【本稿は、世田谷市民運動いちの2023年No.385号(23年3月1日)に寄稿したものです。以下転載します。
「安保・3文書が出されて」➁ 嘉手納基地を巡る再編成
(1)「島々を戦場にするな!」2・26緊急集会
(◎2.26集会報告は以下)
【拡散願います】【補足】那覇に1600名が集まり平和を求めた(20230226) - ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び (goo.ne.jp)
2023年2月26日午後「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!緊急集会」が同実行委員会の主催で開催される。この動きは沖縄での新たな反戦の動きとなるだろう。
この10年の沖縄における平和を求める運動は、2013年1月28日、「建白書」を政府に提出した沖縄県議会議長・全会派、全41市町村長らの動きが、島ぐるみ会議(14年7月結成)へと突き動かし、翁長雄志知事を生み出す過程で「保革を超えた」オール沖縄会議を生み出していった。この基本合意は、オスプレイ配備反対と新基地建設反対の2点での合意となり保革を超える団結となった。
しかし、この2点での合意と、琉球諸島を巡る新たな戦争態勢に抗する運動に、齟齬があるのだ。新たに2021年末、「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」が結成されたが、学習会の域に留まってきた。今回の実行委員会は、様々な団体・個人が参加し、1000人規模の集会を目指しているが、年内に数千人から1万人を超える集会を目指すという。「命どぅ宝」が沖縄の心だとすれば、「沖縄を戦場にさせない」ことはイデオロギーを超えた地平になると、私は考えている。この新たな動きに注目し、私も可能な限り協力していきたい。
(2)嘉手納基地の変貌
2005年の「米軍再編」から始まった基地・部隊再編の動きは、翌年の「グアム再編」で明瞭になった。中国を意識した米国の陸・海・海兵・空の統合軍の部隊再編だ。嘉手納基地は極東最大の空軍基地だったが、岩国基地(山口県)が海兵隊航空機と空母艦載機の基地となり(厚木基地から岩国基地へ移駐)、機数で言えば、共に100機を超えるレベルとなった。
そして昨年11月から新たな動きが始まった。第18航空団を主力とする嘉手納基地は、その中核部隊であるF-15戦闘機部隊が米国本国に帰還し始めたのだ。12月1日までに14機が撤収し全54機を来年中に引き上げるようだ。替わって11月に最新鋭ステルス戦闘機F-22が14機飛来し、また1月25日までにF-16が12機飛来している。
まだ全体像が見えていないが、この動きは単純な機種更新ではない。①暫定配備、半年ごとのローテーション配備であり、従来通り嘉手納に駐留する固定した配備ではなく、状況に応じた対応をとりやすくしているようだ。➁来たのはF-22とF-16であり、後者は制空権を押さえる機能のみならず対地攻撃を得意とする機種である。万が一となれば、中国領土内の基地を攻め込む態勢を強化する狙いだろう。関連して空中給油機や空中警戒管制機などの変化もあるかもしれない。
米国・米軍は九州南部から琉球諸島西端の与那国島の東西ラインを第1列島線、東京から小笠原諸島、北マリアナ諸島・グアムの南北のラインを第2列島線として中国軍の侵入を抑え込み、巨大な中国領土を睨んでいる。沖縄島からグアムの距離は約2400km。主力部隊を後ろ(南東)に下げ、広範囲を見渡した作戦計画を練るのだろう。
私がこれまで繰り返し主張してきたように、米軍がバックする反面、自衛隊を前方に押しだし、琉球列島を最前線(戦場)にするのが「島嶼防衛」の肝である。(以下続く)
【嘉手納基地の動向については、今後も現場からフォローしていきます。】