「どうしたんだよ?」
やってきた加奈子の顔色がいまいち、よくない。
「ん・・・」
生返事をしたあと、煙草をバックの中からひっぱりだす。
「あん?」
話せよと催促すると、
「あんたこそ・・なんか、変だよ・・」
って、いいかえしやがる。
俺も煙草をひっぱりだしてくる。
「まあな・・・」
俺のほうは現実問題じゃない。
まあ、簡単に言えば、幽霊みたいなものだ。
もちろん、俺に . . . 本文を読む
「だいたいね。あたしもうかつだったわ。だけど、もっと、言葉をえらんでほしかったわ」
いきなりの加奈子の電話にでたとたん、矢の様な文句が俺にふりそそいでくる。
「なんだよ。わかるようにいえよ・・」
かなり興奮気味の加奈子に俺は期待していない。
ただ、おぼろげに加奈子のいいたいことがなにかわかるかもしれないって、それだけだった。
「だからね、あたしと付き合いたいなら、ちゃんと、言葉を選んでく . . . 本文を読む
理恵ちゃんの件でますます俺は加奈子にぞっこんになっちまったわけだけど、
肝心の浩次と里美がまだ、修復できていない。
加奈子もあんな性分だから、俺とのことも進展する気になれないってえか、
妙に気がそぞろってとこだろう。
俺は神様に祈るみてえに、浩次と里美がまるく納まることを願ってみた。
そこに電話だ。
だいたい、俺が加奈子のことを見直すきっかけになったのが、
電話がはじまりなわけだけど . . . 本文を読む
俺の疑問というか「すねお」を加奈子はまたもよみとったんだろう。
「あのね・・あたしが、里美に言ったんだよ。
相談にのったげるから、おいでってね」
わざとえらそうな口調でいうのは、加奈子の優しさだ。
頼りがいのある加奈子さんだから気にせず気楽にはなしなよ。
って、わざとえらそうにいって、みせる。
「だってねえ。あたしも約束したしぃ~~~~」
里美が首をかしげた。
「約束って?」
う . . . 本文を読む