UN大浦のブログ

徒然なるままの手記。
大半が、山と猫様、そして妄想の徒然草。

森の中

2015-09-24 22:59:13 | 日記
 石畳に一歩、又一歩と足を掛け、登っていく。
 一つ一つがあまねく苔に覆われ、前日に降った雨が滑りやすさに拍車を掛けている。
 歩行は困難で、慎重に歩かざるを得ない、しかし足裏からは自重を支えてくれる盤石さも伝わる。
 この不安定さと確固さの矛盾は、超えるべき目標として、雄大さがありのままの形でそびえ立っているから。

 ふと、ひと息に駆け上がりたい衝動が突き抜ける。
 この欲求はシナプスの伝達速度の限界を軽く凌駕し、星の煌めきにも似た思いとなる。
 この場所を訪れた人との労いの邂逅。豊かな自然の鑑賞。そういった森での楽しさも忘れ、何かも忘れ、息の続く限り一気呵成に駆け上がりたい。


 山中につと現れた池が与えてくれる冷気は、火照った体を優しく安らげてくれ、
 動物たちの排泄物が其処彼処に散乱し、昆虫たちが命を燃やした腐葉土から感じられる暖気は、循環している自然本来の優しさを与えてくれる。


 ここは森が空で、空が森。
 水鏡が境界を融和し、静寂と喧騒が調和する。口から出ずるは、水鏡よありがとう。