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だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

親が思う以上に子供は親を見ている『明日の食卓』

2021年05月31日 23時51分13秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:19/100
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
サスペンス
家族
親子関係

【あらすじ】
フリーライターで2人の息子を育てる石橋留美子(菅野美穂)。
シングルマザーで大阪に暮らすフリーターの石橋加奈(高畑充希)。
年下の夫と優等生の息子に囲まれ、
一見何不自由なく幸せを手に入れている石橋あすみ(尾野真千子)。

なんの接点もない3人だが、
唯一の共通点は、
「ユウ」という息子がいること。
彼女たちは「ユウ」を育てながら、
忙しく幸せな日々を送っていた。

しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。
苦労はあっても、
息子への愛に偽りはなかったはずなのに、
どこで歯車が狂ってしまったのか。

3つの石橋家がたどり着く運命とは……?

【感想】
100本目。
今年、邦画豊作じゃない?
これは胸をえぐられるような映画だったよ。
子を持つ親、
特にお母さんな人はかなり共感できそうだから、
覚悟した方がいいかも。

もともとの小説は読んでいないのだけれど、
この映画のすごいなって思ったところは、
出てくる家族のリアルさ。
本当にそこらへんにいそうだなって設定に
共感できる人は多そう。
三者三様ではあるけれど、
どこかしらに自分も属するんじゃないかっていう
最大公約数的なポジショニングがうまい。

留美子は、フリー?のカメラマンの夫と2人の息子と団地住まい。
夫婦共に仕事に融通が利くタイプで、
収入的にはこの3家族の中ではちょうど真ん中ぐらいかな。

加奈は、ワーキングプアの母子家庭。
コンビニとクリーニング店を掛け持ちして働いており、
お世辞にもいい暮らしとは言えない状況。

あすみは、ボンボンの夫と結婚し、
地方にある夫の実家の隣に自分たちの家も建て、
経済的には何不自由ない暮らしができている主婦。

この3家族は接点こそないものの、
みんな人当たりもよく、
子供に十分な愛情を注ぎ、
自分たちなりに幸せに生活してる。
一見すると、どこにも歯車が狂いそうな要素はない。

なのに、小さなところから
ピシッて亀裂が入っちゃうんだよ。
それがだんだん大きくなって、
やがて家庭が崩壊していく過程に心が痛む。

3家族の話が並行して進んではいるものの、
1家族あたりの話が濃厚で、
それだけで1本映画になるんじゃないかっていうぐらい。
いずれも家族のちょっとした歪みが、
取り返しのつかないことになっていくんだけど、
どれも身近にあっておかしくない内容だから、
余計に感情移入しやすかった。

さらに、母親たちと子供たちの迫真の演技が凄まじくて、
ものすごく魂が揺さぶられる感じがした。
もう感情が振り切れて、
心の叫びが出ちゃってるところは圧倒された。

で、この映画で一番注目すべきは、
子供たちだと思うんだよ。
作中でいろんな事件が起こるんだけど、
その直接的な犯人は子供たち。

でも、彼らが悪いのかって言ったら、
一概にそうとは言い切れない部分もある。
むしろ、悪いのは大人たちじゃないかなって気さえするんだよなー。
子供たちがそうなってしまう環境を作ったのは親だから。

見てるんだよ、子供は。
親が思っている以上に。
その表情、言葉、行動、態度。
子供はそれらを敏感に感じ取って、
親に気を遣い、
時に自分を責める。
そういうのが積もり積もって、
悲劇の発端へとつながっていく。

僕には子供はいないけれど、
常に見られているという意識を持ち、
子供としっかり向き合うことが
大事なのかもなって思える内容だった。

ちなみに、4人目のユウもいるんだけど、
もはや最初の3家族だけで十分な気もするので、
少なくとも映画版ではそこまで重要じゃないのかなって、
個人的には感じた。

何にせよ、親である人には観て欲しい映画。

映画『明日の食卓』公式サイト

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