ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

ひるがほ 河野裕子

2010-04-03 05:15:33 | クンストカンマー(美術収集室)
まがなしくいのち二つとなりし身を泉のごとき夜の湯に浸す

ぬばたまの夜のもみぢを映しつつ地より黒ぐろと静もれる井戸

この二首は「夜のもみぢ」の最初と最後に置かれている。
泉と井戸は水で繋がり、水は生命に繋がる。しかし、泉は湧き出るものから希望を、井戸は涸れるものから不吉なものイメージしないだろうか。出産という命を産むという行為に精神は揺れるのだろう。