2021年4月25日に行われたうるま市長選結果は、保守系の無所属新人の中村正人氏が制した。中村正人:27425票、照屋寛之:25497票(開票率98.33%)だ。投票率は55.49%と前回の60.70%を下回るなど厳しい結果となった。
この構図は、保守系の自民・公明に会派おきなわと無所属の会の推薦が加わり、企業周りを固めた中村市の勝利に繋がったようだ。対する照屋候補はオール沖縄勢力(立憲民主、社会大衆党、社民、共産、新しい風にぬふぁぶし推薦)で全力を尽くしたが、保守地盤の壁を破れなかった。
中村市は島袋市政の継承の上に、コロナ対策の強化と、沖縄高速道沖縄北インターから海中道路に繋ぐ高規格道路の建設など経済基盤の開発を押し出したことが優勢のまま当選に繋がったようだ。照屋候補は、16年前のうるま市の合併以来の課題である旧2市、2町の経済的格差の解消を訴え、また県内41市町村のうち40位の市民所得の向上を訴えたが、及ばなかった。
今後、地元の方々の総括を期待したいが、照屋陣営の訴えは、各論を超える、沖縄の未来を見据える戦略的なものにかけていた。だから主張が分かりづらく、持って回った言い方になっていた。これに対して中村候補は、国依存(従う)経済を打ち出した。この担保力は中央集権国家の中にあって、特に沖縄では根強いことは明らかだ。
玉城デニー知事は、当地が出身地であり、何度もうるま入りし、照屋候補を応援したが及ばなかったことは、来年の沖縄県知事選に大きく影響するだろう。
沖縄では経済の問題と基地の問題をリンクさせて考えなければ、沖縄の展望を見いだすことはできないはずだ。この国の政治が前のめりに米国の下請けとして対中戦争に構えだしている現在、この問題を回避した対抗政治論は、ありえない。中村候補が「命と暮らしを守る」と言っていたことへの照屋候補側からの反論も極めて弱かったように思う。もっとねちっこい選挙をやらなければ、勝てないのではないか。
また、総じて投票率が低かったことも影響しているが、このことは新たな支持層との結びつきが足りなかったことを示しているのではなかろうか。
他方、市議補選は照屋千江美候補が勝った。照屋:28197票対玉城正哉:24284(最終)で勝利をおさめたことは一縷の希望である。保守系中村正人氏による欠員をこちらが制したわけだ。「もっとつながれば もっとよくなる 支え合うまちづくり」をしっかりと地道に進めて頂きたい。新たな女性市議誕生により30名の市議の内、女性は3名となる。圧倒的男性優位の構成だが、共産党2名の女性市議とは別に子育て世代バリバリでシングルマザーという実績を活かした政治を発揮していただきたい。