

◆アンドロイド感ゼロのトムが新鮮

トムは全ドイツ人女性の
恋愛データを内包した高性能AIアンドロイド。
会話は自然だし、
詰まることもない。
まるで人間そのものだ。
逆に言えば、
アンドロイド感が一切ない(笑)
だから、普通に人間同士のラブストーリーに見えちゃう。
冒頭、フリーズしてしまうシーンはあるものの、
それ以外で彼がアンドロイドであると感じられる部分はほぼない。
「もはやアンドロイドの意味、、、」
って思う部分はあった
ある意味新鮮ではあるけど(笑)

こういう映画だと、
アンドロイドが人間の気持ちを汲み取れずにミスしたり、
超人的な身体能力を見せたりっていうのがオーソドックスだけど、
そういう要素はないんだよね。
個人的には、
もう少しコメディ要素があった方が好きなんだけど、
これはこれでよかった。

なぜなら、この映画はトムのキャラクター自体は二の次で、
自分好みの対応をしてくれる彼と関わることで、
人間は本当にそういうものが欲しいのだろうか
っていう問題提起に繋がっていくから。

◆自分好みの対応をしてくれるAIは必要か

アルマも最初はトムに対して、
ただのアンドロイドだと思って、
深く関わることはしていなかった。
でも、彼女の身に起きる仕事上のトラブルや、
元カレに対する"あること"への嫉妬などもあって、
側にいてくれる存在として、
トムを受け入れるようになる。

最終的に恋愛感情にまで発展したかどうかは明言されていない。
でも、この自分好みのAIの果たす枠割と、
その必要性について、
彼女なりの持論がラストで語られるので、
そこはとても興味深かった。

これはもういろんな意見があるだろうね。
こういう自分好みの対応をしてくれるAIって、
僕はあってもいいと思う。
とにかく持ち主を気持ちよくさせてくれるんだから。
無償の愛を与えてくれる親に近いのかもしれない。
感情のないものに対して
愛だのなんだのってのはおかしな話だとは思う。

でも、この先技術が発達して、
全人類のデータを取り込んだAIなんかが出てきて、
普通の人間と同じような対応ができたとしたら、
そこに感情がないと言えるのかな。
感情がある人間となんら変わらない対応をして、
もしかしたら人間以上に適切な対応をして、
それで「でも心はないよね」って言えるのかな。
受け取り方次第かなと僕は思う。
例え心があろうがなかろうが、
受け手がそこに愛を感じたのなら、
それはAIからの愛あっての行動ってことにしてもいいと思う。

ただ、アルマの言っていた
「自分好みの対応しかしないと、
 人はそれに依存し、
 他の人と話さなくなる」
ってのは、そうかもしれない。
だって、自分をすべて肯定してくれる気持ちよさって、
絶対中毒になるでしょ。
そうなったら、そこに対話は生まれず、
人間同士の関わりもなくなるから、
社会の在り方も変わっちゃうよね。
感情的には寂しいなとは思うけど、
悪いことばかりでもない気はする。
まあ、今以上に子供は生まれなくなって、
世界の人口は減りそうな気はするけど、、、
長くなるからやめよう(笑)

◆そんなわけで

こんな感じで、
いろいろ考えさせられる映画ではある。
映画として楽しむよりも、
議論のきっかけとなるっていう意味では有意義な作品。


インド社会の闇!女性をキッチンに縛りつける厳格な家父長制に胸糞悪くなる『グレート・インディアン・キッチン』

2022年01月23日 19時18分04秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:4/11
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
家父長制

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
妻が家事から解放されるのは、 
自身が「穢れ」となる日だけだった。

インド南西部ケーララ州で、
高位カーストの男女がお見合いで結婚する。
中東育ちでモダンな生活様式に馴染んだ妻は、
夫の住む由緒ある邸宅に入り、
姑に導かれて家事のあれこれを学んでいくが、
ほどなく姑は嫁いだ娘の出産準備のため家を離れる。

彼女は一人で家事全般を受け持つことに。
さらに、早朝からの家事労働で消耗していても、
夜には夫の求める身勝手なセックスを拒むことができない。
そうした重荷から逃れられるのは、
皮肉にも生理の期間だけ。

しかしそれは、
彼女が穢れた存在と見なされる数日間でもあった。

【感想】
これは特に女性にとって、
かなり思うところがありそうな内容。
もはや妻ではなく、
奴隷なのだから。

◆圧倒的な男性優位

高位カーストの方が、
よりその傾向が強いのかわからないけど、
とにかく伝統や宗教を潔癖なまでに重んじる家庭、
それが妻が嫁いだ先だ。

家で男性はなんっにもしない。
夫も義父も、
スマホいじって、
食べるだけ。
朝、歯を磨くときは歯ブラシを女性に出させ、
外に出るときは「おい、靴!」と。

もちろん、掃除も料理も女性の仕事。
食べるときは男性が先で、
食べカスは全部テーブルに散らかしっぱなし。
それでいて、彼らの注文は多い。
米は炊飯器ではなく、釜で炊け。
チャパティはミキサーではなく、手でこねろ。
服は洗濯機で洗うと傷むから、手洗いしろ。
妻も義母もただただそれに従うしかない。

なので、彼女たちは基本的にキッチンから離れられず、
映画も8割キッチンが舞台だ。
妻も実家の母に相談するものの、
「郷に入りては郷に従え」
とまったく取り合ってくれない。

同じ男性の目線から見ても胸糞悪いし、
モラハラを通り越して、
人権侵害じゃないかとさえ思うほど。

◆指摘すると逆ギレする男性陣

テーブルマナーや夜の生活について
少しでも何か言おうものなら、
「お前何様だ」と怒られるか、
「神よ、許したまえ」と呆れられる始末。
さらに、女性の地位向上について述べた人の動画を
SNSでシェアしたら、
「削除しろ」と詰め寄られる。
もはや女性は人ではなく、
男性の所有物として見られているんじゃなかろうか。
日本だったら炎上しかしなそうだけども。

ただ、日本だって昭和までは
男性の方が圧倒的に強かった家が多いだろうし、
今でもそういう風潮は残っているところもある。
インドの方が伝統的かつ宗教的な側面で、
その傾向が色濃く残っている印象。

◆唯一キッチンから離れられるのは生理のときだけ

生理中の女性は穢れているとみなされ、
一歩も外に出られず、
人に会えず、
何かに触れることさえも許されない。
キッチンから離れられはするものの、
自分の部屋に閉じ込められ、
自由は一切ない。
そして、生理が終わったら、
またキッチンに立ち続ける。
こうやって一生が終わる人もいるんだろうと考えると、
とてもやるせない気持ちになる。

◆そんなわけで

本作を監督したのは女性かと思いきや、男性。
彼自身が結婚したとき、
家事を妻と平等に分担する取り決めを行ない、
彼女の妊娠中は彼が台所仕事をすべて引き受けた経験から
本作が生まれたそう。

特に女性の方が衝撃と共感を受けやすいかもしれないけど、
インド社会における家族の在り方はとても興味深いのでオススメ。

 

だ ま さ れ た(笑)監督と主演に引っ張られたけどクライマックスが不明の強盗アクション映画『ザ・ミスフィッツ』

2022年01月22日 19時42分28秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:9/10
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
アクション
強盗

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
凄腕の犯罪プロフェッショナル集団「ミスフィッツ」。
極悪人を騙して大金を盗み、
恵まれない人たちに分け与えることをモットーとする彼らは、
多くが謎に包まれた現代の義賊的存在だ。

そんな彼らの次のターゲットは、
凶悪テロリストの資金源となっている大量の金塊だった。
金塊が隠されているのは、
ドバイの砂漠に隠された最強セキュリティの私営刑務所。
今回の任務が一筋縄でいかないことを悟った彼らは、
一匹狼で伝説的な盗みのスペシャリスト、
リチャード・ペイス(ピアース・ブロスナン)を半ば強引に勧誘し、
ドリームチームを結成する。

テロリストに資金が渡るまでのタイムリミットは残り僅か。
果たして、彼らは無事に金塊を盗み出すことができるのか?

【感想】
監督は『ダイ・ハード2』(1990)や
『クリフハンガー』(1993)のレニー・ハーリン。
主演は『007』シリーズで
5代目ジェームズ・ボンドを演じたピアース・ブロスナン。
期待しかないじゃん?
ところが、いざ蓋を開けてみると、、、
これがまた何とも言えない内容で。。。
肉まん頼んだから、具が入ってなかった!みたいな。
皮しかねーわ!みたいな。

◆ハリウッド映画で時々ある"全部乗せ"の危うさ

この映画は、私営刑務所に隠された金塊を奪う
強盗アクション映画。
なんだけど、いろんな映画の要素を全部乗せした
幕の内弁当なのよ。
各分野のスペシャリストを集めたチームは、
『オーシャンズ』シリーズ感が。
刑務所への潜入及び脱出ってのは、
『ザ・ロック』感が(笑)
終盤にちょろっとあるカーチェイスのシーンは、
『ワイルド・スピード』シリーズ感が。
ヒットした映画のいいとこ取りをしたのは悪くないと思うけど、
結局何の映画かわからなくなってた(笑)

それもそのはず、
まずキャラクターが薄すぎた。
みんな一応は得意分野があるのに、
その見せ場がゼロで印象に残らない。

あと、不必要な会話の多さ。
一応はアクション映画なので、
テンポのよさを期待した。
ところが、ストーリーに関係ない会話ばかりで、
テンポがメチャクチャ悪い。

極めつけはアクションの少なさ。
格闘もカーチェイスもラスト20分に気持ち程度(笑)
もっとド派手なやつを観たかったなあ。

◆主演とそれ以外で知名度の差がありすぎる危うさ

今作の主演はピアース・ブロスナン。
ジェームズ・ボンドを演じただけあって、
彼の知名度は抜群だと思う。
ところが、それ以外のチームメンバーが、
ほとんどわからなくて。
過去の出演作を見ると、
けっこうな大作に出ている人もいるけど、
これだけ映画を観ている自分でも、
パッと出て来ない(笑)

完全にピアース・ブロスナンでもっているようなもの。
その彼でさえ、
ほぼ見せ場なく終わっているので、
もはやこの映画は誰得なんだっていう気しかせず。
一応、若い女の子を引っかけてワンナイトできちゃってるところに、
ジェームズ・ボンド健在!
っていう感じはあったけど。
もはや、ファンサービスのようなものだよね。

見方を変えれば、
次の世代を引っ張る"パパ役"を買って出たと思えなくもない。
まだ自分たちだけでは
客を呼び込めない若手(じゃない人もいるけどw)のために、
客寄せパンダとなり、
この映画を観て、
彼らも知ってもらおうっていう。
その割には、他のメンツが印象に残るかっていうと、
そんなこともないんだけど。

あ、敵役を演じたのはティム・ロスだった!
彼はベテランだね。
踏んだり蹴ったりのものすごく可哀想な役どころで、
逆にそれが笑える部分ではあったけど(笑)

◆一番印象に残ったのは、、、?

ゲロ(笑)

◆そんなわけで

悪くはないけど予告詐欺に近い。。。(笑)
出資している人はいるはずだけど、
どうやって企画通ったのか知りたい。
多分、90年代の映画が大好きな人が出資者にいたんじゃないか疑惑。
監督の代表作である『ダイ・ハード2』も
『クリフハンガー』も90年代前半だし、
ピアース・ブロスナンがジェームズ・ボンドをやってたのも90年代。
ゲームとかもそうだけど、
メディアで紹介されるときの代表作が古いものばかりだと、
その面白さは博打かも。

なので、非オススメ(笑)



ポップなシスターが起こす修道院革命が最高に面白かった『天使のラブ・ソングを…』

2022年01月22日 11時52分19秒 | 映画

【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:4/23
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
コメディ
音楽

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
リノのカジノで歌うシンガー、
デロリス(ウーピー・ゴールドバーグ)。
彼女は、地元の顔役で自身の愛人でもある
ヴィンス(ハーヴェイ・カイテル)が、
裏切り者を殺す現場を目撃してしまう。

警察へ駆け込んだデロリスは、
サンフランシスコの修道院に匿われ、
新米シスター、クラレンスとして迎えられる。

厳格な修道院長(マギー・スミス)の厳しい指導にもめげず、
若い尼僧たちと親しくなったデロリスは、
聖歌隊の歌にソウルやロックを加え始めるが―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1992年のアメリカ映画。
気づけば、
このときのウーピー・ゴールドバーグと
同い年になっていました(笑)

◆ギャップのありまくりな設定が痛快

これ本当に面白かった!
ナイトクラブで歌っている歌手が、
シスターに扮して修道院に身を隠すっていう設定。
欲望と見栄がうごめく夜の世界にいた人が、
規律と清廉と貞操を重んじる聖なる場所にいるっていう、
この真逆な組み合わせがメチャクチャ笑える!
身を隠すなんていう理由がない限り、
絶対に交わらないシチュエーションってだけで、もう面白い!(笑)

◆伝統を変えるのはいつだって部外者

デロリスがやってきた修道院は、
ミサにすら人がほとんど訪れない寂しい教会。
街も汚く、
聖歌隊の合唱もバラバラ。
それでもよしとしてきた風潮を変えたのがデロリス。

人が集まらないのは協会が面白くないから。
面白ければ、
人が集まるのではという逆転の発想。
聖歌隊を基礎から鍛え直し、
歌にもソウルやロックを加え、
伝統を現代風にアレンジしたことで人が集まるように。
街の清掃活動も始め、
いつしか教会はメディアから取材を受けるほどの人気が出ていった。

それもこれも、既存ルールに縛られないデロリスがいたからこそ。
ずっと同じ環境にいる人だと気づかないことや、
やらないことなど、
部外者だった彼女だからできたんだろうね。
もともとの行動力もあってこそだと思うけど、
新しい風は閉塞感の打破に必要だと改めて感じる。

◆場を盛り上げるポップな音楽が最高

ソウルやロック風にアレンジした聖歌隊の歌もよかった!
通常の聖歌隊の歌って眠くなりそうな雰囲気があるけど、
体を動かし、
手を叩き、
ただの歌から盛大なパフォーマンスに昇華させたのが一番のポイント。
そもそもストーリー自体がテンポのいい進みだったから、
そこにノリノリな音楽が加わることで、
さらに楽しめる作品に仕上がっていたのがいいね!

◆そんなわけで

当時のメイン3人のシスターは、
今の自分と同じ年齢ぐらい。
つまり、ちょうど親世代なんだよね。
そう考えると、
ただ楽しいだけじゃなくて、
感慨深い感じもする。
とにかく明るい気分になれる映画なので、
今から30年前の映画だけど、
ぜひオススメしたい。

ちなみに、サウザー警部を演じたビル・ナンは、
トビー・マグワイア版『スパイダーマン』シリーズにも出てます。
ジェイムソン(J・K・シモンズ)の側近であるロビー役で。

 

家族の中で唯一耳が聞こえる少女が、夢と現実の間で葛藤する感動映画『コーダ あいのうた』

2022年01月21日 21時40分13秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:2/9
   ストーリー:★★★★★★★★★★
  キャラクター:★★★★★★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★★★★★★

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
コメディ
音楽
感動

【原作・過去作、元になった出来事】
・映画
 『エール!』(2014)

【あらすじ】
豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす
高校生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、
両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる。
陽気で優しい家族のために、
ルビーは幼い頃から“通訳”となり、
家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。

新学期、
秘かに憧れるクラスメイトのマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)と
同じ合唱クラブを選択するルビー。
すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、
都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。

だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、
家業の方が大事だと大反対。
悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、
思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、
意外な決意をし…。

【感想】
なんという歌唱力。
なんという感動。
これはもう映画館で観るのが必須な映画!

もとは2014年に公開された『エール!』のリメイク作品。
だけど、要素が同じだけで、
舞台となる村や主人公の家族構成などに違いがある上に、
内容もさらに洗練されたいいリメイク!

◆主人公の置かれた状況に胸が締めつけられる

そもそもこの映画は設定自体がある意味ズルい。
ズルいと思っちゃうぐらい、
主人公の葛藤が自然かつ納得できてしまう綺麗な形。

主人公ルビーは4人家族の中で唯一耳が聞こえる。
だから、彼女は生まれてからずっと、
その人生を"通訳"に捧げてきた。
そんなルビーが好きなのは歌。
しかも、歌う才能もあり、
講師からバークリー音楽大学への推薦を受けるほど。

でも、どんなに彼女に歌の才能があっても、
家族はそれがわからないんだよ。
耳が聞こえないから。
本来なら一番の味方になってくれる人たちが、
彼女の才能に気づく術がないって、
なんて辛い現実なんだろうって思った。

ルビーは音楽のレッスンを受けなければいけないけど、
家業は彼女なしには成り立たない。
自分には叶えたい夢があるのに、
家族といえども他人に縛りつけられて、自分の人生が歩めない。

ここは共感できる人も多いんじゃないかな。
例えば、経済的理由であきらめなければならなかったことや、
育児や介護で選択できなかった人生など、
似たようなケースは日常にもある。
夢と現実の間で葛藤するルビーの姿は、
映画の世界だからこそ生まれるものではなく、
身近で起こりうることだと感じられた。

◆娘を想う家族の愛

耳が聞こえない以上、
ルビーの歌の才能も情熱も知る由がない家族。
でも、意外なところで娘の歌の才能を知った父親は、
これまでの考えを変えていく。
自分には娘の歌声を聞くことはできないけれど、
彼女の歌がまわりにどんな影響を与えるのか、
それを実感してのことだろうね。
父も母も兄も、
娘に頼ってばかりいたことを見直し、
歩み寄っていくことでハッピーな道を見つけていくのが、
チープな言い方だけど、
本当に心温まる家族の物語だった。

◆感動ストーリーだけど下ネタ満載

この映画、
コメディ要素も散りばめられているのがまたいいんだよ。
家族間の会話は手話しかないけど、
下ネタトークが多いのが笑えるところ。
ルビーの両親の性生活から友達のビッチ感まで、
洋画らしいお笑いポイントはツボる(笑)

ちなみに、両親も兄も、
実際に聴覚障害を持つ役者を起用しているんだよね。
そういう徹底した作り込みが、
さらにこの映画の好感度を上げる。

◆圧巻の歌声

忘れちゃいけないのが、
ルビーを演じたエミリア・ジョーンズの歌唱力。
繊細なトーンから力強いトーンまでを出しきる
その歌声にはマジで圧倒されるから!

僕はあまり洋楽を聞かないので、
作中で使われていた歌はどれも初耳だったけど、
洋楽好きな人からしたら、
歌の部分ももっと楽しめるものになるだろうなあ。

◆そんなわけで

泣けるっていう意味では、
『こんにちは、私のお母さん』の方が個人的には強かったけど、
全体を通してのストーリーラインや人物背景などを踏まえたら、
こっちの映画の方が面白いよ。
主人公の置かれた状況、
やりたいこと、
それが叶わない葛藤など、
あらゆる要素において自然で綺麗にまとまっていて、
すごくいい映画だと思った!
マジでオススメ!

 

主人公はベトナム生まれなのに、ベトナムに居場所がないというアイデンティティの揺らぎが物悲しい『MONSOON/モンスーン』

2022年01月20日 00時05分45秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:8/8
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★☆☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
ロードムービー
ベトナム戦争
ボート難民

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
舞台は現代のベトナム。
キット(ヘンリー・ゴールディング)は、
両親の遺灰を埋葬すべく、
30年ぶりに祖国であるサイゴン(現ホーチミン)に足を踏み入れる。

キットは6歳のとき、
家族と共にベトナム戦争後の混乱を逃れて
イギリスへ渡った“ボート難民”だ。
以来、これが初めての帰郷だった。

もはやベトナム語すらままならない彼は、
英語が話せる従兄弟のリー(デヴィッド・トラン)の助けを借りながら、
遺灰を埋葬するに適した場所を探すが、
思うようには進まない。
サイゴンは今やすっかり経済成長を遂げ、
かつての姿は見る影もなかったからだ。

そんな中、ネットで知り合った
アフリカ系アメリカ人のルイス(パーカー・ソーヤーズ)と
一夜を共にするキット。
ルイスの父親はベトナム戦争に従軍したという過去を持ち、
そのことを隠してこの国で暮らしていた。

その後、両親の故郷ハノイへ向かったキットは、
サイゴンで知り合ったアートツアーを主催する
学生リン(モリー・ハリス)を訪ね、
彼女の実家が営む伝統的な蓮茶の工房見学をする。
それは、キットの知る“古き良きベトナム”の姿に
ようやく触れられた時間でもあったが、
リンにとっては時代遅れなものらしい。

埋葬場所探しに関しては、
ハノイでも芳しい成果がなく、
サイゴンに戻ったキット。
そこで彼は、
リーから自分たちの家族の亡命にまつわる
“ある真実”を聞かされることになる——。

【感想】
セリフやBGMが最低限に抑えられた映画。
主人公の置かれた状況は、
日本人だとなかなか共感しづらいかも。

◆難民を余儀なくされたことでアイデンティティが揺らいでしまう物悲しさ

ベトナム戦争に起因するボート難民となった主人公。
ボート難民っていうのは、
紛争や圧政などがある地域から、
漁船やヨットなどの小船に乗り、
難民となって外国へ逃げ出す人のことを指す。
日本にずっと住んでいると体験しづらい状況なので、
正直感情移入はしづらい。

6歳までベトナムで生まれ育ち、
その後イギリスに渡ったキット。
30年ぶりに帰郷するも、
街並みは大きく変わり、
ここはどこ感。
愛する両親の遺灰を埋葬したいのに、
適切な場所さえ見つけられない。

話す言葉もイギリス英語に慣れてしまい、
母国語だったベトナム語はほとんどわからなくなっている。
イギリスでさえ、
異国の人という立ち位置なのに、
祖国でもまたよそ者感が出てしまう。
この"ホームなのにアウェー"っていうのは、
「自分は何者なんだろう」
っていうアイデンティティの揺らぎに直結すると思うんだよね。
それは想像もできない寂しさがあるんじゃなかろうか。

それでいて、彼は同性愛者。
行く先々で、
ネットで相手を見つけては
一夜限りの関係を結んでいる。
ここ、同性愛者である設定は必要なのかな?って思ったけど、、、
んー、主人公の孤独をより際立たせているんだろうか。。。
ここだけ腑に落ちなかった。

◆特殊な作りに好みは分かれそう

冒頭にも書いたけど、
この映画、セリフも少なければ、
BGMもほとんどない。
さらに、何か大きな障害や乗り越えるべき試練もなければ、
対立する人もいない。
主人公が両親の遺灰を埋葬する場所を探すために、
日々ぶらぶらしているのみ。
だから、映画として見ると、
個人的にはあまりハマらなかったかな。。。

◆作り手側の背景を知ると見方が変わるかも

監督のホン・カウは、
ベトナムからボート難民として渡英した経緯があるそうで。
主人公を演じたヘンリー・ゴールディングに関しては、
イギリス人の父親とマレーシア人の母親を持つから、
今回、複雑なアイデンティティを持ったキット役に、
何かしら思うところがあったかもしれない。

こういった事情を知ると、
この映画から受けるメッセージも説得力が増すと思う。
とはいえ、そんな事情はよほど映画好きで、
いちいち調べないとわからないことではあるけど(笑)

◆そんなわけで

歴史的背景を知っていたり、
自分あるいは身近な人に同じような境遇の人がいれば、
もう少し楽しめるかもしれないけど、
なかなか一般受けするのが難しそうな内容かなと思った。


元海兵の狙撃手だったおじさんと母親を亡くした少年のロードムービー『マークスマン』

2022年01月18日 23時10分10秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:5/7
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
ロードムービー
アクション

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
愛妻に先立たれ、
メキシコ国境付近の町で牧場を営みながら、
愛犬と暮らす元海兵隊の腕利き狙撃兵、
ジム・ハンソン(リーアム・ニーソン)。
ある日、メキシコの麻薬カルテルの魔の手を逃れ、
越境してきた母子を助けたことから、
彼の運命は大きく変わり始める。

カルテルに撃たれた母親は、
ジムに11歳の息子ミゲル(ジェイコブ・ペレス)を託して絶命した。
ミゲルをシカゴに住む親類のもとに送り届けて欲しい――
日々の生活に手いっぱいのジムだったが、
仕方なくこれを引き受ける。

一方、米国に侵入したカルテルは執拗に彼らを追撃。
迫りくる危機に、
ジムは必死に抵抗する。

果たして彼は、
ミゲルを守り、
シカゴにたどり着くことができるのだろうか。

【感想】
これまでいろんな作品で
"荒ぶるおじさん"を演じてきたリーアム・ニーソン。
今作ではこれまでとは違って、
やや哀愁漂う雰囲気になっているのが意外なところ。
でも、銃撃戦や格闘など、
相変わらずアクションは多めで楽しめる内容。

◆まさかの『クライ・マッチョ』と共通点が多い

先日観てきたクリント・イーストウッドが
監督・主演を務めた『クライ・マッチョ』。
今回の映画、
要素としてはそれとメチャクチャ共通点が多い。

まず、主人公は妻に先立たれた孤独な男で、
生活は困窮。
でも、若いときはすごかったという設定。
そして不本意ながらも、
ひょんなことからメキシコ系の少年と車に乗って逃避行。
ペットもいっしょに。
あと、テンガロンハットが似合う(笑)

今作の監督はロバート・ローレンツという方で、
過去のクリント・イーストウッド作品で助監督も務めていたそう。
だからというわけではないにせよ、
同じ時期に同じ要素の映画が公開されて、
しかも監督同士は繋がりがあるという偶然。

◆似て非なる構成

要素は似ているけど、
ジャンルはまるで違う。
『クライ・マッチョ』はヒューマンドラマなのに対して、
『マークスマン』はアクション。
なので、個人的には『マークスマン』の方が好きだった。
同じような内容でも、
こうも違うものが出来上がるのかと感心する。

民間人を殺すことも厭わない
残虐な麻薬カルテルとの銃撃戦に、
ちょっとしたカーチェイス。
さらに、元狙撃手というキャリアを生かした
必殺攻撃を行うリーアム・ニーソンの姿は
渋すぎてかっこよかった。
あんなおじさんに将来なりたい。。。

◆いろんなことを経験したからこそ言える若者へのメッセージ

2つの映画における彼らのメッセージは共通して、
「自分の道は自分で選べ」だった。
クリント・イーストウッドは91歳、
リーアム・ニーソンは69歳。
過去、数多くの映画に出演し、
幅広い役を演じてきた。
当たり前の言葉でも、
いろんな経験をしてきた彼らだからこそ、
役としてだけでなく、
彼ら自身の言葉として説得力あるなと感じられる。

◆そんなわけで

『クライ・マッチョ』と『マークスマン』、
似通った内容ではあるけど、
テンガロンハットが似合いまくりな渋いおじさんは
それだけで画になる。
ヒューマンドラマが観たいなら『クライ・マッチョ』、
アクションが観たいなら『マークスマン』が、
それぞれオススメです。

 

コメディ控えめの雰囲気と秀逸な構成のおかげでシリーズで一番面白いと感じた『コンフィデンスマンJP 英雄編』

2022年01月18日 01時11分04秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:3/6
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
コメディ
サスペンス
コンゲーム

【原作・過去作、元になった出来事】
・テレビドラマ
 『コンフィデンスマンJP』(2018)

・映画
 『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019)
 『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(2020)

【あらすじ】
“英雄”と謳われた詐欺師〈三代目ツチノコ〉が死んだ。
その元で腕を磨いた過去を持つダー子(長澤まさみ)、
ボクちゃん(東出昌大)、
リチャード(小日向文世)。
当代随一の腕を持つ
コンフィデンスマンによって密かに受け継がれる
〈ツチノコ〉の称号をかけ、
3人の真剣勝負が始まる。

舞台は世界中のセレブが集まる
世界遺産の都市〈マルタ島・ヴァレッタ〉。
狙うは、莫大な財を成して引退した
スペイン人の元マフィアが所有する、
幻の古代ギリシャ彫刻〈踊るビーナス〉。
それぞれの方法でオサカナに近づく3人だったが、
そこに警察やインターポールの捜査の手が迫っていた…。

果たして、最後に笑うのは誰なのか!?
まったく先の読めない史上最大の騙し合いが始まる!!
そして、本当の〈英雄〉、最後の〈真実〉とは!?

【感想】
2018年のテレビドラマから続く人気シリーズ最新作。
この4年の間に映画も3本作られるって、
けっこうなハイペース。
とはいえ、テレビドラマから全部観てはいるものの、
個人的にはあまりハマれず。。。
それが、今回の映画は普通に面白かった!

◆4つの視点から描かれる騙し合いバトルが面白い

今までは、
ストーリーが進んでいって、
最後に時間を巻き戻し、
どこからが仕込みだったのかの
ネタばらしが始まるという構成。
もちろん、今作も大枠はその通り。
でも、今回の話は、
ダー子、ボクちゃん、リチャードによる、
「誰が最も稼げるか」を競い合うゲーム。
3人それぞれが協力者を得て
ターゲットに近づく流れなので、
基本別行動。
だから、『最後の決闘裁判』(2021)のように、
3人それぞれの視点で物語が展開していくのが、
これまでと違うところ。
その中で、ダー子のエピソードの裏側が、
ボクちゃんのエピソードでわかるというように、
「小さなネタばらし」があったのが、
飽きずに観れるいい工夫だと思った。

さらに、その3人だけでなく、
今作で彼らを追い詰める
"インターポールの狼"マルセル真梨邑(瀬戸康史)の視点が入っているのも、
この映画をさらに面白くする要因だったかな。
"敵側の視点"ってのはそれだけで興味をひくし、
瀬戸康史の敵役に徹した演技がすごくよかった。

◆コメディ要素控えめだったのが程よい

このシリーズって、
ダー子ありきっていう要素が強いのが特徴。
だから、彼女にハマらないと、
なかなか物語に入り込みづらいところがあった。
個人的には、
ちょっとやりすぎというか、
やや鬱陶しさを感じていた上に、
笑いのツボも違ったから、
それが今まであまりハマれなかった理由。

ところが、今回は視点が4つに分かれていたので、
ダー子一辺倒だった比重が分散されていたのがよかったのよ!
コメディ調ではあるけど、
いつもより控えめで、
シリアス寄りになっていたから、
ストーリーにも集中しやすかった。
先に書いた「小さなネタばらし」がある中で、
どこが「大きなネタばらし」になりうるのか、
あれこれ予想しながら観るのは楽しい。

◆スタアとジェシーへの配慮

『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019)より登場した
スタア(竹内結子)とジェシー(三浦春馬)。
残念なことに演じられたお二方が亡くなっているので、
本作への登場はないんだけれど、、、
彼女らを思わせるシーンがあるのは感慨深かった。
ネタバレになるので詳しくは書けないけど、
特にジェシーはね、
「生きてるんだなあ」って感じられたのがよかったよ。。。

◆そんなわけで

このシリーズは、過去作からの続投キャラはいるものの、
話としては基本1話完結型で進んできたので、
そこまで過去作と密接な繋がりがないのも気軽に観れるポイント。
この作品が初見だとしても、
面白さが半減することはないと思う。
むしろ自分としては、
それまでハマらなかったシリーズでも、
観続けていると面白さを見出せることもあるなと気づけた
いい作品だった!




昔はすごかったじーさんと不良少年のロードムービー『クライ・マッチョ』

2022年01月15日 23時28分44秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:4/5
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
ロードムービー
ヒューマンドラマ

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 N・リチャード・ナッシュ『クライ・マッチョ』(1971)

【あらすじ】
アメリカ、テキサス。
ロデオ界のスターだったマイク(クリント・イーストウッド)は、
落馬事故以来、
数々の試練を乗り越えながら、
孤独な独り暮らしを送っていた。

そんなある日、元雇い主から、
別れた妻に引き取られている
十代の息子ラフォ(エドゥアルド・ミネット)を
メキシコから連れ戻してくれと依頼される。
犯罪スレスレの誘拐の仕事。
それでも、元雇い主に恩義があるマイクは引き受けた。

男遊びに夢中な母に愛想を尽かし、
闘鶏用のニワトリとストリートで生きていたラフォは、
マイクと共に米国境への旅を始める。
そんな彼らに迫るメキシコ警察や、
ラフォの母が放った追手。
先に進むべきか、留まるべきか?

今、マイクは少年と共に、
人生の岐路に立たされる―― 。

【感想】
クリント・イーストウッド監督デビュー50周年記念作品。
91歳にして監督も主演もこなす
この創作意欲は見習いたいよね。
俳優としても監督としても成功している人って、
ハリウッドでもそうはいないだろうし。

◆雰囲気寄りの映画

個人的には、
クリント・イーストウッド監督作品の多くをそう感じるのだけど、、、
雰囲気なんだよね(笑)
今回も話自体はジジイと不良少年のロードムービーというシンプルさ。
淡々と進んでいき、
ドラマチックな展開というのはない。
降りかかるピンチも偶然で乗り切り、
敵が面白いぐらいに弱い。

ただ、それをキャリア67年の、
業界の酸いも甘いも知った
クリント・イーストウッドがやるから味が出る。
彼がカウボーイの帽子を被って馬に乗ったり、
車に乗ったりするだけで、
極上の画になるのよ。
彼を昔から知ってるファンには
たまらないんだろうなというのが伝わってくる。

だから、不良少年を父親の元に送り届けるミッションのはずなのに、
途中立ち寄った村でのロマンスに
だんだん比重が置かれてしまう謎設定も、
なんか許せちゃう。
まあ、人生は偶然の連続というメッセージとも取れなくもないけど(笑)

◆重みのあるセリフ

そんなクリント・イーストウッドだからこそ、
放つセリフにも説得力があるのよー。
「人は自分を強く見せたがる。
 でも、老いと共に自分が無知であることを思い知る」
というのは、役だけでなく、
現実に90年以上生きてきた中で
実感したことなのかもなあなんて思うと感慨深い。
彼の作品には、
彼がこれまでの人生で感じてきたことを、
後世に伝えるように、
また自分で振り返るように、
セリフとして使われている気がする。

◆そんなわけで

この歳になってもまだ、
監督と主演も行うクリント・イーストウッドの生き様はとても刺激になる。
人はいくつになっても輝けるということを体現しているから。

ちなみに、若い頃の彼はさらにバチクソかっこいいので、
『荒野の用心棒』(1964)なんかは特に観て欲しい!


ラグジュアリーなお家騒動『ハウス・オブ・グッチ』

2022年01月15日 01時45分55秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:3/4
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
伝記
ファッション

【原作・過去作、元になった出来事】
・ノンフィクション
 サラ・ゲイ・フォーデン『ザ・ハウス・オブ・グッチ』(2001)

【あらすじ】
貧しい家庭出身だが野心的なパトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)。
彼女は、イタリアで最も裕福で格式高い
グッチ家の後継者の1人である
マウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)をその知性と美貌で魅了し、
やがて結婚する。

しかし、次第に彼女は一族の権力争いまで操り、
強大なファッションブランドを支配しようとする。
順風満帆だった2人の結婚生活に陰りが見え始めたとき、
パトリツィアは破滅的な結果を招く危険な道を歩み始める…。

【感想】
世界的なブランド、グッチの創業家にまつわる映画。
ただ、創業者のグッチオ・グッチが
いかにしてブランドを作り上げたかという話ではない。
その子供や孫たちのすったもんだがメイン。

◆最初に整理しておきたい登場人物

登場人物が多い上に、
みんな同じグッチだからちょっとややこしい。
最初に誰が出てくるかを簡単に知っておいた方がいいかも。
まず、映画には出てこないけど、
創業者はグッチオ・グッチ。
その子供がロドルフォ・グッチ(ジェレミー・アイアンズ)と
アルド・グッチ(アル・パチーノ)。
で、ロドルフォの子供がマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)で、
アルドの子供がパオロ・グッチ(ジャレッド・レト)。
なので、この2人はいとこ同士。
そのマウリツィオを誘惑して、
グッチ家に取り入ったのが、
今回の主人公であるパトリツィア・レッジアーニ(レディー・ガガ)。

◆パトリツィアの猛プッシュはまさにライオン

パトリツィアは貧しい家庭で育ったせいか、
玉の輿を狙っていたんだろうね。
パーティーで出会ったときからすごいのよ、
マウリツィオへのプッシュが。
日本の映画やドラマだと、
かわいこぶりっ子みたいなキャラが、
お目当ての男の子に猛プッシュするシーンが多いと思う。
けれど、洋画だとそういうぶりっ子っていないんだよね。
今回のパトリツィアもそうだけど、
自信と野心に満ち溢れた感じで、
「私といないと損するよ?」ぐらいの勢いだから、
圧倒されちゃう。
実際、出会った当初のマウリツィオは、
ボンボンの優しいお兄さんだったから、
グイグイ来るパトリツィアに完全にペース持っていかれてたし。
セックスシーンとか笑っちゃったよ。
ここは闘技場かな?って感じだから(笑)

◆グッチ家の運命を変えるパトリツィアの野心

グッチ家に入ってからのパトリツィアは、
もうやりたい放題。
我が物顔でふんぞり返り、
マウリツィオをそそのかして、
どんどんグッチ家の人たちを経営の座から追いやっちゃうから。
「おまえグッチ家の人間じゃないじゃん」
って思うんだけど、
彼女からしたら結婚して家族になった時点で、
自分もグッチ家って認識なんだよね。
「戸籍上はそうだけど血は違うんじゃんか」って思って、
僕はまったく共感できなかったけど(笑)

ただ、やっぱり育ちっていうのはちょいちょい出るんだよ。
マウリツィオと付き合い始めたばかりの頃に、
ロドルフォともお茶をしているんだけど、
そこでの会話の盛り上がらなさとか。
後半、マウリツィオの友人たちと会ったときに、
何かとマウンティングしちゃうところとか。
観ているこっちが「あちゃー」って感じるぐらいには、
会話に温度差があるのが伝わってきた。

◆ストーリー自体は普通

そんなパトリツィアの暴走っぷりが
楽しめる映画ではあるんだけど、
ゆーてもお家騒動だからね。
グッチっていう世界的ブランドの創業家
ってことで注目はされているけど、
お話自体はシンプルかつポピュラー。
あくまでも家庭内トラブルの話なので、
煌びやかな雰囲気はほとんどない。
それでいて、尺が159分とちょっと長めなので、
人によっては少し退屈に感じてしまうかも。

◆そんなわけで

トム・フォードやカール・ラガーフェルド、
アナ・ウィンターなど、
ファッション好きならピンとくる人物も出ている本作。
そういうファッション要素が好きなら、
楽しめる部分は多いかもしれない。

 

世の中のすべての母親に捧げたい『こんにちは、私のお母さん』

2022年01月12日 20時36分17秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:2/3
   ストーリー:★★★★★★★★★★
  キャラクター:★★★★★★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★★★★★★

【ジャンル】
コメディ
感動
タイムスリップ

【原作・過去作、元になった出来事】
・李焕英(人物)
 本作の監督・脚本・主演を務めたジア・リンの母親

【あらすじ】
明るく元気な高校生ジア・シャオリン(ジア・リン)と
優しい母リ・ホワンイン(チャン・シャオフェイ)は大の仲良し。
ジアの大学合格祝賀会を終え、
二人乗りした自転車で家に帰る途中、
交通事故に巻き込まれてしまう。

病院で意識のない母を見てジアは泣き続け、
そして気がつくと…
20年前の1981年にタイムスリップしていた!
独身の若かりし母と“再会”したジアは、
最愛の母に苦労ばかりかけてきたことを心から悔やみ、
今こそ親孝行するチャンスだと奮起。
自分が生まれなくなっても構わない。
母の夢を叶え、
幸せな人生を築いてもらうことが、
娘としてできる「贈り物」なのだ!

だが、やがてジアは“ある真実”に気づく……。

【感想】
泣いた。
体中の水分が全部目から出ちゃうぐらいに泣いた。
監督のジア・リンが、
自身の母との実話を元に脚本と主演も務めた本作。
中国では2021年の最高興行収入かつ、
女性単独監督の最高興行収入を記録したそうだ。
すべての母親と娘に観て欲しい。

◆いろんな要素が詰まったミックスジャンル

この映画は母親との思い出と愛に満ちている。
実際、監督の母親も48歳の若さで亡くなったそうだけど、
自分にとって母親がどれだけ大きい存在だったかを
噛みしめて出来上がった映画だと感じる。

ただ、情報量は多い(笑)
まず、交通事故をきっかけに突然のタイムスリップ。
そこで出会う若かりし頃の母親。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
を彷彿とさせる展開に懐かしさを感じる。

そして、母親の人生の分かれ道となった
社内バレーボール大会。
メンバー集めに奔走し、
ライバルチームとのガチンコバトルは、
まさに熱血スポ根ドラマ。
さっきのタイムスリップからきたSF感からは
想像もできない展開(笑)

そして、ジアと母親の親子愛。
ジアはずっと母親に迷惑ばかりかけていたから、
ここぞとばかりに親孝行しようとするんだよ。
その健気さがまた心温まる。

◆感動は万国共通でも、笑いはその国特有

上記で書いたようなことを、
コメディタッチで仕上げているのが、
この映画の特徴。
なんだけど、笑いのツボが日本とはちょっと違うところもある(笑)
面白いっちゃ面白いし、
笑うところだなってのもわかるんだけど、
僕は爆笑とまではいかず。
まわりで爆笑していたお客さんは、
もしかしたら中国の方かもしれない。
まあ、これはハリウッド映画を観ていてもよくあることだけど。

だからか、間延びっていうわけじゃないんだけど、
そこまで笑えないところに関しては、
シーンの体感時間がちょっと長く感じられる部分もあった。

とはいえ、そういうコメディ要素があればあるほど、
感動はより一層強くなるもの。
終盤、"ある事実"を知ってからがもう、、、
涙が洪水のように溢れてきちゃって。
マスクびちゃびちゃ。
ここはもう国の文化なんて関係なく、
万国共通で泣けるところじゃないかな。

ふと思ったけど、
結局、感動する要素って、
あまり国によって変わらない気がする。
多いのは犠牲や死など、
"別れ"の属性を持つ行為だよね。
これはどの国の映画でも泣けるテイストになっているかと。

◆母と子

世界で最も偉大な女性は、
母親なのかもしれない。
昨年、『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』
を観たときも言ってたんだよ。
親が親であるがゆえに提供できるものは、
"無償の愛"だって。
それを強く強く感じられる映画でした。
だから、2つの視点で楽しめるんだよね。
自分の母親のことを思い出しながら。
または、親として自分の子供のことを考えながら。

◆そんなわけで

母と子の大きな愛情を感じられるこの映画。
エンドクレジット前に、
監督の母親の思い出が語られるのも、
彼女の母に対する愛を感じられるところ。
母親をもっと大事にしようと思えるし、
子供がいる人は、
子供に何を求めるかを改めて考える機会になるかもしれない。
本当に観てよかったので、
ぜひオススメしたい。
とりあえず、ハンカチは持って行った方がいいです。

 

主人公の板挟みされる立場に同情する人が多そうな『決戦は日曜日』

2022年01月09日 19時19分01秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:2/2
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
コメディ
政治

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
とある地方都市。
谷村勉(窪田正孝)はこの地に強い地盤を持ち、
当選を続ける衆議院議員・川島昌平の私設秘書。
秘書として経験も積んで中堅となり、
仕事に特別熱い思いはないが、
暮らしていくには満足な仕事と思っていた。

ところがある日、
川島が病に倒れてしまう。
そんなタイミングで衆議院が解散。
後継候補として白羽の矢が立ったのは、
川島の娘・有美(宮沢りえ)。
谷村は有美の補佐役として業務にあたることになったが、
自由奔放、世間知らず、
だけど謎の熱意だけはある有美に振り回される日々…。

でもまあ、父・川島の地盤は盤石。
よほどのことがない限り当選は確実…だったのだが、
政界に蔓延る古くからの慣習に納得できない有美はある行動を起こす――
それは選挙に落ちること!

前代未聞の選挙戦の行方は?

【感想】
新年一発目の邦画。
「選挙に落ちる」ことが目的という、
普通とは真逆の設定が面白かった。

◆板挟みの谷村に同情

突然選挙に出ることになった有美。
彼女の自由奔放さと世間知らずっぷりは凄まじい。
記者会見で“各々”を“かくかく”と読む。
失礼な配信者に殴る蹴るの暴行を加える。
後援会の人に「やりたくないならやめれば?」と言い放つ。
そんなぶっ飛んだ彼女の言動が笑えるのもポイントではある。

でも、一番キャラクターとして印象深いのは、
その補佐役の谷村だ。
型破りな有美に振り回され、
方々に頭を下げっぱなし。
有美からは「私の何がいけないの?!」と反省の色はなく、
後援会の人からは「ちゃんと教育しろよ!」と怒られる日々。
そんな人たちに対して、
波風を立てず、
それでいてきちんと伝わるような、
典型的な日本人らしい遠回しな言い方を
連発しているところは笑えた(笑)

◆選挙活動の大変さが伝わってくる

この映画を観ると、
選挙活動の裏側も知れたりして、
ちょっとは勉強になる。
ただ、それを見て思うのは、
ただただめんどくさそうだなと(笑)
自分の言動もひとつひとつ気をつける必要があるのは当然。
過去の問題行動まで引っ張り出されることもある。
関わる人が多いから、
挨拶や謝罪などの機会もたくさん。
さらには、自分とは関係ない、
父親の不祥事や利権を狙う連中らに気を揉むことも。
自分の意志とは関係ないことも多々あって、
これは大変すぎると思った。。。

◆「そういうもんだから」への警笛

上記のようなことを
面白おかしく描いたのがこの映画のいいところ。
でも、作品のメッセージとしては
今の日本に対する危機感を思わせるところもあった。
それが、「そういうもんだから」だ。

事務局で働く谷村たちも、
けっこう「そういうもんだから」という言葉で、
何の疑問も持たずに事を進めることがある。
有美は好き勝手暴れながらも、
そういった部分は変えていくべきだと
主張はしていたんだよね。

谷村自身は
事なかれ主義みたいなところがあるんだけど、
彼自身ももはや古いシステムに
どっぷり浸かってる側だから、
何が悪いのかもわからないのよ。
その事実を、
古いコーヒーメーカーから作られた
コーヒーを飲んで気づくシーンは、
けっこう印象的だった。

これは選挙活動だけじゃなくて、
他のところにも通ずる話だと思う。
例えば、大きな会社で働いている人なんかは、
すでに出来上がってしまったシステムに慣れてしまい、
改善すべき点があるのに、
それにすら気づかないっていうケースもあるんじゃないかな。

◆そんなわけで

爆笑というよりは、
クスッと笑える要素を散りばめたコメディ作品で、
面白い設定の映画ではある。
ただ、全体的にまったりした雰囲気なのと、
笑いも「あるある」への共感からくる笑いなので、
ちょっと地味だったかなーという印象。
もう少しドタバタ感があった方が
個人的にはもっと楽しめたかも。

 

メインキャスト3人の歌唱力がハンパなかった『シカゴ』

2022年01月08日 17時49分16秒 | 映画

【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:12/22
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
ミュージカル

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
1920年代のシカゴ。
スターを夢見るロキシー(レニー・ゼルウィガー)は、
浮気相手を射殺して刑務所に送られる。
そこで殺人罪で服役していた憧れのスター、
ヴェルマ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)と出会うことに。

ヴェルマは敏腕弁護士ビリー(リチャード・ギア)に
自らを被害者として演出させ、
獄中でもスターの名声を高めていた。
ロキシーもビリーを雇い、
シカゴ史上最もキュートな殺人犯として、
ヴェルマを凌ぐ人気を手に入れるのだが―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
2002年のアメリカ映画。
偶然にも『スパイダーマン』と同じ年の公開。
年始の『おもしろ荘』のせいで、
『シカゴ』というタイトルを見ると、
あの光景が目に浮かんでしまうけど。。。(笑)

◆ミュージカルというよりショー

ジャンルとしてはミュージカルに分類されるけど、
内容的にはショーに近かったかな。
今登場人物たちがいる場所で、
歌って踊るという形ではないのよ。
歌と踊りのシーンだけ、
現実世界と切り離されて、
ステージの上で行っているってのが特徴。
個人的には、ミュージカルの方が好きなので、
ここはちょっと好みが分かれるところかも。

◆メインキャスト3人の歌唱力に脱帽

この映画では歌声に圧倒されるよ。
レニー・ゼルウィガーは、
最近だと『ジュディ 虹の彼方に』(2019)で
その歌唱力の高さに驚いたけど、
このときからすでにすごかった。
もちろん、彼女だけじゃない。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズも、
リチャード・ギアも、
歌はすべて本人によるもの。
みんななんて上手いんだろう。
煌びやかなステージ演出と相まって、
あの力強い歌声はものすごく心に響くわ。

てか気づいたら、
このときのレニー・ゼルウィガーおよび
キャサリン・ゼタ=ジョーンズよりも
歳を取ってしまったよ、自分。

◆弁護士ビリーの手腕が欲しい(笑)

この映画は、
殺人の容疑で捕まったロキシーが、
弁護士ビリーの協力を得て、
無罪放免されることが目的。
とはいえ、彼女も含めて捕まった人たちは、
みんな自業自得。
真実を語れば、
有無を言わさず全員有罪だろう。

それを、悲劇のヒロインをでっち上げ、
民衆やマスコミ、
裁判員たちの同情を買い、
無罪とさせるのがビリーの役目。
もはや"ビリー劇場"と言ってもいいぐらい(笑)
このスキル、すごいよ。
現代なら、
弁護士だけでなく、
企業の宣伝やマーケティング、
著名人のセルフプロデュースにも使えるほどじゃないか。

まあ、『99.9』のように、
事実を積み重ねて真実に近づいていくタイプの話だったら、
こうはいかないかもしれないけど(笑)
この映画は事件の真実性よりも、
無罪に持っていくまでを面白おかしく描いているから、
そこは重要じゃない。

しかし、そうやって民衆の人気を得ても、
新しい事件が起きたら、
すぐにみんなの関心がそっちに行ってしまうのも、
この映画の面白いところ。
最初は人気だったヴェルマも、
いつしかロキシーにその座を奪われ、
そのロキシーも、
最後には別の事件に注目を持っていかれてしまったから。
実際のシカゴってそいういうもんなのかな(笑)

◆そんなわけで

ショーがメインの内容なので、
普段観ている作品よりは"映画"っていう感じが薄いんだけど、
歌唱力がハンパないので、
そこだけは一見の価値アリかなと思う!

 

・゜・(ノД`)・゜・。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(ネタバレないよ!)

2022年01月07日 13時57分40秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:1/1👑
生涯で観た映画で面白かった順位:3/1969
   ストーリー:★×900
  キャラクター:★×900
      映像:★×900
      音楽:★×900
映画館で観るべき:★×900
(1月10日に2回目観に行って順位アップw)

【ジャンル】
マーベル
スーパーヒーロー
アクション

【原作や過去作、元になった出来事】
・漫画
 『アメイジング・スパイダーマン』(1963-)

・映画
 『スパイダーマン』シリーズ(2002-)

【あらすじ】
ピーター(トム・ホランド)がスパイダーマンだという記憶を世界から消すために、
危険な呪文を唱えたドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)。
その結果、このユニバースに、
ドック・オク、グリーン・ゴブリン、エレクトロ、サンドマン、リザード
といった強敵たちを呼び寄せてしまう。

彼らがこのユニバースに
同時に存在することだけでもすでに危険な状況。
ストレンジは、ピーター、MJ(ゼンデイヤ)、ネッド(ジェイコブ・バタロン)に協力を求め、
彼らを各々のユニバースに戻そうと試みるが、
次々と襲いかかってくるヴィランたちに成す術がない。
その脅威は、恋人のMJや親友のネッド、
さらにはメイおばさん(マリサ・トメイ)にまで及ぶ。

最大の危機に晒されたピーター。
このユニバースを守り、
愛する人たちを守るために、
彼に突き付けられる<選択>とは――。

【感想】
マーベル・シネマティック・ユニバース第27作目。
MCU版『スパイダーマン』シリーズ第3作目。
そして、2022年の映画初め。

いやー、これは、、、今年1位確定だ。。。
でも、何も言えない。。。
とりあえず、ネタバレを避けて思ったことをば。

◆ヴィラン勢ぞろいにエモさ爆発!!

今回から本格的にマルチバース(=多元宇宙論)の扉が開かれる。
マルチバースっていうとわかりづらいけど、
要は並行世界ってこと。
今いる世界と同じような世界が、
他にいくつもあるという設定。
マーベルだけじゃなくて、
DCも同様の設定を採用していて、
アメコミではポピュラー。
最近では『ドラゴンボール超』もそんな感じになってる。

予告にある通り、
本作ではマルチバースによって、
違う世界の住人がやってきてしまうのが最大のウリ。
それが、過去の『スパイダーマン』シリーズに登場したヴィランたち。
しかも、当時演じていた俳優がそのまんま出てるっていう!
グリーン・ゴブリンのウィレム・デフォーを劇場で観たのは2002年。
今から20年前。
当時高校生だった頃の記憶が蘇るわ。

◆貫き通すスパイダーマンらしさ

過去の映画シリーズと比べると、
MCU版のスパイダーマンって一番学園モノ感が強い気がする。
主人公を演じたトム・ホランドが
歴代ピーター・パーカーの中で一番若いってのもあるんだけど、
とにかくフレッシュだし、
コメディ要素も多い。
今回も、過去のヴィランが登場したからといって、
決してシリアス一辺倒になることはなく、
ちゃんと笑いの要素も残ってるのがよかった。
ヴィランやドクター・ストレンジをおちょくるシーンや、
ピーターとMJ、ネッドの掛け合いは笑える。

だからこそ、ピーターを待ち受ける大きな運命が
余計に重く感じられるのよ。
これまで、自由に青春を謳歌したい気持ちと、
大いなる力を持つがゆえの大いなる責任との間で葛藤してきたピーター。
そんな彼の成長の終着点が、
この作品で垣間見ることができる。

◆他を寄せ付けぬ圧倒的な映像クオリティ

ドクター・ストレンジによる"ミラー次元"の表現や、
各ヴィランたちとの超絶バトルなど、
開いた口が塞がらないほどの映像の数々は本当にすごかった。
今回はIMAXで鑑賞したんだけど、
あのドデカいスクリーンと大音量で体感するひとときは、
まさにアメイジング!!

◆過去作の復習は必要

この映画では過去のヴィランが登場するので、
過去作を観直しておいた方が、
より本作を楽しむことができる。
どういった経緯で特殊能力を得たのか、
ヴィランになったのか、
そこは抑えておいた方がよいかと。
今ならhuluやアマプラで観れるよ!

◆そんなわけで

今書けるのはここまで。
過去の敵が全部出るとか、
もはやズルい設定ではあるけど、
スパイダーマン好きにはたまらない作品になること間違いなし!
本編終了後までお楽しみに(笑)

 

2021年日本公開映画の所感

2022年01月02日 00時10分45秒 | 映画
あけましておめでとうございます。

2021年は285本、新作映画を観ました。
300本いけるかなと思ったけど、残念。
チケットの半券の厚さは全部で2.8cmでした(笑)

まあ、昨年は『007』や『ハロウィン』、『ソウ』、
『交響詩篇エウレカセブン』のテレビアニメなど、
長いシリーズの過去作を観ていたから、
そちらに時間を割いてしまったのもあるけど。
その分、旧作は77本だったので、合計362本。
1日1本ペース(笑)
老後の楽しみを食い潰す勢い。

2021年は、僕の好きなシリーズモノの続編が多くて、
個人的には2019年に次ぐ満足の年。
それだけに、
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と
『ウエスト・サイド・ストーリー』が
2022年に延期してしまったのは悲しい。。。
(スパイダーマン公開してたら、間違いなく1位だったけどw)

そんなわけで、2021年の個人的な総合ランキングはこんな感じでした。
マーベルやシリーズモノは言わずもがな、
新感覚ホラー映画だった
『マリグナント 狂暴な悪夢』や『ラストナイト・イン・ソーホー』、
少女たちを食い物にする大人の汚さを浮き彫りにさせた
『SNS -少女たちの10日間-』、
認知症の視点から描いた『ファーザー』など、
ピンで面白い映画も推したい。

やっぱり僕は、
実写に関しては、
邦画よりも洋画の方が好き。

ちなみに、今年日本で劇場公開された映画は1286本(ウィキペディア調べ)。
僕が観た285本の中には配信オンリーのものもあるけれど、
そういう細かいことを無視しても、
全体の22.1%しか観れてません(笑)

1. エターナルズ
2. シャン・チー/テン・リングスの伝説
3. ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット
4. マトリックス レザレクションズ
5. フリー・ガイ
6. ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”
7. ワイルド・スピード/ジェットブレイク
8. ブラック・ウィドウ
9. 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
10. ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ
11. ゴジラvsコング
12. ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結
13. マリグナント 狂暴な悪夢
14. Mr.ノーバディ
15. 少年の君
16. 映画大好きポンポさん
17. ピーターラビット2/バーナバスの誘惑
18. クルエラ
19. tick, tick...BOOM!
20. ラストナイト・イン・ソーホー
21. レイジング・ファイア
22. SNS -少女たちの10日間-
23. ファーザー
24. パーフェクト・ケア
25. シン・エヴァンゲリオン劇場版
26. ラーヤと龍の王国
27. るろうに剣心 最終章 The Final
28. 劇場版 呪術廻戦 0
29. あの夏のルカ
30. ミラベルと魔法だらけの家
31. スタントウーマン 知られざるハリウッドのヒーロー
32. 99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE
33. 劇場版 ルパンの娘
34. ベイビーわるきゅーれ
35. コレクティブ 国家の嘘
36. 白頭山大噴火
37. ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画
38. ザ・スイッチ
39. 美少女戦士セーラームーン Eternal 後編
40. ロン 僕のポンコツ・ボット
41. 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ 星なき夜のアリア
42. アイの歌声を聴かせて
43. くじらびと
44. スペース・プレイヤーズ
45. レッド・ノーティス
46. DUNE/デューン 砂の惑星
47. るろうに剣心 最終章 The Beginning
48. アオラレ
49. キャッシュトラック
50. シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち
51. 孤狼の血 LEVEL2
52. ディナー・イン・アメリカ
53. 最後の決闘裁判
54. 藁にもすがる獣たち
55. クーリエ:最高機密の運び屋
56. 老後の資金がありません!
57. ヤクザと家族 The Family
58. ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男
59. モーリタニアン 黒塗りの記録
60. ドント・ルック・アップ
61. 空白
62. 花束みたいな恋をした
63. プロミシング・ヤング・ウーマン
64. 世界で一番美しい少年
65. キングスマン:ファースト・エージェント
66. MINAMATAーミナマター
67. ONODA
68. ブラックバード 家族が家族であるうちに
69. パーム・スプリングス
70. 美少女戦士セーラームーン Eternal 前編
71. ヒノマルソウル 〜舞台裏の英雄たち〜
72. ジャングル・クルーズ
73. サマーゴースト
74. RUN/ラン
75. ダルバール 復讐者
76. モンテッソーリ 子どもの家
77. ステージ・マザー
78. ボス・ベイビー ファミリー・ミッション
79. 明日の食卓
80. 私は確信する
81. 燃えよデブゴン TOKYO MISSION
82. ノンストップ
83. 21ブリッジ
84. すばらしき世界
85. サマーフィルムにのって
86. アウトポスト
87. ローズメイカー 奇跡のバラ
88. グリーンランドー地球最後の2日間ー
89. 劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班
90. ブレイブ -群青戦記-
91. ニュー・ミュータント
92. セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記
93. ただ悪より救いたまえ
94. モータルコンバット
95. KCIA 南山の部長たち
96. 天空の結婚式
97. ハチとパルマの物語
98. リスペクト
99. イン・ザ・ハイツ
100. 素晴らしき、きのこの世界
101. レミニセンス
102. 悪なき殺人
103. アナザーラウンド
104. ドーナツキング
105. 護られなかった者たちへ
106. 街の上で
107. トゥルーノース
108. レスキュー
109. ディエゴ・マラドーナ 二つの顔
110. オールド
111. ディア・エヴァン・ハンセン
112. ビルド・ア・ガール
113. 沈黙のレジスタンス 〜ユダヤ孤児を救った芸術家〜
114. Our Friend/アワー・フレンド
115. ドリームランド
116. アイダよ、何処へ?
117. トムボーイ
118. 彼女が好きなものは
119. 189
120. 共謀家族
121. アンモナイトの目覚め
122. バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜
123. 砕け散るところを見せてあげる
124. 43年後のアイ・ラブ・ユー
125. エマの秘密に恋したら
126. あの頃。
127. あのこは貴族
128. 騙し絵の牙
129. コンティニュー
130. ガンズ・アキンボ
131. ハロウィン KILLS
132. 整形水
133. 殺人鬼から逃げる夜
134. サイコ・ゴアマン
135. 猿楽町で会いましょう
136. 17歳の瞳に映る世界
137. BLUE/ブルー
138. キャラクター
139. 鳩の撃退法
140. まともじゃないのは君も一緒
141. ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから
142. JUNK HEAD
143. モロッコ、彼女たちの朝
144. 由宇子の天秤
145. ドライブ・マイ・カー
146. SEOBOK/ソボク
147. 1秒先の彼女
148. SLEEP マックス・リヒターからの招待状
149. カムバック・トゥ・ハリウッド!! 
150. ほんとうのピノッキオ
151. 女たち
152. 名探偵コナン 緋色の弾丸
153. ザ・ファブル 殺さない殺し屋
154. ノマドランド
155. ブックセラーズ
156. ボストン市庁舎
157. GUNDA/グンダ
158. モンスターハンター
159. 新 感染半島 ファイナル・ステージ
160. EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション
161. モスル~あるSWAT部隊の戦い~
162. マスカレード・ナイト
163. 竜とそばかすの姫
164. 漁港の肉子ちゃん
165. ジェントルメン
166. ザ・バッド・ガイズ
167. 旅立つ息子へ
168. トムとジェリー
169. グランパウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告
170. 地獄の花園
171. 燃えよ剣
172. 総理の夫
173. うみべの女の子
174. ひらいて
175. リカ 〜自称28歳の純愛モンスター〜
176. ファイナル・プラン
177. ドント・ブリーズ2
178. 白蛇:縁起
179. アンテベラム
180. アイス・ロード
181. 東京リベンジャーズ
182. TOVE/トーベ
183. BELUSHI ベルーシ
184. サイダーのように言葉が湧き上がる
185. THE GUILTY/ギルティ
186. ヴォイス・オブ・ラブ
187. 唐人街探偵 東京MISSION
188. 科捜研の女 -劇場版-
189. すべてが変わった日
190. 野球少女
191. 太陽は動かない
192. ベイビーティース
193. プラットフォーム
194. 聖なる犯罪者
195. おとなの事情 スマホをのぞいたら
196. 聖地X
197. 夏への扉 -キミのいる未来へ-
198. くれなずめ
199. マルジェラが語るマルタン・マルジェラ
200. そして、バトンは渡された
201. いのちの停車場
202. キネマの神様
203. ホロコーストの罪人
204. アウシュヴィッツ・レポート
205. G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ
206. マイ・ダディ
207. 先生、私の隣に座っていただけませんか?
208. 映画 太陽の子
209. 83歳のやさしいスパイ
210. グリード ファストファッション界の帝王
211. スパイラル:ソウ オールリセット
212. 約束の宇宙(そら)
213. 皮膚を売った男
214. 哀愁しんでれら
215. 名も無き世界のエンドロール
216. ダニエル
217. どん底作家の人生に幸あれ!
218. リーサル・ストーム
219. 元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件
220. カオス・ウォーキング
221. スターダスト
222. 水を抱く女
223. 5月の花嫁学校
224. Summer of 85
225. リトル・ガール
226. キャンディマン
227. ファイター、北からの挑戦者
228. ダ・ヴィンチは誰に微笑む
229. あなたの番です 劇場版
230. 復讐者たち
231. 僕が飛び跳ねる理由
232. 映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット
233. ジュゼップ 戦場の画家
234. ミナリ
235. 国際捜査!
236. ワン・モア・ライフ! 
237. 秘密への招待状
238. テーラー 人生の仕立て屋
239. モンタナの目撃者
240. 私はいったい、何と闘っているのか
241. 藍に響け
242. 明け方の若者たち
243. いとみち
244. プロジェクトV
245. AVA/エヴァ
246. メインストリーム
247. CUBE 一度入ったら、最後
248. ファーストラヴ
249. 胸が鳴るのは君のせい
250. はるヲうるひと
251. ビバリウム
252. スクールガールズ
253. 妖怪大戦争 ガーディアンズ
254. 100日間生きたワニ
255. クローブヒッチ・キラー
256. 雨とあなたの物語
257. アーヤと魔女
258. スプリー
259. アジアの天使
260. 裏アカ
261. HOKUSAI
262. カポネ
263. テスラ エジソンが恐れた天才
264. swallow スワロウ
265. キング・オブ・シーヴズ
266. スーパーノヴァ
267. ハニーレモンソーダ
268. 恋する寄生虫
269. 劇場版 奥様は取り扱い注意
270. ライトハウス
271. Arc アーク
272. アンチ・ライフ
273. プリズナーズ・オブ・ゴーストランド
274. ホムンクルス
275. マーメイド・イン・パリ
276. ムーンライト・シャドウ
277. さんかく窓の外側は夜
278. アミューズメント・パーク
279. 土竜の唄 FINAL
280. ライアー×ライアー
281. かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 ファイナル
282. イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社
283. 男の優しさは全部下心なんですって
284. 野良人間 獣に育てられた子どもたち
285. 逃げた女