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だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

他愛のない日常が極上のドラマになってる『街の上で』

2021年04月25日 23時24分12秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:26/78
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ラブストーリー
ヒューマンドラマ
浮気
恋バナ
恋愛相談
下北沢

【あらすじ】
下北沢の古着屋で働いている荒川青(あお)。
青は基本的にひとりで行動している。
たまにライブを見たり、行きつけの古本屋や飲み屋に行ったり。
口数は多くもなく、少なくもなく。
ただ、生活圏は異常に狭いし、行動範囲も下北沢を出ない。
事足りてしまうから。

そんな青の日常生活に、
ふと訪れる「自主映画への出演依頼」という非日常。
出演することになるまでの流れと、
いざ出てみたものの、
それで何か変わったのかわからない数日間。
また、その過程で青が出会う女性たち。

青は彼女たちとの交流で何を感じるのか。

【感想】
始終、人の恋愛相談を聞いているような感覚の映画(笑)
でも、それが妙に心地いいというか、
微笑ましいと感じられるのが、
この映画のすごいところ。

それは、極限にまで精製された
共感度の高い主人公がいてこそかなーって思う。
彼は、いわゆる凡人だ。
下北沢の古着屋で働き、
たまに行きつけのバーに行き、
帰って寝て、
それで次の日も同じことが続く。

何か夢を追いかけるわけでもないし、
身を焦がすほどの恋に出会いがあるわけでもない。
むしろ、彼女に浮気された挙句、
「別れたい」と言われる始末。

ヨリは戻したいけど、
そのために他の映画であるような
「懸命な努力」や「絶えることのない愛」
を見せつけることもしない。
せいぜい、バーのマスターに愚痴って終わりだ。

ああ、多くの人ってこうかもなって感じる。
こういう物語だと、
主人公が目的を達成するために、
苦難を乗り越え、
その先に勝利が待っているというのが王道。
その過程で主人公が大きく変化・成長するっていうことに、
観ている人夢や希望を抱くよね。
自分もそうありたいと。

でも、実際はどうだろう。
インタビューで主人公の青を演じた若葉竜也も言っていたけど、
人ってそんなに急には変えられないし、変わらない。
僕もまあ同じことを考えているかな(笑)

変わりたいと願うだけの人が大多数。
残りの変わろうと努力した人たちも、
それを完遂する前に辞めてしまう人がほとんどじゃないか。

今回の主人公だって、
結局何か大きく変わったということはない。
でも、そこに人間らしさがあると思うんだよなー。
幻想に近い綺麗事を並べる映画も
それはそれで憧れを抱くけれど、
この映画は共感を呼ぶことに振り切っているのが面白い。

今泉力哉監督の映画のそんなところが、
僕は好きなんだよね。
男女の恋愛において、
「あるある」といった共感を感じられること、
「このキャラはきっとこう思っていたんだと思う」と、
登場人物の気持ちを身近に感じられることがけっこう多くて。

この方の作品をすべては観たことないけれど、
今回の映画は『愛がなんだ』や『アイネクライネナハトムジーク』に近い雰囲気を感じるかも。
ものすごくドラマチックでロマンチックっていうわけじゃないんだけど、
この男女の距離感や考え方のすれ違いなどを描くのがとてもうまい。

さらに、今回の映画では、
コメディかと思うほどにキャラクターのやり取りが笑えるのも特徴的。
セリフの掛け合いや"間"の使い方が絶妙で。

また、一見バラバラに見えた登場人物たちが、
意外なところでつながっているという設定は、
現実でもあるリアルさを覚える。

悩める男女のあれやこれやを描かせたら、
今一番上手に作れる人なんじゃなかろうか。

この映画で個人的に一番いいなと思えたのは、
青とイハ(中田青渚)のやり取り。
あれ、ワンシーンが長かったよね。
10分~20分ぐらいあったんじゃないかな。
セリフっていうのを忘れるぐらい、
2人の自然すぎるトークがよかった。
お互いの恋愛話をグダグダ話してるだけなんだけど、
「友達のまま恋愛関係になれたらいいのに」
みたいな話に、強く同意したよ(笑)

まあでもやっぱり、
若葉竜也の演技が一番よかったかな。
全編を通じて見せるぎこちなさや
素朴な感じに親しみを感じる。

映画『街の上で』公式サイト

『愛がなんだ』若葉竜也×今泉力哉監督が、変容する“文化の街”下北沢を舞台に紡ぐ、古着屋と古本屋と自主映画と恋人と友達についての物語。

 


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