ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

顔をあげる 平井弘

2009-12-06 05:25:29 | クンストカンマー(美術収集室)
例えば 羊のようかもしれぬ草の上に押さえてみれば君の力も

初句が唐突で一気に引き込まれる。
君を無理矢理に押さえ込むと、羊のような力で抵抗するだろうと想像している。
豚でも犬でもなく羊でないとこの比喩は成立しないだろう。
真っ白で力のあまり強くない羊。そのことに自分とは違う女という性を強烈に意識する。
また女を動物に例えた歌にこんな一首もある。

肌の内に白鳥を飼うこの人は押さえられしかしおりおり羽ぶく 佐佐木幸綱

白鳥と羊、どこか通じるものがある。