ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

赤光 斎藤茂吉

2009-12-26 05:50:54 | クンストカンマー(美術収集室)
ひたいそぎ動物園にわれは来(き)たり人のいのちをおそれて来たり

一読、疾走感を感じないだろうか。われは「来たり」とおそれて「来たり」が同じフレーズであることや、「動物園」、「人」、「来」以外は総て平仮名であることが要因だと思う。しかし、「われは」が読んでいてもたつく。何故、斎藤茂吉はもたつくような「われは」を入れたのだろうか。それは自分の行動もあやふやになるくらい追い込まれていたからではないか。だから自分に言い聞かせている。急いで動物園に俺は来たんだ。人の命を恐れて来たんだと。