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ギレルモ監督にしては珍しい作風の現実的なサイコスリラー『ナイトメア・アリー』

2022年03月25日 12時46分38秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:25/47
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
サイコスリラー

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 ウィリアム・リンゼイ・グレシャム『ナイトメア・アリー 悪夢小路』(1946)

・映画
 『悪魔の往く町』(1947)

【あらすじ】
ショービジネスでの成功を夢見る野心溢れる
青年スタン(ブラッドリー・クーパー)がたどり着いたのは、
人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座。

そこで読唇術の技を身につけたスタンは、
人を惹きつける才能と天性のカリスマ性を武器に
トップの興行師(ショーマン)となるが、
その先には想像もつかない闇が待ち受けていた。

【感想】
ギレルモ・デル・トロ監督最新作の
サイコスリラー映画。
予告だけだとイマイチどんな話かわからなかったけど、
人生のアクセルを踏み込みすぎた
スタンの栄光と末路を描いた内容。

ちなみに、原作小説は未読。
また、1947年版の映画も
配信およびDVDレンタルがなかったので未鑑賞。

◆ファンタジー要素が一切ない意外性

ギレルモ監督が『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)で
アカデミー作品賞、監督賞を受賞したのは記憶に新しい。
それに代表されるように、
彼の作品ってファンタジーや特撮っぽい作品が多いんだよ。
『ヘルボーイ』シリーズや『ホビット』シリーズ、
『パシフィック・リム』シリーズなど。
さらに、日本の特撮やアニメ、
マンガにも詳しいようで。

そんな彼が手掛ける映画なので、
てっきりダークファンタジーかなと思っていたんだけど、
これがまた全然違ってね。
カーニバルを舞台に、
ショービズで成功しようと夢見るスタンの
栄枯盛衰を描いたサイコスリラー。
半魚人や巨大ロボットといった空想的なものは一切なく、
現実的な路線。
これはけっこう意外でした。

◆人生のアクセルの踏みどころの難しさ

この映画では、
暗い過去を抱えながらも、
パフォーマーとしての成功を夢見る
スタンの生き様が面白いポイント。
公式サイトのあらすじでは"青年"ってなってるけど、
演じたブラッドリー・クーパーは47歳だから、
青年って表現は適格じゃないと思うけど(笑)
透視術?を学び、持ち前の"華"を武器に、
トップにまで登りつめる彼だけど、
その先をどうしていくかっていうのが非常に興味深かった。

もちろん、あそこまでの地位になったら、
さらにその上を目指したくなるのはわかる。
わかるけど、彼はそこで手を出してはいけない領域に入っちゃった。
そこでキーパーソンとなったのが、
リリス博士(ケイト・ブランシェット)。
彼女は心理学者だけど、
人の心に漬け込み、
精神を揺さぶるという点においては、
スタンと同様の能力を有する存在と言えるだろうね。

その出会いから、
思いも寄らない方向へと物語が進んで行く。
途中、引き返せるチャンスはいくつかあったのに、
スタンは自身の過去におけるトラウマもあってか、
どんどんアクセル踏んじゃう。
「あそこで冷静になっていれば」って思うんだけど、
人生においてどこでアクセルを踏むべきか
っていうのは難しいなと思った。

◆圧倒的な存在感のケイト・ブランシェット

後半から登場するリリス博士。
彼女を演じたケイト・ブランシェットがさ、
これがもう本作のダークな世界観にバチハマりしてるんだよ!
"妖美"っていう言葉、
彼女のためにあるんじゃないかってぐらい、
ミステリアスでエロくて美しい。
後半の主人公は彼女なんじゃないかって思うほどの存在感。
生まれ変わったら、
ケイト・ブランシェットになりたい。

◆そんなわけで

これまでのギレルモ監督の作品とは打って変わって、
現実的な路線っていう意外性ある映画。
スタンの栄光と衰退の移り変わりを観るのも楽しいけど、
個人的にはケイト・ブランシェットの美しさだけでも
観る価値がある作品だと思った。

 


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