13日に、久々に党首討論が行なわれるが、何といっても小沢一郎・民主党代表の今後の「去就」が注目される。
小沢代表自身は恐らく、秘書逮捕事件の直後、既に辞意を決意していたと思われるが、なぜ今まで引っ張ってきたか、ということ。
恐らく、岡田克也元代表が名乗りを挙げれば、党そのものはまとまったのかもしれないが、果たして選挙を有利に戦えるであろうか?
田中真紀子・衆議院議員議員が、テレビ朝日系の「スーパーモーニング」に出演した際、
「民主党はチーチーパッパの集まり。政策や理想を振りかざすだけでは、政権交代はできない!」
と言っていたが、その通りかも。
民主党員の中には、いわゆる、「小泉チルドレン」の存在を特に蔑んでいる人もいる。何の理念も政策もない人間が続々と当選している、と。というわけで、「ドブ板選挙」を嫌う人も少なくない。
しかしながら、政策や理念云々だけでは、選挙は勝てないのは言うまでもなし。かつての社会党が、労働組合ばかりに頼りすぎ、「勝てそうな」ところしか立候補してこなかった。結果、政権を取れそうなチャンスがあったにもかかわらず、結果的に自民党の、今日に至るまでの長期政権を許してしまった。そればかりか、晩年には自民党と連立する有様となり、その連立内閣では総理大臣を輩出したものの、結果的に社会党としての存在は、村山総理が辞任した時点で事実上終焉した。
自民党は、社会党同様に、民主党に対しても、党の瓦解を仕掛けてくる。当然のことながら、あらゆる揺さぶりをかけてくるわな。ひょっとすると、秘書逮捕事件についても、はたまた、「メール問題」にしても、形は違えど狙いは一緒なのかも。ま、メール問題については、前原前代表がこの責任を取ってやめているわな。
ところが、小沢一郎という人物は、もともと自民党の中枢にいて、そういった裏工作を仕掛けてきた人物であるから、自民党がどういった狙いを行なおうとしているかは、あらかたわかっている。
「大連立構想」についても、小沢代表の当初の狙いは、公明党を連立のパートナーから引き摺り下ろした上で、とりあえず民主党所属の大臣を送り込むことにあった。
だから、
「まだ、民主党に政権担当能力はない」
という発言をした。
大臣を何らかの形で送り込むことによって、官僚の動向を探れるし、また、大連立内閣なんて、長期間続くなどとは思っていないから、いずれ訪れるであろう、亀裂状態を察し、来るべき総選挙に有利に運ぶためのステップであっただろうと考えられる。しかし、若手を中心とした自身の議員連に行く手を阻まれ、大連立構想は頓挫した。
ところがである。NHKの世論調査を見る限り、何と、「自民・民主」の大連立を望む声が一番多い。
加えて恐らく、民主党単独での政権交代は、次の総選挙においてはほとんど実現不可能であろう。となると、自民党も民主党も、いずれも過半数を取れない公算が低くないから、一度は頓挫した大連立構想が実現する可能性もなくはない。
小沢一郎という人物は、もともと総理大臣という職には固執していないといわれる。おまけに、政界引退の声まで囁かれている。しかしながら、自分の描いたシナリオによって日本を動かすことに対しては異常な関心を持っている。
もし秘書逮捕事件後すぐに辞任したところで、後任では、自民党には勝てない、まさに自民党の思う壺になりかねないと思っているのであろう。だから、世論調査で「辞めろ!」の声が7割を超えるマスコミがある中で、頑として代表の座にしがみついてきた。しかしながら、自身が代表の座に居座ったままでは、民主党は選挙に勝てないということは、小沢一郎本人が一番分かっていることではなかろうか。
となると、13日に行われる党首討論の後、何らかの動きをかけてくるものと思われる。もっとも、その仕掛けが一体どのようなものなのかは、小沢一郎本人しか知り得ないことだろうが・・・