ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

サイレントピアノ 斎藤典子

2010-06-20 07:53:53 | クンストカンマー(美術収集室)
いつぽんの鍵あるかぎりこの家に帰りくるべし夕雲を閉ぢ

言葉とは不思議だ。言葉次第で世界の捉え方が変わる。鍵があるから帰る。逆に言えば鍵が無ければ帰らない。結句は夕雲をどこまでも広げたいがそれを閉じて帰らないといけない、帰るべきだと言い聞かせているのだと思う。鍵は作者自身の世界を閉じて母や妻の顔に変えるアイテムなのだろう。