「嘘、それからセスナ機」
さくらさくしたであけびの花もさく君もちいさく嘘とつぶやく
断崖で立ち尽くしてる僕のなか春の突風吹き抜けていく
前髪も君に遅れてくしゃみする菜の花経由の風に吹かれて
早緑の枇杷の葉の輝る木の下のきみとはきっと実を結ばない
万全の準備をしたと言うきみが拗ねて見上げる六月の青
初夏の昼、競歩のように駆け抜けて脱ぐもの脱がず玄関でする
紅潮を終えた乳房に耳を当て海に還りし血流を聞く
夏空に下手投げした白球を僕らはいつも見失うだけ
初秋に生まれた僕は夏の影引きずる君を探してしまう
二度ともう銀河を渡ることはない道に散らばる木犀を踏む
肌寒い風、初冬、ほら、たくさんの落ち葉がきみの嘘のごと降る
寒いとは言わない僕の指先を沈黙のまま乳房にしまう
細長い時間だったね君自身きみから語ることはなかった
気づかない振りに気づいていた君も告げられぬまま自転車を押す
君なしの未来が欲しい冬空に小さな白いセスナ機が飛ぶ
さくらさくしたであけびの花もさく君もちいさく嘘とつぶやく
断崖で立ち尽くしてる僕のなか春の突風吹き抜けていく
前髪も君に遅れてくしゃみする菜の花経由の風に吹かれて
早緑の枇杷の葉の輝る木の下のきみとはきっと実を結ばない
万全の準備をしたと言うきみが拗ねて見上げる六月の青
初夏の昼、競歩のように駆け抜けて脱ぐもの脱がず玄関でする
紅潮を終えた乳房に耳を当て海に還りし血流を聞く
夏空に下手投げした白球を僕らはいつも見失うだけ
初秋に生まれた僕は夏の影引きずる君を探してしまう
二度ともう銀河を渡ることはない道に散らばる木犀を踏む
肌寒い風、初冬、ほら、たくさんの落ち葉がきみの嘘のごと降る
寒いとは言わない僕の指先を沈黙のまま乳房にしまう
細長い時間だったね君自身きみから語ることはなかった
気づかない振りに気づいていた君も告げられぬまま自転車を押す
君なしの未来が欲しい冬空に小さな白いセスナ機が飛ぶ