TOEIC高得点社員の英語力ギャップ なぜ?人事担当者もビックリ
産経新聞 4月8日(月)7時0分配信
楽天やユニクロが「社内公用語を英語に」しようと動くなど、日本でもグローバル化が叫ばれて久しい昨今。その影響は就職活動に励む大学生にも見受けられます。近年の就職活動において、語学力、特に「英語力」は、内定獲得に必要な要素の一つとしての認識が一般的です。そのため、本選考前までに「英語力」アップに取り組む学生が増えています。就活生の多くは、本選考前、具体的にはエントリーシート・履歴書の提出前までに「英語力」アップに取り組みます。それまでに英語力を上げておかないと、「英語力」というアピールの素材を、エントリーシート・履歴書に記載することができないからです。
では、企業は学生の「英語力」を測るために、何を基準としているのでしょうか。読者の皆さんは既にご存知かと思いますが、近年、「英語力」を測る目安となっているのは、TOEICと言われる検定試験です。この「TOEIC」と言われる検定試験は、120か国、年間約600万人以上が受験(2010年度)しており、日本でも年間227万人が受験(2011年度)している世界共通テストです。日本では、企業や官公庁、学校など、約3,300団体が採用(2011年度)しています。また、多くの企業が海外に人材を派遣する際の基準として使用していたり、昇進・昇格の要件として使用していたりするため、「英語力」判定の標準となっているテストです。
そういった背景から、企業の選考においてTOEICで高いスコアを保持していることは、就活において非常に有利と考えられています。大手電機メーカーや素材メーカーの人事担当者から聞いた話に依ると、内定者の多くは就活時点で750程度のスコア(最高点が990)を保持していると言っています。 実際に、武田薬品工業では、応募条件にTOEIC730点を基準として設けています。こういった傾向は企業全般に言えることです。しかし、入社後の実体を聞いてみると、TOEICのスコアは高いが英語でビジネスメールが書けなかったり、英語圏の外国人との会話ができなかったりするらしく、企業の人事担当者も頭を抱えているそうです。
では、TOEICのスコアが高いにも関わらず、この様なことが起きているのはなぜでしょうか。『「捨てる」英語スクール』を運営している青木百香氏に話を聞くと、「TOEICの攻略本の中には、英語が全く話せなくても満点を取る方法がある、と断言しているものもある」と言います。要するに、TOEICというテストは、ある程度の攻略方法をマスターすることで高得点が狙える試験なのです。そのため、TOEICスコアとビジネス現場で求められる「英語力」との間にギャップが生まれてしまっているのです。
企業選考の場で「英語を話す」必要がないため、採用の判断材料となるTOEIC対策にエネルギーを注がないといけないのは十分に理解できます。ただTOEICの点数だけではなく、実際に使える「英語力」を身に付けていなければ、社会人になった後で活きてきません。ですので、学生生活では机上での勉強に限らず、会話中心の授業を受講したり、留学生と交流をする場を設けたり、留学をしたりして、活きる「英語力」を身に付ける機会を自らつくってもらいたいと思います。
数年前までは履歴書やエントリーシートにTOEICのスコアを記入する欄等なかった訳ですが、今では多く企業が採用時の参考にしています。こういった傾向が続けば、TOEICのスコアだけではなく、英語会話を面接の中で試す選考が主流になる日が来るかもしれません。(「内定塾」責任者 高嶌悠人)
ところで、自民党は教育改革の一環として、TOEFLの導入を安倍首相に提言。安倍首相も経済の成長戦略に織り込む方針。
首相 党の教育提言を成長戦略に(NHK)
安倍総理大臣は、自民党の教育再生実行本部のメンバーと会談し、英語の検定試験「TOEFL」などを大学受験で活用することなどを求める、教育改革に関する党の提言を、経済の成長戦略に反映させたいという考えを示しました。
自民党の教育再生実行本部は、国際社会で活躍する人材を育成するため、英語の検定試験「TOEFL」などで、一定以上の点数をとることを大学受験の条件とすることなどを盛り込んだ、教育改革の提言をまとめました。
そして、本部長を務める遠藤元文部科学副大臣らが、総理大臣官邸を訪れ、安倍総理大臣に提出しました。
これに対し、安倍総理大臣は、「提言の内容は、人材育成を進めていくために必要なものであり、『3本の矢』の1つである経済の成長戦略に反映させたい」と述べました。
会談のあと遠藤氏は、記者会見で「『日本の教育を変えていかなければ、教育後進国になってしまう』という思いで取りまとめた。参議院選挙の政権公約にも、一部盛り込んでいきたい」と述べました。
TOEFLやTOEICは、非英語圏者の英語検定としては優れているという評価がある一方、まさしく、「受験テクニック」を駆使して高スコアが獲得できるという代物らしく、ひいては実用面で「役に立たない」というケースがあるみたいだ。
ま、英語についての話は、最近ここで述べたが、日本人の英語力が伴っていないのは案外、リーダーとライティング(コンポジション)がまともにできていないことにあるのかもしれない。
特にライティングについては、大学受験において、まともに求められていないのではないか。
ま、国公立の二次試験では英作文の出題は必ずあるが、配点のほうはどうなのか?リーダー関連の総合問題よりもうんと低いのではないか。そして、私立の場合だと、受験者数が多いので、英作文はほとんど文法問題と化しているようである。
となると、英語で表現することが求められているはずなのに、逆にそのことがなおざりにされているのである。
ということは、中学3年間はリーダーを徹底してやるとしても、高校では、1年からコンポジションの授業を叩きこんだほうがいいのではないか。
もっとも、コンポジションは文法(構文)をきちんと理解していないと書けないし、加えて、単語、イディオム(熟語)もうんと覚えなければならない。よって、最初の1年間はどうしてもグラマー(文法)をきっちりとやらねばなるまい。しかしながら、ただグラマーだけの授業というのは、それこそ批判されているわけだから、要するに、コンポジションと絡ませた授業を行わねばなるまい。
高校2、3年では徹底して英語で文章を書かせる。となると、自然と教師は英語しか使わなくなるようになる。
つまりは、こうすることによって英語はマスターできるのではないか。
TOEFLやTOEICは優れたカリキュラムなんだろうけど、日本人に合った英語カリキュラムなんだろうか?
日本人の大半は、生まれながらにして英語を使いこなせる環境で育っていない。となると、どうしても「読み書き」から入らねばならないのでないか。
近時、センター試験ではヒアリングのテストもあるみたいだけど、果たして、その効果はいかほどのものなのか?ま、TOEFL導入の話が出てくる以上、あまり効果はないと考えられる。となると、こんなテストは必要あるまい。
そして、TOEFLやTOEICを過信しすぎないほうがいいのではないか。もし過信するようなことがあると、かえって日本人は英語を使いこなせなくなるんじゃないか。
産経新聞 4月8日(月)7時0分配信
楽天やユニクロが「社内公用語を英語に」しようと動くなど、日本でもグローバル化が叫ばれて久しい昨今。その影響は就職活動に励む大学生にも見受けられます。近年の就職活動において、語学力、特に「英語力」は、内定獲得に必要な要素の一つとしての認識が一般的です。そのため、本選考前までに「英語力」アップに取り組む学生が増えています。就活生の多くは、本選考前、具体的にはエントリーシート・履歴書の提出前までに「英語力」アップに取り組みます。それまでに英語力を上げておかないと、「英語力」というアピールの素材を、エントリーシート・履歴書に記載することができないからです。
では、企業は学生の「英語力」を測るために、何を基準としているのでしょうか。読者の皆さんは既にご存知かと思いますが、近年、「英語力」を測る目安となっているのは、TOEICと言われる検定試験です。この「TOEIC」と言われる検定試験は、120か国、年間約600万人以上が受験(2010年度)しており、日本でも年間227万人が受験(2011年度)している世界共通テストです。日本では、企業や官公庁、学校など、約3,300団体が採用(2011年度)しています。また、多くの企業が海外に人材を派遣する際の基準として使用していたり、昇進・昇格の要件として使用していたりするため、「英語力」判定の標準となっているテストです。
そういった背景から、企業の選考においてTOEICで高いスコアを保持していることは、就活において非常に有利と考えられています。大手電機メーカーや素材メーカーの人事担当者から聞いた話に依ると、内定者の多くは就活時点で750程度のスコア(最高点が990)を保持していると言っています。 実際に、武田薬品工業では、応募条件にTOEIC730点を基準として設けています。こういった傾向は企業全般に言えることです。しかし、入社後の実体を聞いてみると、TOEICのスコアは高いが英語でビジネスメールが書けなかったり、英語圏の外国人との会話ができなかったりするらしく、企業の人事担当者も頭を抱えているそうです。
では、TOEICのスコアが高いにも関わらず、この様なことが起きているのはなぜでしょうか。『「捨てる」英語スクール』を運営している青木百香氏に話を聞くと、「TOEICの攻略本の中には、英語が全く話せなくても満点を取る方法がある、と断言しているものもある」と言います。要するに、TOEICというテストは、ある程度の攻略方法をマスターすることで高得点が狙える試験なのです。そのため、TOEICスコアとビジネス現場で求められる「英語力」との間にギャップが生まれてしまっているのです。
企業選考の場で「英語を話す」必要がないため、採用の判断材料となるTOEIC対策にエネルギーを注がないといけないのは十分に理解できます。ただTOEICの点数だけではなく、実際に使える「英語力」を身に付けていなければ、社会人になった後で活きてきません。ですので、学生生活では机上での勉強に限らず、会話中心の授業を受講したり、留学生と交流をする場を設けたり、留学をしたりして、活きる「英語力」を身に付ける機会を自らつくってもらいたいと思います。
数年前までは履歴書やエントリーシートにTOEICのスコアを記入する欄等なかった訳ですが、今では多く企業が採用時の参考にしています。こういった傾向が続けば、TOEICのスコアだけではなく、英語会話を面接の中で試す選考が主流になる日が来るかもしれません。(「内定塾」責任者 高嶌悠人)
ところで、自民党は教育改革の一環として、TOEFLの導入を安倍首相に提言。安倍首相も経済の成長戦略に織り込む方針。
首相 党の教育提言を成長戦略に(NHK)
安倍総理大臣は、自民党の教育再生実行本部のメンバーと会談し、英語の検定試験「TOEFL」などを大学受験で活用することなどを求める、教育改革に関する党の提言を、経済の成長戦略に反映させたいという考えを示しました。
自民党の教育再生実行本部は、国際社会で活躍する人材を育成するため、英語の検定試験「TOEFL」などで、一定以上の点数をとることを大学受験の条件とすることなどを盛り込んだ、教育改革の提言をまとめました。
そして、本部長を務める遠藤元文部科学副大臣らが、総理大臣官邸を訪れ、安倍総理大臣に提出しました。
これに対し、安倍総理大臣は、「提言の内容は、人材育成を進めていくために必要なものであり、『3本の矢』の1つである経済の成長戦略に反映させたい」と述べました。
会談のあと遠藤氏は、記者会見で「『日本の教育を変えていかなければ、教育後進国になってしまう』という思いで取りまとめた。参議院選挙の政権公約にも、一部盛り込んでいきたい」と述べました。
TOEFLやTOEICは、非英語圏者の英語検定としては優れているという評価がある一方、まさしく、「受験テクニック」を駆使して高スコアが獲得できるという代物らしく、ひいては実用面で「役に立たない」というケースがあるみたいだ。
ま、英語についての話は、最近ここで述べたが、日本人の英語力が伴っていないのは案外、リーダーとライティング(コンポジション)がまともにできていないことにあるのかもしれない。
特にライティングについては、大学受験において、まともに求められていないのではないか。
ま、国公立の二次試験では英作文の出題は必ずあるが、配点のほうはどうなのか?リーダー関連の総合問題よりもうんと低いのではないか。そして、私立の場合だと、受験者数が多いので、英作文はほとんど文法問題と化しているようである。
となると、英語で表現することが求められているはずなのに、逆にそのことがなおざりにされているのである。
ということは、中学3年間はリーダーを徹底してやるとしても、高校では、1年からコンポジションの授業を叩きこんだほうがいいのではないか。
もっとも、コンポジションは文法(構文)をきちんと理解していないと書けないし、加えて、単語、イディオム(熟語)もうんと覚えなければならない。よって、最初の1年間はどうしてもグラマー(文法)をきっちりとやらねばなるまい。しかしながら、ただグラマーだけの授業というのは、それこそ批判されているわけだから、要するに、コンポジションと絡ませた授業を行わねばなるまい。
高校2、3年では徹底して英語で文章を書かせる。となると、自然と教師は英語しか使わなくなるようになる。
つまりは、こうすることによって英語はマスターできるのではないか。
TOEFLやTOEICは優れたカリキュラムなんだろうけど、日本人に合った英語カリキュラムなんだろうか?
日本人の大半は、生まれながらにして英語を使いこなせる環境で育っていない。となると、どうしても「読み書き」から入らねばならないのでないか。
近時、センター試験ではヒアリングのテストもあるみたいだけど、果たして、その効果はいかほどのものなのか?ま、TOEFL導入の話が出てくる以上、あまり効果はないと考えられる。となると、こんなテストは必要あるまい。
そして、TOEFLやTOEICを過信しすぎないほうがいいのではないか。もし過信するようなことがあると、かえって日本人は英語を使いこなせなくなるんじゃないか。