その日を境に私の生活は、急変した。
箱舟をかきあげた私はそれを世にだすことをあきらめた。
なぜか、急激に、出版への意欲がうすれていったのだ。
それは、おそらく私の中にはいった寄生物の操作に他ならないと思えた。
彼らが人類に寄生するエネルギー体であること、
そして、彼らがまず、実験的に人類にはいりこんで、
仲間を誘導していくこと。
このモデル実験に選ばれた人間はかなりいる。
編集長も . . . 本文を読む
だから、彼らは私の意識の中にある「欲」を操作しているのだ。
出版欲、名声欲・・。
何でも良い。
それらの「私の意識・観念」は、彼らにとって
自分の環境に他ならない。
その中で暮らす(寄生)彼らにとって
私の意識・観念はまるで、大気のよごれのように
すみにくいんだ。
私が出版して彼らの本当の目的を公開しようという思いは
彼らにとって、自分たちの存在を否定され吐き出される行為にちがい . . . 本文を読む
まず、私がおこした行動は
箱舟第1部を機関紙に発表するという
当初の予定行動を実現することだった。
穴埋めのゴーストライターのゴーストライターだって
かまわない。
まず、寄生生物の概念を多くの人間にしってもらうことが先だと思った。
ところが・・・。
ありえないことだった。
編集長は私の顔をみるなり、
「これは、使えない」
にべのない返事だった。
この時点ではっきりわかった。
. . . 本文を読む
すでに多くの人間が罹患していたといってよい。
そこで、私はやっときがついた、
おそらく、私の伝える事は(たわごと)あるいは(捏造)にしか受け取られないというに。
私はいっそう、あせった。
そのまま、箱舟を書き続ければ
私は狂人としか、判断されない。
どうすれば、よいのか、どうすれば、論破できるのか
これができなければ、根拠の無いものを信じない人間が
目の前に見せられる偶然さえも、
. . . 本文を読む
彼女が私を護った?
そういうことになるのだろうか?
私の考えすぎで単に本当に共存するだけ?
だが、それは、彼女の罠でしかなかった。
私の深層心理はマイナスエネルギーの存在を恐怖として信じ始めていた。
これが、いっそう、自分から彼女からの答えをひきだそうとする心理になっていった。
私はひどく、気分が沈みはじめた。
それは、ほかでもない。
自分をのっとろうとする存在である彼女にふりまわ . . . 本文を読む
つまり、私は自分の意志で彼女をえらんだのでなく
彼女の意志に操られていたんだということ。
つまるところ、自分の弱さにつけこませたのだ。
私の中でまだ、疑問は残った。
なぜ、元の寄生生物は私の「欲や恐れ」をはしごにしたのだろう。
これが、なくなると、もうすこし、高度な精神性をもっているように思える寄生生物がはいってきた。
むしろ、「欲や恐れ」からよりつく、悪霊らしきものや前の寄生生物から . . . 本文を読む
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編集長・・。
お客様です。
ええ。
なんでも亡くなられた水上千絵さんの遺作を出版したいとのことで、ご家族がおみえになっています。
はい?
・・・・・・・・・。
ああ、作品タイトルは「箱舟(三部作)」だそうです。
はあ?
ああ、・・・・そうですか。判りました。
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水上千絵の家族が、ほかの出版社に「箱舟」をもちこまないためにも、
私は「箱舟」 . . . 本文を読む