みなさんは、かかってきた電話を受けることをなんと言いますか?
「電話に出る・受話器を取る・電話を受ける・電話口に出る...」
私は「電話を取る」と言うことが多いです。
先日、母の携帯(ガラケー!)に電話をしたところ、いくら話しかけても「聞こえない」の応答があるのみ。
母(今年89歳)の耳が聞こえづらくなったのかと思い、実家の固定電話に掛け直すと「聞こえる」とのこと。
耳が無事だったことにホッとしつつ、ならば音量を下げるボタンを押してしまったのだと思い、ネットで取扱説明書を探し、みつけた回復方法を伝えることに。
〔画像はdocomoらくらくフォンです〕
(まずはスタジオの固定電話から実家の固定電話にかけて)
私「お母さん、受話音量を上げる方法を教えるから携帯を手元に用意してね」
母「はーい、用意したよ」
(携帯電話の押すべきボタンを説明し確認)
私「今から私の携帯から電話をかけるから、電話をとって(携帯を通話状態にして)今教えたボタンを押してね」
母「はーい」
(わたしの携帯から母の携帯にかける。固定電話越しに呼び出し音が聞こえる)
私「携帯とって〜」(携帯電話を通話状態にして〜)
母「とってるよ〜」(携帯は手に持ってるよ〜)
私「だからでてよ」(携帯電話で受けてよ)
母「出てるじゃない」(固定電話で話してるじゃない)
私「???」
(なり続く携帯の呼び出し音)
私「とりあえず、今鳴っている携帯電話の受信ボタン押してくれる?」
母「さっきのボタンじゃないの?」
(・・・)
私「今話している受話器を置いて、今鳴っているほうの携帯電話を持って、いつも私と話す時のボタンを押してくれる?」
母「あ〜、はいはい」
(無事に携帯間がつながる)
私「さっき教えたボタンを押して〜」(固定電話越しに大声で伝える)
母「あ〜聞こえる聞こえる!」
という、ちょっと笑えるやりとりが続き、なんとか母の携帯の受話音量を上げることに成功。
まあ、来年は90を迎えようとする母の年齢からしたら、こんなこともありなんと思いつつ、ふと、待てよ、これは母の身体性に起因する混乱かもしれないなと思ったりしました。
母が携帯を持つようになったのは15年ほど前。
もちろん、いまでは難なく携帯で電話を受けたりかけたりして、便利に使っています。
それでも、いまだ母にとって携帯とは、見えにくい小さなボタンを押すという操作が必要な、特殊機械なのかもしれません。
そして、母にとって長い間(それこそ人生の大部分において)、電話とは受話器を手で持ち上げて=取る、ものであり、それが身体に刻まれていることでもあるのです。
その「持ち上げる受話器のある電話」と「特殊機械である電話」、この2種類の電話を右手と左手に持った時、長年の身体性からくる混乱を横に置いておいて、外から(私から)の言葉の指示通りに動作をするのは、こちらが笑い話にするほどには簡単なことでは無かったのではないか?
そんなふうに思えたのです。
そして、ここで感じたことを、運動指導の現場に照らして考えると、ほんとそうなんだよなと、思えることが多々あります。
ある人にとって簡単に思える動作も、別な人にとっては、とても難しく混乱することだったりするものです。
それが、年齢を重ねた方の場合なおさら。
それでも、染み付いた?身体感覚からほんの少し変えて、より合理的な身体の動かしかたを身につけるようチャレンジすることは、衰えを弱め、痛みや怪我の可能性を低くし、しいては快適な生活に繋がるとても大事なこと。
そう、母にとっての携帯電話のように。
ただし、その時、新しいことへの困難を感じないよう、細やかな段階設定と急ぎすぎない配慮が必要であり、さらには、もともとの土台、つまりその人に根付いている身体性への尊重を忘れないことは、身体全体を統合させ、動きを心地よいものにするために、実はとても大切なのです。
指導の現場で、微調整しつつ機能を改善していくといった意味で、トゥイーク(tweak)といった言葉が用いられることがあります。
まずは得意なことから始めて、徐々にトゥイークすることで、いつの間にか動きが改善できているように導いていく。
クライアントが長い間をかけて手にしている身体性に新しい刺激を加えるには、状況をよく観察し、無理強いせず、うまくトゥイークできるようにしたいもの。
ここ、トレーナーとして、もっと出来るように頑張らないとな。。。。と
改めて、そんなふうに気づけた出来事でした。
お母さん、良い気づきをありがとう!
まだまだ⁉︎🤣お互い向上していこうね!
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