2020-0214-man3509
万葉短歌3509 栲衾3254
栲衾 之良山風の 寝なへども
子ろがおそきの あろこそえしも ○
3254 万葉短歌3509 ShuG506 2020-0214-man3509
□たくぶすま しらやまかぜの ねなへども
ころがおそきの あろこそえしも
〇=出典未詳。
【編者注】相聞(3455-3566、112首)の第55首。男。「難解」。
【訓注】栲衾(たくぶすま=多久夫須麻)[「楮(こうぞ)などの繊維で作った白い夜着」。15-3587多久夫須麻。下記注]。之良山(しらやま=之良夜麻)[「加賀の白山(石川県石川郡と岐阜県大野郡の境の山)か」]。おそき(於曽伎)[「頭からかぶる上着。<襲ひ着る>」]。あろこそえしも(安路許曽要志母)[「<あろ>は<ある>の東国形。<えし>は<よし>の古形」]。
【編者注-栲1】(1)樗(ちょ)に似た落葉高木。山樗(さんちょ)とも。(2)竹・柳を曲げ編みして作って物入れ。(3)たへ・たえ。梶木(かじのき)の樹皮で織った白布。転じて布全般。(用例)白栲(しろたへ)、和栲(しろたへ)、粗栲(あらたへ)。(『漢字源』参照)
【編者注-栲2】「万葉集」では、「長き」「千尋」にかかる「栲縄の」、「白」「かけ」にかかる「栲領巾の」など、すべてが枕詞として用いられている。(『精選版 日本国語大辞典』)