ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

サイレントピアノ 斎藤典子

2010-06-19 06:10:28 | クンストカンマー(美術収集室)
雨上がり少年の嘘のかがやきてわれの言葉をさらひて逃げぬ

雨上がりの景色は輝いて見える。それは少年の嘘であっても同じだろう。その嘘の輝きに言葉を失ってしまった。そうしているうちに少年は逃げる。雨が上がったのだから外に遊びに行ったのだろうか。作者は息子を少年と呼ぶことで客観的な視線を保っている。その絶妙な距離が歌を輝かせている。