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だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

恋愛映画ではなく苦悩映画の『小説の神様 君としか描けない物語』

2020年10月29日 23時47分12秒 | 映画


【基本情報】
製作年:2020年
製作国:日本
 配給:HIGH BROW CINEMA

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:144/155
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
中学生で作家デビューしたものの、作品はSNSで酷評され、
自分を見失った売れない高校生小説家・千谷一也(佐藤大樹)。
一方、同じクラスの人気者でドSな性格の上、
ヒット作を連発する高校生小説家・小余綾詩凪(橋本環奈)。

底辺作家と人気作家、性格もクラスでの立ち位置も、
すべてが真逆の2人に、編集者から下されたミッションは、
2人で協力して小説を書くことだった。

ダメな男子とキラキラ女子という正反対の2人が、
反発しながらも足りないものを補い合い、
物語をいっしょに作るうちに、
一也は詩凪の誰にも言えない秘密を知ってしまう。

【感想】
よくある高校生キラキラ青春純愛物語かと思いきや、
高校生ながらもプロの小説家として活動する男女の苦悩を描いた作品。
原作の小説は読んでいないけれど、世間の評価の低さの割には、
僕は映画としては悪くなかった印象。

天才的なセンスでどんどんネタを提供する詩凪がプロットを考え、
それを文才はあるけどイマイチ内容の面白さに欠ける一也が
形にしていくという共同作業は、『バクマン。』を彷彿とさせる。

こういうのってよく片方が病気とか
不慮の事故とかでいなくなってしまうパターンだけど、
今回は"詩凪の抱える秘密"が理にかなっているというか、
納得感ある設定なのはよかった(ネタバレになるから言わないけどw)。

僕は普段まったくといっていいほど本を読まないけれど、
「書きたいのに書けない苦悩」や
「自分の作品が受け入れてもらえない恐怖」というのは、
一応過去にちょっとだけ脚本の学校に通っていた身としては
共感できる部分ではあった。

でも、一番共感できたのは、
文芸部部長の九ノ里正樹(佐藤流司)のポジションなんだよね。
彼も作家志望なんだけど、勉強もできてスポーツ万能、
しかも友達もたくさんいるという、まさに"なんでもできるマン"なのに、
小説だけ書けない。

何でもそつなくこなせるジェネラリストだからか、
クリエイティビティが問われるスペシャリストになれないんだよね。。。
この悔しさややるせなさは辛いよなあ。

これね、本当になんで自分にはできないのかわからないんだよね。
スポーツみたいに、筋肉がないとか、体が固いとか、手先が不器用とか、
自分に足りないところが目に見えてわからないから、
あきらめ時もつかめないし、かといって改善する手立ても不明瞭だし、
思い悩むことしかできない。

しかも、目の前にプロの小説家として活躍する人が2人もいるのだから、
より一層追い打ちをかけられると思う。
まあ、作中での彼はそこまで悩んでいなかったけど。

なお、同じ小説家を目指す映画だったら、
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の方が断然面白いかなー。

今作は、小説をいかに書き切るかっていうところに寄ってたけど、
『若草物語』は小説家を目指す主人公の生き様を描いているから、
人間ドラマとしてはそっちの方が映えるんだよね。

作家の苦悩ってのは、自分がその道を経験していない限りは、
第三者からわかりづらいと思うから、執筆活動そのものよりも、
その人の人間性について触れた方が面白くなる気がする。

それにしても、和久井映見もすっかりお母さん役だなー。
時の流れを感じる(笑)

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