憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

-ジンクスー 1

2022-12-06 15:42:41 | ボーマン・ボーマン・5 -ジンクスー
「3年っていうだろ・・」 やってきたハロルドはボーマンの顔をみるなりそういう。 ボーマンはじろりとにらみすえると本音のままを口に出す。 「俺はおまえが嫌いなんだ。 なにが、一番、嫌いかっていったら、そういうジンクスを引っ張り出してきて そいつのせいにするってとこだ。 ていのいい、言い訳で自分を慰めてるような男はくずだ」 「おいおい、ひさしぶりにたずねてきたっていうのに、いきなりそれか . . . 本文を読む

-ジンクスー 2

2022-12-06 15:42:23 | ボーマン・ボーマン・5 -ジンクスー
『はああ?』 ボーマンはボーマンで、「呆れた思い」がまんま口からとびださないようにすることと、 顔色を変えないでおくのに必死だったったうえに、胸の中は煮えたぎっている。 我ながらポーカーフェイスをよくつくれるとも、 ぶんなぐってしまいそうな手をおさえるのも上出来だとも、おもいながら、 ボーマンはリサの胸中を思っていた。 「で、それ、もう、リサに話したのかよ?」 「いや・・」 ハロル . . . 本文を読む

-ジンクスー 3

2022-12-06 15:42:06 | ボーマン・ボーマン・5 -ジンクスー
ーなにが、可愛いケイトだよ。 ようは、ケイトって女のレベルがひくいだけじゃねえかよ。 お前で慰められるような、程度・・ってことじゃねえかよ。 え? リサが一人でやっていける? 馬鹿いうな。 だったら、おまえなんかと結婚するかよ。 リサだって、おまえに頼りたいし、あまえたいにきまってるじゃねえかよ。 なのに、おまえのほうがリサにあまえちまってる。 だから、リサは気丈に自分をこらえて . . . 本文を読む

-ジンクスー 4

2022-12-06 15:41:49 | ボーマン・ボーマン・5 -ジンクスー
「どちらさま?」 どうも、相手の顔が見えないのはやりにくいもんだけど、 ボーマンはホーンに向かって 「俺だよ」 って、言ってしまってから気がついた。 判るわけねえなってさ。 あわてて、ボーマンだってつけたそうとおもったら、ホーンの向こうのリサが ボーマンの声をおぼえていたらしい。 「ボーマン?」 確認するためか、小走りに玄関にむかう音がきこえ、 まもなしにドアが開いた。 「よ . . . 本文を読む

-ジンクスー 5

2022-12-06 15:41:31 | ボーマン・ボーマン・5 -ジンクスー
「問題はそこさ。 俺はその言葉どおりの意味にしか、考えてなかった。 だけどな、ハロルドが言ってる意味は違う。 お前はハロルドが居なくても、一人になっても ハロルドを思いながら生きていかれる女だって意味さ。 多分な、今の女はハロルドがいなくなったら、 ほかの男をさがす。 だけど、お前はほうっておいても、ハロルドを思ってる。 ほかの男にとられるかもしれない。 ほかの男にひかれるかもし . . . 本文を読む

-ジンクスー 6

2022-12-06 15:41:07 | ボーマン・ボーマン・5 -ジンクスー
「なんだよな・・俺がおまえをかまってやれたらいいなって 俺はおもってる。 だけどな、俺にはニーネがいるから・・ だから・・どうにもしてやれないけど、 俺だって充分おまえをかまいたい男のひとりなんだぜ」 場合によっては、不謹慎なくどき文句かもしれない。 だけど、 リサはボーマンの言葉に光をみた。 それは、「俺だって充分おまえをかまいたい男のひとりなんだぜ」 って、ところでなく、 . . . 本文を読む

-ジンクスー 7

2022-12-06 15:40:45 | ボーマン・ボーマン・5 -ジンクスー
夕食をたべおえて、もう、いい頃だなと ボーマンは店の鍵を落とす。 まあ、こんな遅くに調剤を頼みに来る客なんてこないのだけど、 それでも、ボーマンは8時までは店をあけておく。 8時閉店をまちかねるかのように、 電話がはいってきた。 案の定、ハロルドだ。 「俺だけどさ・・」 「なんだよ?」 逢ってもなかなか本題をいいださないやつだけど、 電話でも同じだ。 「今から・・いっていいか . . . 本文を読む

-ジンクスー 8

2022-12-06 15:40:27 | ボーマン・ボーマン・5 -ジンクスー
「なんだって?もっと、おおきな声でしゃべれよ。 まあ、おまえら、長かったから、愁嘆場になりゃしねえかと 心配してたんだけどさ。 ちっと、あっけなさすぎたけどさ、 まあ、良かったよな。 なあ、ハロルド。 これで、ケイトも納得してくれるんじゃねえかな? 早く帰って、ご機嫌なおしてもらえよ・・」 ボーマンのくったくないエールは今のハロルドには あまりにも、痛かった。 「ボーマン・・・ . . . 本文を読む

-ジンクスー 9

2022-12-06 15:40:10 | ボーマン・ボーマン・5 -ジンクスー
「のぼせ上がっていたって、頭、が~~んってなぐられた気がしたよ。 目の前、まっくらになって、俺、どうしようって・・ どこにいけばいいんだって・・ たった今から、もうケイトのとこにいるわけにいかない・・ 寝るところもない・・ ホテル暮らしなんかした日にゃ、金がいくらあってもたりない。 で、俺はずるいと思ったよ。 でも、ケイトにいわれて、俺も目がさめた。 リサのところにかえるべきだよな . . . 本文を読む

-ジンクスー 10

2022-12-06 15:39:48 | ボーマン・ボーマン・5 -ジンクスー
おそらく、リサのところへいったんだろう。 玄関先でリサに頭をさげ、それこそ土下座をしてでも わびているかもしれない。 そのハロルドを、リサがどうするか、 もう、その先はリサの問題でしかない。 リサに書類を届けに行った日。 最後にリサはボーマンの胸の中で思いっきり泣いた。 そして、泣き終えるとボーマンに告げたっけ。 「私、ハロルドに自分の理想を求めていたと思う。 こうあってほしいハ . . . 本文を読む

-ジンクスー 終

2022-12-06 15:39:16 | ボーマン・ボーマン・5 -ジンクスー
「ごめんな・・」 この胸の痛みはリサの痛み。 ボーマン・・俺・・こんな痛みを平気でリサにかけてたんだよな・・。 「ごめん・・な・・リサ・・」 あふれてくる涙を拭おうとした時だった。 リサが怒り出した。 「どうしたの?お前しかいないって、それだけの気持ち? 絆がなくなっちゃったら、拾いなおしてこようっておもわないの? それだけの女?」 「あ・・」 ハロルドだって、馬鹿じゃない。 . . . 本文を読む