Blog of 俺 by 俺 for 俺

自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

生活保護をテーマに描かれる温かくも悲しい家族の物語『護られなかった者たちへ』

2021年10月06日 00時33分01秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:66/204
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
サスペンス
殺人事件
東日本大震災
生活保護

【あらすじ】
東日本大震災から10年目の仙台で、
全身を縛られたまま放置され、
"餓死"させられるという不可解な殺人事件が相次いで発生。
被害者はいずれも、誰もが慕う人格者だった。

捜査線上に浮かび上がったのは、
別の事件で服役し、
刑期を終えて出所したばかりの利根(佐藤健)という男。
刑事の笘篠(阿部寛)は、
殺された2人の被害者から共通項を見つけ出し、
利根を追い詰めていくが、
決定的な証拠がつかめないまま、
第3の事件が起きようとしていた――。

なぜ、このような無残な殺し方をしたのか?
利根の過去に何があったのか?

【感想】
中山七里さんの小説が原作の映画。
それは読んでいなかったので、
あの予告に『64-ロクヨン』を撮った瀬々敬久監督だったから、
サスペンス全開なのかと思いきや。
殺人事件はメインではなく、
生活保護をテーマとしたヒューマンドラマだった。
2018年に放送されていた
『健康で文化的な最低限度の生活』
というテレビドラマを思い出す。

ヒューマンドラマ寄りなので、
殺人事件といえども複雑な話ではない。
むしろ、勘のいい人なら、
事件の犯人は途中でわかってしまうかもしれない。
でも、この映画は「犯人が誰か」はあまり重要ではない。
「犯人の動機が何か」というところがポイント。

サスペンス映画だと「動機がイマイチ……」
みたいな話も世の中には多い。
その点、この映画はその動機に至る経緯が濃厚で、
犯人に共感、、、してはいけないけど、
気持ちがとてもよくわかる内容だ。
犯人探しが目的でないからこそ描けるものだと思った。

役所側の葛藤があるのも興味深かった。
震災で家族や友人を失くし、職も失い、
生活保護受給者が急増。
不正受給をする人もいれば、
"スティグマ"と呼ばれる、
生活保護を受けることを恥だと感じ、
必要なのに申請しない人もいる。

役所側だって、
できることなら全員を助けてあげたい。
でも、限られたリソースの中で、
また不正をする人もいる中で、
全員が望む形を実現する難しさも垣間見える。

この映画における殺人事件はひとつの結果でしかなく、
その裏にある温かくも悲しい家族の物語こそが一番観て欲しいところ。
原作者本人が
「事件の犯人はわかっても、物語の犯人は読み終えた後も誰にもわからない、
 現時点での最高傑作です!」
と言うのもうなずける(笑)

映画『護られなかった者たちへ』公式サイト 大ヒット上映中

そして、<10年目の殺人>は起きた――。連続“餓死”殺人事件。異様な事件の裏に隠された、切なすぎる真実とはー

映画『護られなかった者たちへ』公式サイト 大ヒット上映中

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿