ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

Dr.Tへ

2013-02-06 16:39:53 | 雑感
あなたにお借りした「池井昌樹詩集」を何度も読んでいます。脇田和の絵を見たときのようななんとも言い難い複雑な心境です。
私のような人間は二人といないだろうという自負が脆く崩れていくのをなすすべもなく見させられている感覚なのです。
あなたがよく言われる「もはや表現されていないものはない」との言葉を今更ながら実感しています。
私の表現したかった世界が突如、目の前に現れた衝撃。
しかもそれが詩であったこと。
私は彼を知らなかった。が、彼を知った。
私は拙い模倣であった。

そしてあなたはこうも言った。

「芸術の力は弱い。だからこそ必要なのだ。」

私も表現し続けるしかない。それは生きることと同義であるから。

詩人の仕事

いまはむかし
まふゆのいちばんさむいあさ
いちばんかぜのつよい日に
おおぜいの詩人をのせたちいさな船が
おおしけのうみへこぎだした
えものをすなどるわけでなく
自由の天地をおとなうという
世間じゃおわらいぐさだったが
詩人らはみなほんきだった

〈月下の一群〉にある詩のほんの一節だけれど、この自由の天地を見てみたいと痛切に願う。

私は誰も聞くことのできない音楽を奏で続けるしかない。

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