ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

サイレントピアノ 斎藤典子

2010-06-16 06:07:11 | クンストカンマー(美術収集室)
歯ブラシの使ひ古しを捨つるごと春のひと日は過ぎてゆきけり

使い古しの歯ブラシを捨てるのはどこか思い切りがいる。そんな風に一日一日春は自らの気配を捨てて夏になっていく。ただ作者は少しあわれを感じていないだろうか。まるで捨てられた歯ブラシのように、どんな一日も終わってしまうことに。