これでいいのか大手メディア 首相と会食 とまらない 社長に続き政治部長・論説委員長らも(赤旗)
安倍晋三首相と大手メディア幹部との会食が止まりません。本紙3月31日付で「大手5紙・在京TVトップ 首相と会食」と報じて以降も、4日には曽我豪・朝日新聞政治部長、小田尚・読売新聞論説委員長、田崎史郎・時事通信解説委員らが永田町の高級中国料理店で会食。翌日には、大久保好男・日本テレビ社長が東京・内幸町の帝国ホテル内の宴会場で会食しています。
会食はいずれも2時間から3時間にもおよんでいます。高級割烹(かっぽう)やフランス料理店などを舞台にした大手メディア幹部との会食は別項のとおりですが、このほかにも「報道関係者」との会食が1月10日(赤坂の日本料理店)、3月13日(赤坂の会員制クラブ)に行われています。
ある大手紙記者OBは「社長から局長・部長へ、部長からデスク・キャップへと『会食作戦』はエスカレートするかもしれない」と指摘。「こうした会合は割り勘ではないだろう。ジャーナリズムの世界では『おごってもらったら、おごり返せ』とされている。安倍首相にどう、おごり返すのだろうか」と語っています。
4日は、安倍政権が誕生して100日。「朝日」も「点検100日・安倍政権」という連載を1面トップから開始していました。その検証すべき対象と政治部長が会食・懇談しながら影響はないのか。ちなみに同日夜、日本政治に詳しい米国の政治学者は都内の講演で、安倍政権について論じつつ、「メディアも安倍政権の宣伝紙のようになっている。ひどいのは今日の『朝日』。まったく客観性がなく、安倍首相の言っていることを並べているだけだ」と述べていました。
政治の最高権力者が何の政治的意図も持たずに接触を求めるはずはありません。欧米では、メディア経営者は現職の政権トップとの接触を控えるのが不文律です。
欧米ではありえない
門奈(もんな)直樹さん(立教大学名誉教授、メディア研究者)の話 消費税増税の大キャンペーンを張る裏で時の最高権力者と会食し、自らの利権を守る新聞への軽減税率導入を図るなど、日本のメディアは異常だと思います。
英国では首相とメディア幹部が会食することはまったくない。そんなことをしたら独立性を失うからです。イラク戦争時のBBC(英国放送協会)会長は、就任以前はブレア首相(当時)と刎頸(ふんけい)の間柄でしたが、会長就任と同時に首相からのBBCへの注文を全部暴露しました。それぐらい権力に対して毅然(きぜん)としています。
欧米のメディア界にはウオッチドッグ(権力を監視する番犬)という用語があります。今の日本のメディアは、誰にでも愛嬌(あいきょう)をふりまくプードルになっています。戦前、権力との妥協の所産として「不偏不党」の用語を使って権力の補完装置になった歴史が日本にはあります。それと似た状況が出てきています。
ところで、「エスパー」こと、毎日新聞の主筆が、
『いやぁ、今年ほど、政治記者が生き生きとしている年はないですよぉ!』
とか「ほざいた」みたい。
要するに、いかに民主党政権時代が、報道の連中にとってみれば「暗黒」だったか、ということを物語っているようなもの。
とりわけ、「あの人」が政権の中枢にいないと、ラクというのか、「嬉しくて仕方ない」のだろう。
しかも、特に自民党政権の場合、とりわけ、「大マスコミ」(読朝毎日産N共時)は揃って「提灯報道」するだろ。はっきりいって、そんな姿勢を取ってるマスメディアって、世界広しといえど、日本だけ。
ま、中央競馬関連のマスコミだって、そんな匂いがするけど、要するに、政治部もそうなんだが、中央競馬にも「記者クラブ」てなものがあり、要は「持ちつ持たれつ」という関係が成り立っているため、互いに腹の痛い話は「したがらない」というわけ。
よって、例えば重要な法案の採決に至る場合、アメリカの場合だと、「何が起こるか分からない」という緊迫感めいたことはしばしあるんだが、日本の場合だと、なぜかそうしたケースはほとんどなく、必ずと言っていいほど、「賛成多数で可決される見通しです!」なんていう情報が直前になって「大マスコミ」から流れる。で、結果もやっぱりそうなっている。
ところが、あの人が民主党にいた頃の党代表選について言うならば、「大マスコミ」も予測不可能の状況を強いられ、ま、大多数の「非 大マスコミ」関係者からすれば、緊迫感というのか、ワクワクさせられたわけだが、裏を返すと、自民党の総裁選の場合は事前に大勢が判明していたにもかかわらず、民主党の場合はそうならない、ということで、大マスコミは早く民主党から政権の座を引きずり降ろしたがっていたのは確か。
だから、今はほんと、「天にも昇る思い」なのは間違いない。
しかし、こんなことを言うのはなんだが、はっきりいって、自民党が政権のかじ取りに「失敗」するようなことが今後あれば、「大マスコミ」もはっきりいって「終わる」だろう。ついでに、経済3団体の「運命」も。
というのは今、大マスコミも財界も、それこそ安倍首相の批判・悪口を一言すら言わない。そして、安倍首相の息がかかった現 日銀総裁についても諸手を挙げて「マンセー」だ。つまりは、うがった見方をするならば、日本の「大マスコミ」の報道姿勢は、あの北朝鮮と何ら変わらないのだ。
よって、仮に大マスコミに裏切られるようなことになれば、国民は大マスコミを信用しなくなるだろう。ひいては、新聞の購読者数は減少し、テレビ視聴率は低下していく。要するに、彼らは大多数の国民を「洗脳」できなければ「終わり」なのである。
これに対して、地方マスコミのほうは今、沖縄が特に顕著だが、明らかに「アンチ安倍政権」の様相を呈している。よって、日本の報道機関は、「提灯 大マスコミ」 VS 「アンチ政権 地方マスコミ」という図式となっているといえよう。
ところで、上記の記事は赤旗だが、赤旗も、日本共産党以外の政党については批判精神旺盛だが、「自分のところ」については礼賛のオンパレード。そして、今や日本共産党が掲げる政策とほとんど近くなったにもかかわらず、小沢一郎を「叩きまくる」姿勢も何ら変わっていない。
せっかくいい情報源がありながらも、赤旗の発行部数が漸減する一方なのは、明らかにこの姿勢に問題があるからだろう。