ほんわか亭日記

ダンスとエッセイが好きな主婦のおしゃべり横町です♪

「ポチの死」・・1

2012-03-03 | エッセイ
2012年3月3日(土)

今日は、ひな祭り。ハハのところに行って、ウィステの
お雛様の色紙を見ながら、「ひなまつり」を歌った。
ハハもしっかり歌ったよ。(^^)

それから、去年の今日、ポチが死んだんだ。
だから、帰りにペット霊園に寄って、共同墓の観音様に手を
合わせてきたよ。南無・・。

そこで、「ポチの死」
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 突然、足元でバタバタっとした動きを感じた。眠気でぼやっとしたまま
ベッドから起き上がると、ポメラニアンのポチが、私の掛け布団の上をうろうろと
歩きまわっている。まだ夜中の三時過ぎだ。いつもは私の布団の上で暖かそうに
眠っている時間なのに、どうしたのだろう。「ポ~チ~?」と、声をかけるが、
ポチは私の声が耳に入らないのか動きを止めず、急にベッドから飛び降り、
なんと、絨毯に屈み込むようにしてオシッコを始めた。私は、「コラッ」と、
ポチをひょいと抱き上げ、ベッドの横に置いたサークルの中に入れた。
眠いのに雑巾と洗剤で後始末をしていると、
〈まったく、おじいちゃんが、ポチを甘やかすばっかりで、ちゃんと躾を
してくれなかったから〉
 と、つくづく思う。
 私の父が亡くなり、母は長期入院中のため、父の慰めとなってくれたポチを
私が引き取って二年半、十三歳になったポチは、この二月から気管支炎を患っていた。
朝晩飲ませていた胆石の薬、心臓の薬に、気管支炎の薬も加わったが、日に何度も
起こすゲホ、ゲホ、ゲホーという苦しそうな咳はなかなか止まなかった。
 だが、咳が収まればいたって元気で、食欲はある。散歩に出ても足取りは
しっかりとしており、道端に生え始めた雑草をしきりに嗅いでみたりと、咳の他は
いつものポチと変わりなく、それほど心配はしていなかった。
 再びベッドに横になると、サークルの中から、ときどきポチのヒュー、ヒューという
息遣いが小さく聞こえてくる。
〈ポチは、オスだからオシッコするとき、必ず片足を上げるよね。しゃがんで
オシッコをするなんて、ポチ、どうしちゃったんだろう?〉
 というかすかな違和感を胸に、私はそのまま寝入ってしまった。
 朝の六時、目覚まし時計の音で起きると、サークルの中のポチは、ゼ~、ゼ~と
音を立てて荒い呼吸をしていた。まずい、気管支炎が悪化して、肺炎を起こしたのかも
しれない。じっとしているポチを抱いて一階に降り、リビングのソファーの上に
そっと下ろした。
 今日は木曜日。行きつけの動物病院の定休日ではあるが、ここは当直の獣医師が
交代で、急患を診てくれる。九時になったら一番で行こう。それまで、私は、朝食をとり、
洗濯機を回し、夫の仏壇や、父の家の仏壇にお線香をあげたりしていた。そろそろ
出かけようとポチを見ると、ポチはいつの間にかソファーから下り、絨毯の上に
しっかりと四足で立って、私をじっと見つめている。固まったように踏ん張っている
様子が、いつものポチらしくない。私はポチを抱いた手に伝わるドキドキとした
心臓の鼓動に、「大丈夫」と肯いて、動物病院へ車で急いだ。
 担当の女医さんとは違う、若い男の先生が来て、診察台の上のポチを一目見、
「あ、いけない」と、声を上げた。「とりあえず、酸素室に入れます」
 と、すぐにポチを両掌の上に乗せ、診察室の奥にある処置室の壁際のケージの上段に
運びいれた。そのケージにはガラスの扉が付いていて、外枠に、「高濃度酸素集中室」
と表示されていた。人間の使う酸素室のイメージに比べ、なんと小さな酸素室だろう。
だが、ここに入るということは、ポチは大変なことになっているのに違いない。中を覗くと、
ポチはここでも四足を踏ん張って立ち、訳の分からない場所に入れられた不安からか、
私のほうをじっと見ている。先生は、この中が外気の二倍の酸素濃度になっていると
説明してくれた。
「この濃度で、こんなに荒い呼吸をしているなんて。こういう子は、あんまりいません。
ともかく、ここで体力を回復させないと、レントゲンもエコーも撮れません」
 そのため、原因はまだはっきりとは言えないけれど、と断りながら、彼は、
ポチの舌が紫色になっていると指摘した。確かに、色が悪い。さらに、
「推測ですが、肺に水が大量に溜まっていて、多分、水を吸ったスポンジのように
びしょびしょになっているのでしょう。そうなると、いくら呼吸しても酸素を身体に
取り込むことができないので、酸欠を起こしているんです」
 と、続けた。何故、急にこんな風になったのだろう?という疑問に、先生は、心不全の
可能性をあげた。心不全を起こすと、急激に肺に水が溜まり、肺水腫になるのだそうだ。
心不全!確かに、心臓も悪くはなっていた。とすると、ポチはどうなるのだろう?
(続く)
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この作品は、いつもの3倍くらいの長さ。
それだけ、いろいろ書きたかったんだった。
それで、・・・あとは、「続き」。
コメント
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