イカ

大阪で修行してた頃の話




料理長が教えてくれた




「イカというのは、長く焚くと固くなる



だからサッと焚くのがコツだ」と






で、言われた通りサッと焚いて、片栗粉で止めた
























不味いやん











今にして思えば、今の俺よりかなり年下だったんだな








聞いた知識だけで、自分が試してなかったんだろう







その料理長は、働いてた店の「社長の甥」だった










だから２０代の後半で料理長になれた






でも、料理の腕は無いのに「上に立つ」というのは大変だっただろうなぁ






ちょっと気の毒な気もする







「腹の黒い」という人じゃなかったけど





決断力がなかった・・・











食事の時間になると、決まってどっかに行く





探してるとお客さんが来る





客の料理を出してると、俺達の食べる物が冷める





その繰り返しだった








イカを見たら突然思い出した







どんなに焚いても柔らかいイカもあるし




固くなるイカでも、切り方によって柔らかくする事もできる





あの頃は、そんな事も知らなかったんだなぁ・・・・