憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

竈の神  白蛇抄第18話 まとめ5

2022-11-28 01:15:03 | 竈の神  白蛇抄第18話
白銅からの伝えを聞くと、 澄明は、また、善嬉のもとへ出向いた。 「白銅を通して、男のことは読めるのですが」 気になるのは、男 榊十郎の息子、榊縅之輔の 思念に混ざり込んできた白い大きな犬だった。 「白銅は、犬神のもとに成ったのではないか、と考えている様です」 あとは、善嬉が白い犬を読み下すだろう。 しばらく、善嬉は、黙りこくっていた。 やがて 「澄明、白銅の思う通りだの。 榊一 . . . 本文を読む

竈の神 白蛇抄第18話 まとめ4

2022-11-28 01:13:46 | 竈の神  白蛇抄第18話
昼には、烏丸まで、と、思っていたが 鴨川縁に、人だかりを見た。 それで足が止まったのだが、 人だかりの真ん中に、あの口入屋の男がいる、と 法祥がいいだした。 「どれだ?」 「あの、背の高い男です。着物を羽織っている、あの男です」 妙な言い方をしているが、素裸に着物を羽織っているのではない。 普通に、着物をきておいて、もう1枚薄手の麻かなにかの着物を 羽織っている。 羽織を重ねる . . . 本文を読む

竈の神 白蛇抄第18話 まとめ3

2022-11-28 01:09:54 | 竈の神  白蛇抄第18話
もう小半刻たつだろうか。 法祥も白銅も言葉を交わす事なく 魯をこぐ音と水音だけが、 舟のうしろへ流れていた。 悟るとは、さあと取れる事を言う。 法祥は考えても考えても さあ、と、取れるものを掴めずにいる。 考えるだけ、無駄と言っても良い。 「法祥、おまえは、なにを考えるか判っておらぬ。 わしが、いうたのは、 自分で ということを 考えろというたのじゃ」 転がりだした岩を止めて . . . 本文を読む

竈の神 白蛇抄第18話 まとめ2

2022-11-28 01:04:13 | 竈の神  白蛇抄第18話
白銅と法祥は、京にむかう。 おそらく、舟で大津ちかくまでいくだろう。 旅支度も手慣れたもので、ささと、整えると 銭をくれと、白銅が手を差し出す。 戸袋にあるといいおくと 澄明もまた、家を出た。 行き先はすでに決まっている。 九十九善嬉 白虎を祀る善嬉を尋ねる。 銀狼を手繰る事は出来ないと考えてはいたが 法祥に答えているうちに 見えてきたことがある。 それを、まず、善嬉に尋ね合 . . . 本文を読む

竈の神 白蛇抄第18話 まとめ1

2022-11-28 01:01:43 | 竈の神  白蛇抄第18話
白銅と二人、黒犬からおりたてば そこは二人の住まいの外 裏庭におろされた。 「念のいったことだ」 白銅がつぶやく。 「念がいっている?」 「そうだろう。裏口におろしよるのだから」 なにが念入りなのか、やはり、わからない。 「わしは、はらがへった」 「ああ・・」 裏口をあければ、そこはすぐ、くどである。 確かに念入りだとおもうが、やはり、気にかかる。   「うまく . . . 本文を読む

竈の神・・25

2022-11-24 02:24:11 | 竈の神  白蛇抄第18話
飯屋にはいると、 白銅は驚かされる。 やけに、店主が丁寧なのだ。 驚いた顔の意味を察した法祥は 店主の丁寧さの理由を話す。 「坊主には親切にしておくと あの世での扱いが良くなる、と、信じられているのですよ」 「ほおお」 間の抜けた返事しか出てこなかったが 思うところはある。 寺ばかりある。 神社も多い。 ーどうせ、鎬を削るに都合の良い風聞をたてたのだろうー 「誰が吹聴したか . . . 本文を読む

竈の神・・24

2022-11-14 02:29:59 | 竈の神  白蛇抄第18話
澄明の式神により、善嬉が来ると知らされた白銅は その由と善嬉とともに、 榊十郎の息子、縅之輔に逢おう と、法祥に伝えた。 「わざわざ、逢わずとも、陰陽術で読むことができるのでは?」 ー読むーと、いうことを、簡単にできると考えるのは 仕方が無い事である。 「直接、白い犬が縅之輔に、憑いていいるのなら、 それもできる。 が、縅之輔の前世がひょっくり顔をだしたというより 血の中に溶け込 . . . 本文を読む

竈の神・・23

2022-11-12 19:22:12 | 竈の神  白蛇抄第18話
善嬉も、舟で行くだろうが、 むこうには、舟が一艘。 三井寺の船場に留めてある。 と、なると、 帰りの無駄を省くためにも 善嬉は、船頭を見つけるだろう。 そして、白銅が借りた舟で帰ってくる。 ー無駄を嫌うのは、良いのだが 時に、無駄を楽しむ気を持ってくれればよいのにー と、澄明が思ってしまうのは 善嬉が、恋さえ、無駄と考えているように見えるからだが、 この前の妙に、気色ばんだ善 . . . 本文を読む

竈の神・・22

2022-11-12 19:21:52 | 竈の神  白蛇抄第18話
白銅からの伝えを聞くと、 澄明は、また、善嬉のもとへ出向いた。 「白銅を通して、男のことは読めるのですが」 気になるのは、男 榊十郎の息子、榊縅之輔の 思念に混ざり込んできた白い大きな犬だった。 「白銅は、犬神のもとに成ったのではないか、と考えている様です」 あとは、善嬉が白い犬を読み下すだろう。 しばらく、善嬉は、黙りこくっていた。 やがて 「澄明、白銅の思う通りだの。 榊一 . . . 本文を読む

竈の神・・21

2022-11-12 19:21:34 | 竈の神  白蛇抄第18話
「榊縅之輔の思念の中に、大きな白い犬が映ってくる これは、たぶん、犬神の大元、前世の最初ではないかと思うのだ」 白い犬と一口で言ってしまうと 法祥には判らない事であろう。 「白い犬というのは、 人間になりたい、と、思っているのだ」 やはり、法祥は得心できない。 「犬が?犬が、人間になりたい、と、思う? じゃあ、輪廻転生で、場合によっては 私が、元は白い犬だったということだってあり . . . 本文を読む

竈の神・・20

2022-11-12 19:21:16 | 竈の神  白蛇抄第18話
息子の縅之輔に犬神が憑くことにより、 榊十郎への守護が無くなるのではないだろうか? この場合、守護と言わないだろうが、 それでも、お上の目から密貿易を隠し通す と、いうことが、犬神の守護であれば 榊十郎を守護している間は 榊十郎は、安楽に密貿易を行える。 だが、犬神が榊十郎を見限ったら、 お上につかまり、刑罰を与えられる。 どんな刑罰になるのかまでは、 法祥には、判らないが . . . 本文を読む

竈の神・・19

2022-11-12 19:20:56 | 竈の神  白蛇抄第18話
なにか、妙だと感じただけの法祥であったが 白銅は妙ではなく、はっきりとなにかを見抜いているのか 「白銅さん・・良くない・・というのは?」 「みっつ、ある」 「みっつ・・・も?」 「ひとつは、お前が聞いてきたことの裏だ」 法祥はまだ、なにも白銅に告げていない。 女の話がきこえる場所に居なかった白銅である。 ー私を読んだということだろうか?ー だが、わざわざ読まなくても良い。 じき . . . 本文を読む

竈の神・・18

2022-11-12 19:20:36 | 竈の神  白蛇抄第18話
昼には、烏丸まで、と、思っていたが 鴨川縁に、人だかりを見た。 それで足が止まったのだが、 人だかりの真ん中に、あの口入屋の男がいる、と 法祥がいいだした。 「どれだ?」 「あの、背の高い男です。着物を羽織っている、あの男です」 妙な言い方をしているが、素裸に着物を羽織っているのではない。 普通に、着物をきておいて、もう1枚薄手の麻かなにかの着物を 羽織っている。 羽織を重ねる . . . 本文を読む

竈の神・・17

2022-11-12 19:20:16 | 竈の神  白蛇抄第18話
朝食を戴くと、さそくに、足駄をはむ。 大師も寺の外まで出て、二人の出立を見送ってくれた。 「おまえは、三井寺には寄ったことはないのか?」 都まであないするというくらいだから、 そちこち、顔をだしていそうな気もする。 「いえ、私は・・行方をくらますに必死でしたから」 そうだった。生き残ってしまった法祥が 都近くに居れるわけはなかった。 「最初に、導師にかくまってもらって、 それから . . . 本文を読む

竈の神・・16

2022-11-12 19:19:56 | 竈の神  白蛇抄第18話
三井寺の船場があるはずだと、探していると 人影が岸辺に立ち、白銅らに手をふっているように見える。 ようよう船が近づいていくと 人影の姿がはっきりしてきた。 ー大師だー 三井寺の大師自ら、供連れもつけず一人、岸に寄るとは、いかなることだろう。 そして、白銅たちを待っているようにも見える。 大師は、寄ってきた舟を 繋ぐ場所を指示すると 白銅と法祥に深く頭を下げた。 舟を繋ぎ終え、岸 . . . 本文を読む