報道によれば、2023年11月29日14時40分頃、鹿児島県屋久島沖で横田基地所属のCV-22が1機墜落した。搭乗者は8名と再訂正された(8名ー6名ー8名)、1名の死亡が確認されている。他の7名の行方を海上保安庁などが昨日から捜索中だ。当時救助に向かった漁船の乗組員の話では、「機体が突然くるくると回転し始めエンジンから火を噴いた」そうだ。ここから分かることはその時、回転翼(ヘリ)モードで飛んでいたのだ。そうでなければ、くるくる回ることは起こりえない。
私がこの墜落事故について先ず考えたことは、オスプレイといってもどこの機体で、どこから何処へ何していたのかだった。日本周辺を飛んでいるのは、米国海兵隊普天間基地所属のMV-22が24機。米国空軍横田基地所属のCV-22が2018年に5機、現在6機、24年頃までに計10機の配備計画があり、米国海軍は一部の航空母艦の連絡機としてCMV-22を運用しており、随時、嘉手納基地・普天間基地に来ている。また陸上自衛隊はV-22を14機、千葉県木更津駐屯地に配備している。
結果として横田のCV-22だと分かった。横田基地から山口県岩国基地経由で嘉手納に向かう途中だったのだ。岩国基地を離陸したのは、2機が13時9分、3機目が14時16分だった。(下記参照)
http://tomura.lolipop.jp/pec3564/3564-01.23.11.29.base001-010.html
岩国から屋久島沖まで約450kmであり、1時間余りで到達できるはずだ。最初の2機の内のどちらかが墜落したのだろう。同機が、緊急着陸する気があれば、屋久島空港や種子島空港が近くにあるのであり、可能だったはずだ。連絡もなく、且つできなかったということは、墜落に至る不具合が短時間に発生し、エンジンの出火に至ったのだろう。
この国の防衛省(宮澤博行防衛副大臣)は、またもや「不時着水」だったと米国空軍の事故を擁護しているが、根本的におかしなことだ。不時着(水)ならば、「予定通り降りれません」「どこそこに向かいます」と、連絡できたはずだ。「米側から操縦士が最後の最後まで頑張っていたとの説明を受けている」とし、墜落まで機体をコントロールしていたと主張したそうだ。米国の言い分を鵜呑みにした発言であり、客観性を欠いている。どんなにパイロットが頑張ったところで墜落は墜落だ。こうした言説は欺瞞であり、頑張ったが墜落したと操縦士に責任をおっかぶせる伏線になっているのだ。
今回の事故原因を米国空軍は早急に調べ上げ、解決策を講じるべきだ。オスプレイの根本的な欠陥はまだ解決されていないことは、この間の経緯が物語っている。2016年12月13日MV-22が名護市安部に落ちた記憶は鮮明だ。以降だけでも、17年8月5日オーストラリア東部沖にMV-22が墜落、3名が行方不明。22年3月18日、ノルウェー北部でMV-22が墜落、4名が死亡。22年6月8日北カリフォルニア州でMV-22が墜落、5名が死亡。同年8月16日~9月2日CV-22の全機を飛行停止(17年以降のクラッチの不具合事故4件)。22年10月14日、カリフォルニア州で着陸時にエンジンが出火・炎上。23年8月27日オーストラリアのメルビル島で墜落、3名が死亡。墜落・炎上事故だけでもこれだけある。軽微な事案は数知れず。
欠陥機の汚名は消えていないのだ。そもそも垂直(ヘリモード)飛行と水平飛行の2重の「いいとこ取り」をしようとしたことが一連の根本的な事故原因だろう。「いいとこ取り」とはヘリモードは、滑走路がなくても離着陸でき、多様な特殊作戦を敢行できる。水平モードは、ヘリと比べて段違いに速く遠くまで飛べるのだ。この妄想に拘る余りに米国軍隊は、オスプレイに固執し、真の解決策をスルーしている。使用をやめることだ。また日本政府は、米国軍隊の主張をのうのうと受け入れているだけで判断応力をもつ気がないようだ。
昨日、沖縄県玉城デニー知事は、オスプレイの訓練を直ちに中止するよう沖縄防衛局と外務省沖縄事務所に申し入れた。そればかりか県内配備を中止し、本国でやるべしと訴えた。当然だろう。
米日政府は、「いいとこ取り」の妄想を脱し、空の下で暮らしている人々のことを考えろ。安全第一を実行すべし。
軍隊とは所詮はかないものだろう。しかし住民・市民の命をないがしろにするものだとすれば、同居は無理なのではないか。私はオスプレイの危険性のみならず、オスプレイを初めとして、対中戦争に備えていくことが益々危険な飛行を増やしていくことを直視すべきだと考える。改めてこうした時代の中で、オスプレイの危険性を考えたい。
(参考)
①2021年中城湾を飛ぶCV-22
➁木更津駐屯地のVー22オスプレイ(2023年11月9日10日)
【拡散願います】【一部訂正】木更津駐屯地で、オスプレイ等をじっくり観察 ①(20231109) - ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び