UN大浦のブログ

徒然なるままの手記。
大半が、山と猫様、そして妄想の徒然草。

赤い紳士とラッセル泥棒

2016-01-17 14:48:51 | 日記
 


荒島岳(別名:大野富士)から見る景観      標高1,523m


 例年よりも積雪が遅れているとはいえ、
 福井県の大野市内ではちらほらと白い結晶が舞っています。
 「トンネルを抜けるとそこは・・・」の台詞よろしく、一つ市を跨ぐだけでガラリと変化する景観は、こちらも流石は雪国福井ならでは。
 すでに大部分が雪で覆われているため、駐車するのも一苦労でございました。当たり前ですが、スコップ必須です。

 
一瞬、横道に逸れますが、
 「当たり前」とはそもそも《共同で収穫したり、漁や狩をした時の一人当たりの取り分のこと》を言ったようです。
 頻繁に「当然」「当たり前」「常識」と連呼される事が多いですが、本来は「やったものがその労力に見合う正当な取り分を主張するため」の言葉でした。
 ある部族では、狩に参加できない・しない者にも平等で分配するルールがあるようですが、やはり権利を主張するには正当な責務を果たしてからするべきなのだと痛感されます。


 さて横道にそれるのは、口上のみで結構。
 雪山においての横道なぞ、遭難に直結しますです、はい。

 雪の重みで道に倒れこんた木々の枝が道を塞いでいる以外は歩行にはさほど影響はないため
 当初アイゼンを着用せず、一歩一歩を意識しつつ登頂を目指しておりました。
 斜面に自生する樹々の上には厚さが50cm程の雪がこんもりと積っていて、目に美しい。
 しかし大半の動物たちはすっかり冬眠してしまったのか、糞の軌跡等は見られなかった事は若干の寂しさ。

 登山開始から2時間も歩くとさすがにアイゼンなしでは歩行が困難な急斜面が連続するのでいよいよ装着しますが・・・
 しかしながら何分、わたくしゃ貧乏人の極み。ザ・庶民。えた・。不可触民の極みなので、装備が貧弱であります。
 本来ならばスノーシュー・わかん着用でないと行けないようなふかふかの新雪。
 そんな場所をアイゼンで進むため、一歩進むごとに足が腰まで埋まります。いや、胸までですか・・・
 雪からの脱出劇が一歩一歩。雪を膝で固めて上に登ろうにもその雪が全くもって固まらず。
 重量を分散する構造のわかんがあれば、20cmぐらいしか沈まないだろうな〜、嘆きながら、「こりゃあきまへんなぁ〜」と思いながらも、進んでおりましたが、
 そんな中、誰も通った形跡がないところにようよう到着。
 
 先着していた3名のお歴々も、「これはヤバイ。富山にも行ってきたが、こんなに積もってなかった。これはヤバイ。」
 と「ヤバイコール連発」しておりました。
 ベテランの方々がそのような判断ならばこれはさすがに「ヤバイ」のだろうなと再認識した私。
 さすがに今日はリタイアしときますか、と思ったのですが、
 赤いウェアを纏った方が勇敢にもトップを名乗り出てくれました。
 体全体で雪をかき分けラッセルラッセル。全く休憩することもなくラッセルラッセル。
 枝を避ける為、雪の上を時には匍匐前進しつつ、またラッセルラッセル。 

 「えっ、どんな体力しているのでしょうか?」
 さいきん、「ワンパンマン」なる理不尽な強さを誇る平熱系ヒーロー漫画にはまっている私ではありますが、
 これはヒーロー以外何者ではありません。行動食に赤豆も頂いたし、まさに紳士!


 
 紳士の力でなんとか登頂に臨むことができましたが、申し訳ない気持ちで一杯であります。
 登頂にある社もすっかり雪に覆われていますが、ベテランの方曰く、前は視認することができないぐらい埋まっていたから今回はまだマシだったかなとの事。

 装備を今一度改めて、近々また挑戦であります。次はよりスムーズに登頂したいです。