◎本稿は「週刊新社会ー第1293号」(23年2月1日号)に寄稿したものです。同紙に2015年以来久しぶりに書かせていただきました。ありがとうございました。
米日政府が辺野古・大浦湾に新基地建設を目論んだのは、1996年12月のSACO合意だった。あれから時代は一巡りした。この国は2010年に策定した「防衛計画大綱」等で「島嶼防衛」―与那国島・石垣島・宮古島・奄美大島に自衛隊基地の配備を打ち出した。2014年7月1日、安倍政権は、安保法制と辺野古・大浦湾周辺海域に「臨時立ち入り制限区域」を、閣議決定した。
あの安保法制は、「集団的自衛権」を合憲化するのみならず、中国との戦争に備える「島嶼防衛」を多分に意識されて制定されたのだ。その上に、「安保3文書」が昨年末に打ち出された。この一連の事態は、沖縄に限定されず、全国各地がこうした流れの中に置かれていく。
[辺野古・大浦湾の工事概況]
最近の工事概況を簡単に整理する。キャンプ・シュワブは海兵隊の基地であり、演習場を背後に持つ。ここに「普天間基地代替施設」と称して飛行場等を造成するというおはなしだった。このため、①飛行場予定地にかかる既設の米軍兵舎等の施設を撤去・移設する工事(工事ゲートから資材等の搬出入が繰り返されている)。➁辺野古海域の埋立工事(土砂搬入は海域から)。③高圧線(電線)地中化工事(21年8月~27年3月末)。④辺野古美謝川付け替え工事等だ(つけかえないと大浦湾側の埋め立て工事は不可能)。
[ここにも自衛隊が入ってくる]
2021年9月、沖縄タイムスと共同通信は、陸上自衛隊が2018年に佐世保等に新編成した水陸機動団が増強され、新たな水陸機動連隊がここに来る計画を暴露した。水陸機動団は「島嶼奪還」の上陸強襲部隊だ。ここならば、米国海兵隊と常時共同演習ができるわけだ。機動展開も容易となり、強襲作戦の先兵となる。
日米政府は、この報道にも、白を切っている。
[第4ゲート付近の大変貌]
第4ゲートは工事ゲートから約800m名護市街より。辺野古ダムの隣に第2ゲートがあり、その先に弾薬庫から出入りできる「第3ゲート」があった。第3ゲートを内側に新設することになり、同じ位置に第4ゲートが造られた(旧第3=第4)。
ここが昨年の3月頃から大変貌を遂げつつある。ここから大浦湾まで250mしかないが、殆ど大浦湾を見ることができなかった。そこが、見渡す限りの樹木が根こそぎ剥がされ、丘が潰された。余りにも醜い「大浦湾展望台」になってしまった。海側にある弾薬庫を挟んで陸側(国道沿い)約800mに亘って地形が大改変されてしまった(現在進行形)。
『見渡す限り樹木が根こそぎ剥がされ』
以前はここが全部森だった。ダンプが通れる工事用道路ができ、土砂を運んでいる。(23年1月17日撮影)
眼下に鞍部があったが、ここがかなり穴埋めされ、地盤が固められた。北西側にトラックが通れる道ができ、その先に土砂を運んでいる(23年1月17日)。だが見えず。辺野古弾薬庫の再編強化の工事と思われるが、確認できない。
辺野古美謝川のつけかえ工事も始まり、陸(西)側でも森を皆伐する道路建設工事が昨年11月から始まった。この美謝川付け替え工事は辺野古ダムの下流側であり、辺野古ダム側は関係ない。こちらにも米軍施設の移設工事が予定されており、ここに着手してきたようだ。ここが自衛隊のゲートとなり、国道を挟んでこの両側に、自衛隊兵舎等が建つ可能性が高いのだ。
これからも私はウォチングを続けていく。ブログ「ヤマヒデの沖縄便り Ⅳ」で報告していく。ご注目願いたい。