「ひさしぶり!!」
って、なんだか、よく、きやがる。
ボーマンは調剤の手をやすめて、声の主をまじまじと見つめた。
『なんだよ・・いい女じゃないか・・?久しぶりって、俺、こんなべっぴん・・
誰だか・・・思い出せない・・・・』
ボーマンたるものが、こんな初歩的な記憶ミッシングなぞ、ありえるわけが無い。
女、いや、べっぴんの顔をみつめたのは、ボーマンの記憶の中の「特徴」と相似形のものがないか . . . 本文を読む
なんだか、ボーマンはセリーヌに似ていると想っている。
(イッツ・オンリー・ユアマインドシリーズ参照)
セリーヌは本当の自分を見せられないとクリスを諦めようとした。
綺麗じゃないままに自分でも愛されたいという思いと
受け止めてもらえるわけがないと逃げ出そうとする心と・・・。
キャッシーの科白がセリーヌの相似形にみえて、
ボーマンはいっそう、キャッシーの薬指にリングの跡さえないのが気になっ . . . 本文を読む
コーヒーを立てに行くニーネにボーマンはかすかに首をふった。
察しのよいニーネというべきか、
ボーマンの問題解決の手腕をしんじているというべきか、
ニーネはその意味を悟る。
「まあ、お店かたづけてないで、しめちゃったの?」
とってつけた言い訳をいってみせる。
もちろん、ボーマンもニーネの意図する事がわかっている。
「あ・・ん?すまねえな。ちょっと、かたづけちまってくれよ」
いいながら . . . 本文を読む
「ねえ、ツルゲーネフの初恋って本よんだことある?」
へ?
読んだことはないけど、内容は知ってる。
そんなことをいいだした、キャッシーは何をいいたいんだろう?と、
ボーマンはストーリーをなぞりながら、
キャッシーのなぞかけを考えていた。
で、その話ってのが、どいうことだというとだな。
「それさ、どっかのぼくちんが、年上の幼馴染かなんかを好きになったけど、
そのねえちゃんが、自分の親父 . . . 本文を読む
「私・・彼を掴んでも良いってこと・・?
でも、なにもかも、黙って・・彼をだましてしまうことになる。
せめて、こんなぼろな女でも、そんなことだけはしたくない・・」
わずか、希望を見出したかと思ったキャッシーだったけど、
相手がセイントであればあるほど、
自分がせめて、そこの部分だけは同じものでありたいとおもったんだろう。
ーけっこう・けっこうー
キャッシーの気持ちもやっぱり、まじなもの . . . 本文を読む
ボーマンはキャッシーの泣き声をききながら、まだ、考えている。
ーとは、いうものの、ぼうずのほうは、なんとかなるとして、
問題は親父のきもちだよな。
10年近く一緒に居て、結婚まで考えてる。
まあ、キャッシーの心変わりだけなら、自分の年齢もあるだろうから、
あきらめもつこうってなもんだろうけど・・
相手が自分の息子。
う~~~~~~ん。
俺だったら、わりきれねえよな。
どう、考えた . . . 本文を読む
「私・・・・」
決心したはずなのに、覚悟したはずなのに
彼を目の前にすると、心がゆらぐ。
失くしたくないに決まってる。
さけて通りたいに決まってる。
彼のショックを見たくない。
ましてや、それを与えるのは自分・・・。
「なに?」
キャッシーの呼び出しに心弾ませてやってきた彼にちがいない。
彼が・・同じ職場に配属されてこなかったら・・・。
出張講義、デモンストレーションのワークグ . . . 本文を読む