ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け35年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

残照を撮ること(20220818)

2022年08月18日 | 写真論

 私がモルゲンロート(朝焼け)やアーベントロート(夕焼け)を撮っていたのは、登山を通してだった。1960年代後半から。冬の北海道でもやっていた。冬に限らないのだが、極寒の中での朝焼けは鮮烈だった。夕焼けは、日が落ちるやいなや気温がぐんと下がって、足がこわばったものだ。

 こうした撮影を私は殆どやらなくなっていた。めんどうになったというのか、とりわけ拘る課題ではないと考えてきた。こう考えだして、もう20年ぐらいが経つ。沖縄に来て(2013年10月以降)、漠然と残照を見る機会が増えた。西海岸に住んでおり、嘉手納基地の撮影の帰りなど、バスの中から、オウと唸る機会が度々あった。名護湾の近くに住んでいるのだし、一丁撮るかとなったのは、2,3か月前からだ。沖縄島は不思議なところで、山が低く、陸地は概ね東西に傾いて位置しており、アバウトどこからでもサンセット・残照を撮ることができそうだ。他の県内の島も概ね同様だ。

 おかげさまで、私は西を意識するようになった。太陽から地球までの距離は1億5000万キロだそうだ。光速でも8分20秒かかるとのこと。「太陽が昇る」「太陽が沈む」感覚は、私たちが地面(海面)にいるからの感覚だ。地球は自転しており、だからこうなるのだ。残照は沈みかけた(沈んだ)太陽が上向きに輝き、頭上の雲等を照らし出し、ああなるのだ。短い間に、西と東の空を瞬間瞬間に様変わりしながら照射してくれる。7変化どころじゃない。

 ただ問題もある。海は概ねきれいでも、リゾート地域など大きな建物=異物が建ち並ぶ地域での撮影は、避けたいものだ。基地とリゾート施設を避けると、案外、適地はないのかもしれない。それでも私の楽しみが増えたことはまちがいない。一方で、基地ウォッチングの裏番組にもなる。普段、見ていない地形を、先日のように(2022年8月16日)落日の中を飛ぶMV-22オスプレイを撮れば、演習の一端がわかることにもなる。撮影は忙しくなるが、せっかくの機会を見逃すこともない。

 残照であれ、基地観察であれ、私は事前に調べてから出かける。地形図は欠かせないものだ。当たりをつけておき、撮影ポイントを探しておかなければ、シャッターチャンスを見逃してしまう。この際に気をつけるべきことは、太陽までの距離が1億5000万キロだが、有効視界は、高台に立っても20kmぐらいしかない。重要なことは私たちがドタバタしても、そんな遠くのことなど如何ともしがたい。前景(目の前から20mぐらい)中景(20m-1000mぐらい)を上手く入れることだ。いい場所を探しておくことは、重要だ。1時間前に現地に行き、ここだというところを探し出しておくことだ。前景は潮の干満でも著しく変わるし、海況でまた変わる。事前に潮の干満表を確認しておきたい。

 砂浜で撮る際の最重要事項は、自らの足跡をつけないことだ。これをやってしまうと、アウトになる。残照の変化はすさまじいから、思わず、駆けだして撮りたくなることもある。絶対にダメだ。急いては事をし損じる。先日は撮影中の私の目の前をカップルが通過。泣きそうだったが、運良く、ひと波で足跡は消えた。観光客にとって、海辺は自分たちのものらしい。第三者がいることを度外視していることがままある。どなりつけたくなる。しかしどなりつけていると、貴重な時間を自ら失っていく。無駄である。

 もうひとつの注意は、空に浮いている雲だ。これらが最高の美をかもしだしてくれるのだが、雲の種類(高さ)、風向・風速による移動、雲の厚さなどで、まったく変わるから、要注意。自分の頭上と、サンセットの方向の雲の状態も違うので、うまくいくつもりが、がっくりになることもある。だめかと思っても、何度も360度見回してみることだ。諦めてはならない。

 そういえば、飛行機の上からの残照はこれまた独特で、いけることがある。可能性があると踏んだらカメラを出しておくことだ。

 



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