2023年6月7日(水)晴れ
今日は長野県飯田市の憲法カフェの皆さんが沖縄にきてくださった。私がホワイトビーチなどをご案内。夕方から安慶名で、交流会もやるという。折角の機会だから、そちらも出ようと言うことで、今晩の宿を那覇に取ったのだった。欲張ったお陰で、東京での予定は、大崩壊(そこは別稿で)。
予定では、先ず勝連分屯地に行くはずだった。それが突然の指令が入り、先ずホワイトビーチに来てくれと。何があったんだ?! 内間入り口で降りた私は、特別仕立ての送迎車で、ホワイトビーチの高台へ。
要するに強襲揚陸艦が出航すると言うことらしい。
LHA-6強襲揚陸艦「アメリカ」は6月5日にホワイトビーチに入港していたと報道されていた。15:19
正に出て行くところだ。中城港のタグボートが3隻で押し出したようだ。甲板にMV-22オスプレイが7機、CH-53大型輸送ヘリが5機、MH-60多用途ヘリが2機、F-35B戦闘機が5機載っている。どこまでいくのだろう。手前のLPD20「グリーンベイ」にもヘリが2機だ。15:19
中城湾沖合の右側に、米国海軍特殊作戦支援船オーシャントレーダーが停泊している。私は初めて見た。15:19
陸軍岸壁沖に、海上自衛隊の護衛艦。DD115「あきづき」だ。全長151m。基準排水量5050トン。第1護衛隊群第5護衛隊(佐世保)の船だ。15:19
陸軍岸壁にカナダのフリゲート艦「モントリオール」。15:20
15:20 LPD20の手前は海上自衛隊の掃海艇MSC691「ししじま」だ。左は水中処分母船だ。
ここで暫く前進拠点としてのホワイトビーチの概説と最近の動きなどを話した。沖縄の海兵隊は、海軍の船で移動するのだ。海外への上陸作戦を行なうのだ。
沖合から海自掃海艇MSC692「くろしま」が帰ってきた。15:51
海軍岸壁に残っているLPD20「グリーンベイ」。動き出す気配はない。後方甲板にヘリが2機見える。15:51
アメリカとは別任務かもしれない。
このあと、勝連分屯地に移動。伊盛サチ子市議が丁寧にお話しくださった。
【補足】以下の稿は随時改訂していきます。また、関連の別項もありますが、都合により非公開。
ホワイトビーチ地区 基地ウォッチング資料 20230607(改訂2版) by ヤマヒデ
Ⅰ:ホワイトビーチ
◎沖縄島における海軍施設は、①天願桟橋(金武湾―うるま市)、②キャンプ・シールズ(沖縄市)、③泡瀬通信施設(沖縄市)、④ホワイトビーチ地区(うるま市)のみである。県内には尖閣諸島に黄尾嶼射爆撃場、赤尾嶼射爆撃場、沖大東島射爆撃場がある。なお、陸軍の那覇港湾施設が那覇の国場川河口にある。
(1)地理(転載にあたって、図面省略)
◎勝連半島先端南側(うるま市)中城湾向き
◎外洋―久高島・津堅島の間を抜け、南(西)・北(東)へ
◎至近距離の演習海域―南側・津堅島周辺(中城湾)、浜比嘉島の内側(南側)、浮原島周辺。
◎近隣の演習場―レッドビーチ、ブルービーチ(金武湾―金武町)、辺野古沖。
◎周辺の演習海域(同上)
(2)沿革(戦中から連綿と繋がっている)
①1941年 旧日本軍が陸軍戦車部隊の駐屯地として使用
②1945年4月 米国軍事占領の継続として使用開始
③1972年5月15日 従前のホワイトビーチ港海軍施設、勝連半島陸軍地区、ホワイトビーチ貯油施設、嘉手納第2サイト、西原第2陸軍補助施設を統合し、「ホワイトビーチ地区」として提供施設・区域となる。同時にホワイトビーチ港海軍地区の一部約27500平米を海上自衛隊沖縄基地隊に引き継ぐ。
(④以下は、後日まとめます)。
(3)面積:1568000㎡
(4)管理部隊と使用部隊:
①管理部隊:米国陸軍沖縄基地管理本部、在沖米海軍艦隊活動司令部
②使用部隊:在沖米海軍艦隊活動司令部ホワイトビーチ事務所、米海軍港湾業務部、第7艦隊第76任務部隊、第1水陸両用部隊司令部、国防兵站局エネルギー部門ホワイトビーチ事務所
註1:上記の定めは、米国海軍太平洋艦隊(司令部ハワイ)、第7艦隊(司令部「ブルーリッジ」)の運用を担う地域部隊であり、その傘下にある。
(5)使用目的:港湾施設、宿舎、管理事務所、貯油施設、ミサイルサイト
(6)施設等:桟橋(A幅24m長さ850m―海軍桟橋、B幅24m長さ450m―陸軍桟橋)、着陸帯1基、オイルタンク、等。
(7)施設の役割等:在沖米海兵隊員の沖縄からの派兵等の出入り、及び周辺水域・空域での演習訓練の際の兵員輸送、武器弾薬等の軍事物資の補給基地等。
◎第3海兵遠征軍(在沖縄)の輸送・派兵を基本の任務。佐世保海軍基地所属の強襲揚陸艦「アメリカ」、ドック型揚陸艦。
他に輸送艦、タンカー、揚陸艇、音響測定艦、駆逐艦等が出入り。
◎時に原子力潜水艦の一時沖合停泊―詳細は不明だが、沖合停泊・短時間であり、何らかの連絡、急病人の搬送等。10名単位の人が下船したことを私が現任。海軍特殊部隊の関係ではないかと推測。
◎パラシュート降下訓練(MC-130特殊作戦機等―嘉手納基地。陸軍特殊部隊―トリイ通施設、ホワイトビーチの救難艇等が支援)年4回程度。
◎海上自衛隊の護衛艦(戦闘艦)の接岸・沖合停泊・休養もほぼ日常化。
(8)ホワイトビーチと佐世保海軍基地の関係―揚陸艦が在沖海兵隊を海外に派兵する。
◎佐世保海軍基地は第11揚陸船隊などの拠点。ホワイトビーチは第1揚陸即応群の運用港・前進基地(海兵隊の人員の乗り込み、弾薬・燃料・糧食等の補給基地)。
◎佐世保基地の常備艦隊:第1揚陸即応群第11揚陸船隊
アメリカ級強襲揚陸艦LHA-6「アメリカ」、サン・アントニオ級ドック型揚陸艦LPD18「ニューオーリンズ」、同LPD20「グリーンベイ」、ホイットビー・アイランド級ドック型揚陸艦LSD47「ラシュモア」と、掃海艦「パトリオット」、「パイオニア」、「ウォーリァ」「チーフ」の4隻。
(9)ホワイトビーチと中城湾港(詳細、要調査)
①ホワイトビーチの出入港に中城湾港のタグボート、バージ(台船)等が支援。
②海上保安庁巡視船が、ホワイトビーチ周辺海域を随時警戒。
③海上保安庁放射能調査船が原潜の出入港時の海水調査。
④米軍と自衛隊 米国海兵隊がホワイトビーチを、陸上自衛隊(水陸機動団等)は中城湾港の利用が常態化。
Ⅱ海上自衛隊沖縄基地隊
(1)地理 図面参照
(2)沿革 1972年5月15日 復帰時に返還され、自衛隊に引き継がれる。臨時勝連管理隊(3名)
72年7月16日臨時沖縄基地隊派遣隊新編(71名)掃海隊
(以下略)
(3)面積:87000㎡
(4)管理部隊と使用部隊
管理部隊:海上自衛隊沖縄基地隊
使用部隊:海上自衛隊沖縄基地隊、海上自衛隊沖縄海洋観測所
(5)使用目的:港湾施設、後方支援施設
(6)施設等:庁舎、隊舎、管理棟、診療所、体育館、通信タワー、燃料タンク、掃海艇桟橋
(7)施設の役割等
①掃海艇(2隻)、水中処分母船(1隻)、タグボートを保有し、主として沖縄の沿岸、重要港湾施設等を防備。また海中の不発弾処理を担う。
②沖縄海洋観測所の運営
③近年の動き
●掃海艇は中国艦船の領海への接近時、海上自衛隊のP-3C等と共に東中国海、南中国海に出動し、警戒に当たっている。
●2023年4月6日に起きた伊良部島沖の陸自ヘリ墜落の捜索にも出動した。
●2023年4月20日前後 同潜水艦救難艦「ちはや」の休養・補給に立ち寄った。
(8)沖縄基地隊と中城湾港
◎海上自衛隊「護衛艦」が日常的に入港している(詳細不明―要調査)。
●これらの護衛艦はどこから(註2参照)何のために来ているのか、演習なのか、追尾なのか、調査なのか(多目的か)。
◎「島嶼防衛」訓練の拠点として中城湾港等が使われており、陸上自衛隊や米軍との連携が進んでいる。
註2:護衛艦隊(司令部―横須賀)の傘下に第1護衛隊群(司令部:横須賀)、第2護衛隊群(司令部:佐世保)、第3護衛隊群(司令部:舞鶴)、第4護衛隊群(司令部:呉)がある。ほかに地域配備部隊が第11護衛隊(横須賀)、第12護衛隊(呉)、第13護衛隊(佐世保)、第14護衛隊(舞鶴)、第15護衛隊(大湊)がある。
(9)特記事項
◎2016年7月日本の「輸送艦」と称する揚陸艦3隻(呉)は、「掃海隊群」輸送部隊に編入され、掃海艇と揚陸艦のコンビネーションプレーの部隊に変容。掃海隊群司令部:横須賀。
日本の海兵隊=水陸機動団が2018年3月、佐世保等に編成され、海兵隊と共に訓練を重ねている。いよいよ揚陸作戦の準備が整った。
沖縄基地隊の掃海艇は、ホワイトビーチ周辺を守るために置かれてきた。しかし「島嶼防衛」が強まる中で、中国艦艇を与那国島辺りまで追尾している。「掃海隊群」に編入されていないが、今後の水陸機動団の動きいかんで、共同行動に参加していくだろう。
◎「島嶼防衛」・「島嶼奪還作戦」に、現在の自衛隊の輸送能力は決定的に不足している。民間フェリーの利用だけでは演習に間に合っても、実戦に対応できず(量と質)。
◎今後民間港の活用が進められていくことは疑いようがない。また民間船がさらに徴用されることが予想される。43兆円の大軍拡の中で、新型揚陸艦、揚陸艇等の増設によって輸送能力の欠如を補っていくだろう。
(未完―随時追記予定)