朝一番の06:01に地域の放送塔からアラームが鳴った。嫌な金属音だ。いつもの訓練だとこんな時間に鳴ることはなかった。「北朝鮮がミサイルを発射した模様です。屋内に避難してください」が3回繰り返された。私は屋内に居るよ。
わたしはてっきり、弾道弾ミサイルの実験だと思っていたから、琉球諸島に係るわけがないと考えていた。航空自衛隊がPAC3の迎撃態勢を与那国島・石垣島・宮古島に配備していたが、ターゲットは人工衛星の打ち上げだったのか。人工衛星といっても軍拡競争下の偵察衛星の打ち上げであり、全く歓迎できない。そうなのだが、あたかもこの発射実験ロケットの一部が降ってくるかの「脅し」は、発射国が朝鮮民主主義共和国という敵対国だからだ。またもしも迎撃したところで、部品は落ちてくる。細かくなって広く落ちるのか、一点に落ちるのかの差であり、地上に当たる確率論となる。
「北朝鮮=怖い」という刷り込みをして、あたかも我が国は皆様を守るかの態度。7時過ぎには警報解除のアナウンスがなった。どこに何が落ちたのか、掴んだ情報を防衛省は公表すべきだろう。人々を怖がらせるだけでは、平和への道を遠ざけるだけだ。敵愾心は思わぬ所から出るものだ。否、繰り返されてきた。
この国は、かの国とまともに話し合いを継続してこなかったし、話しあう覚悟もない。朝鮮半島への日本国による植民地支配を正面から問い直してこなかったからだ。日本国の植民地支配さえなければ、南北分断はなかった。核軍拡競争もなかったし、朝鮮戦争も起きなかっただろう。安倍政権以来語られている「安全保障環境の危機」もなかったはずだ。
これは米国が仕掛けた罠に自ら飛び込んで、日本帝国による朝鮮半島の南北分断を頬被りし、軍事緊張とアジア侵略を扇動した天皇制を守り抜いたのだ。それを今更のように「安全保障環境の危機」をあおり立てる冷戦思考は、核兵器に象徴される軍拡を促進し、人々を死地に追い込んでいくだろう。
軍事力で平和は守れない。軍事力が、人々の命の営みを破壊していくことは、目に浮かぶ。現在進行形だ。全ての弾道弾ミサイル、核兵器、宇宙(偵察)衛星を必要としない世界を私は各国政府に求めたい。日本政府、米国政府、朝鮮半島南北の2つの政府、中国政府、ロシア政府。
私たちは100年以上に亘る朝鮮への差別を許さず、具体的な対話を通した解決を求めたい。こじれているから簡単ではないが、これしか解決に向かうことはできないだろう。