かれこれ、6年のつきあい。
別れたはずが焼きぼっくいに火がついて、
お互い、家庭がある身の上を承知の上で忍び逢う。
いい加減にしなきゃと思いながら、
共に重ねた時間が増えるほど、どっちが、亭主で、
どっちが、情夫か・・。
この世が仮の宿なら、今の亭主も仮の者。
本当はあの人と一緒になれなかっただけで、
魂と心はあの人のものなんだとおもっていた。
それが・・。
友 . . . 本文を読む
椅子に腰掛ける彼女につられ、私も腰をかける。
「あの・・あの・・」
なにをどうきりだしていいのか・・。
「どうぞ」
なんでもいいから話せといわれても・・。
「あの・・なにもかもご承知なのでしょう?」
「多分、そうだと思います」
「だったら・・」
「私の方が伝えるべきだと?」
少し考え込む。
話すしかないのかもしれない。
「あの・・私、夫がいて、それから、6年越しの恋人がいて・ . . . 本文を読む
「あのね・・。こんなこと、誰にもいえなくて・・ずっと黙ってたの」
彼女の顔が深刻そのものにかわり、私を励ます。
「吐き出してしまった方がいいよ。なにがあったのかわからないけど、自分の中においておいたら、そのことを考えるのは自分しかいないから、なおさら、しんどくなるもの」
うんと、うなづいて、黙る。突然切り出しても、彼女が聞ける体制にもちこむための一芝居。
芝居が功を奏して、彼女は黙って私の . . . 本文を読む
彼女の家をでると、駅に向かう。
今度は元来た駅を三つとおりこす。
ひなびた街並の路地をぬけ喫茶店を目指す。
いつもの場所が此処。
此処で彼を待って、二人でコーヒーをのみおえると
国道まで車をはしらせ、ホテルが立ち並ぶ山際の道に曲がる。
この山際の道は大回りの国道の近道になるから、
けっこう、車が通る。
バックミラーで後ろを確認しながら、目指す場所に滑り込む。
昼の日中の情事は時間 . . . 本文を読む