夫がセカンドカーを仕入れた。
ためすがめつ、納車された車をみていると
なんだか、不穏な思いがわいてきていた。
ーなんで、こんなきれいな車があんな値段で手放されるのだろうー
破格といえるほどの改造も惜しみなく施されていた。
なにか、触りたくない。
乗りたくないという思いがわいてきていた。
嫌な思いは、はっきり私にささやいてきてもいた。
ー事故車じゃないか??ー
だが、夫が懸命にワッ . . . 本文を読む
夫の熱心な手入れに
ひとつの解決があるように思えて来ていた。
物にだって、魂・精神は宿る。
なにか恐れを感じさせる「原因」を
夫の愛情が癒し、解いてくれるんじゃないか。
そんな事を思ったのは、
やはり、どうしようもない不安と怖れを感じていたせいだったと思う。
あれだけ大切にしているなら
車にこびりついた「変な念」を浄化してしまうんじゃないか?
そう信じることで
不安ととりとめな . . . 本文を読む
次の日は 夫の仕事も休み。
朝から やっぱり車を触っていた。
ガレージまで、朝食を伝えに行って
一端、朝食を食べてから
夫はガレージに戻っていった。
皿を洗い、洗濯・掃除を終えて
ガレージに出向いたとき
昨夜の夢が、なおさら 自分をおびえさせていた。
どうしても、車に触れない。
触りたくない。
だけど・・・
あの夢の事を思うと
なにか、解決しないと・・・
もしかしたら夫に . . . 本文を読む
夢うつつの中で
少女の声が響いた。
「あ、ユニコーン!!」
少女がユニコーンを見つけた様だった。
だが、すぐに少女の声が凍り付いた。
「怖い!!」
少女の姿もユニコーンの姿も
夢うつつの中に現れず
なぜ、少女が怖いと思ったのか、
それも判らず
ただ、酷くおびえているのは判った。
ユニコーン?
その少女を慕ってユニコーンが現れたのだろう。
なのに、少女を脅か . . . 本文を読む
仕事から帰って来るとは
ガレージに飛び込んで
夕食が整うまで
連日、車を整備していた夫が
休日に試運転をかねてドライブに行こう・・と
言い出した。
一生懸命に整備していたんだもの
嫌だ・・とは言えない。
それに、
「浄化してやる」と、覚悟したのに。
そして、この前のユニコーンの事で
もしかして、
私を通過して、車が浄化されているかもしれない。
乗ってみなきゃ
判らないと . . . 本文を読む
祝日をはさんだせいもある。
1週間の間に3回も試運転に同乗することになった。
私の憑依と思われるぐらつきや眠気は
ひどいもので、助手席でうたた寝しているばかりだった。
気楽な助手席と、思われていることだろうけど
瞳の中は鮮やかな色彩が陽光に映えて、乱舞し
もしかすると、極楽の入り口で浮遊しているんじゃないかと思えた。
ドライブインでの休憩も、車からおりると
雲の上をあるいているとい . . . 本文を読む
車が動き始めるまもなしに
私はぐらりとした幻惑の中に落ちたと判る。
そして、異様な眠気に
目を閉じれば 極彩色の陽光が瞼の中で踊り狂う。
ーもしかすると・・・これがいけない?
例えば、車の外の景色を楽しむとかしたいのが
主の思いだとしたら?ー
今の私の状態では
憑依されているーだけ。
主がドライブを楽しみたいと思っていたのなら
これでは、いつまでたっても、主の思いは叶わない。
. . . 本文を読む
もう思い残すことは無い。
と、言った言葉に私はたずね返していた。
だって、運転手と同じように車を運転する疑似運転ドライブを
たっぷり楽しませてあげられたとは思えなかったから。
本当に満足しているのだろうか?
もう1度、今度は
運転手と同じように車を運転する疑似運転ドライブを行って
あげた方が良いのじゃないか?
そんな思いが私に沸いていた。
その考えは、あるいは主の . . . 本文を読む