【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(11月19日の動き) NHK 2024年11月19日 20時13分
軍事侵攻から1000日 キーウで憤りや平和な日常戻ること望む声
ウクライナでロシアによる軍事侵攻が始まってから19日で1000日となりました。
首都キーウでは、市民の犠牲が続いていることへの憤りや、一日も早く平和な日常が戻ることを望む声が聞かれました。
首都キーウ中心部の独立広場では軍事侵攻で戦死した兵士の名前が書かれた国旗などが立てられていて、訪れた人たちが、花を手向けて亡くなった兵士を追悼する姿がみられました。
息子を戦闘で亡くしたという母親は「毎日、大勢のウクライナ人が命を落としているという状況に悲しみや痛み、恐怖を感じています。世界の人たちに戦争は残酷であることを思い出してほしい。そして一刻も早い停戦を望みます」と話していました。
また30代の女性は、戦闘が続いていることについて「多くのウクライナの人たちはもう疲れていると思います」とする一方「私たちは、毎日、同じことを願ってきました。早く勝利したいのです。この願いがわたしたちに団結をもたらしています」と話していました。
ロシアはミサイルや無人機による攻撃を繰り返していて、キーウの当局はこの1000日間に首都に対し1600機を超える無人機と900発以上のミサイルによる攻撃があったとしています。
ウクライナの当局によりますと18日夜には北東部スムイ州にある教育機関の寮がロシア軍の無人機攻撃を受け、子ども1人を含む9人が死亡したということです。
ウクライナ外相 “ロシア 北朝鮮の関係強化世界秩序脅かされる”
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて1000日となるのにあわせて、国連の安全保障理事会で閣僚級の会合が開かれ、ウクライナの外相は北朝鮮の弾道ミサイルの部品だとする残骸を手に発言し、ロシアと北朝鮮の関係強化によって世界の秩序が脅かされていると訴えました。
18日に開かれた安保理の会合で、国連のディカルロ事務次長は、22年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、600人以上の子どもを含む少なくとも1万2164人の民間人が死亡し、680万人以上が国外に逃れたと報告しました。
さらに、少なくとも580の医療施設や1300か所以上の教育施設が被害を受けたなどと指摘し、「この戦争は終わらせなければならない」と呼びかけました。
また、ウクライナのシビハ外相は、ロシアと北朝鮮やイランとの関係強化について、「新たな枢軸の活動は世界秩序を脅かしている。北朝鮮軍の関与は戦争の世界的な拡散を意味する」と述べた上で、自国への攻撃に使われた北朝鮮製の短距離弾道ミサイル「KN23」の部品だとする残骸を手に市民に被害が及んでいると訴えました。
一方、ロシアのネベンジャ国連大使は、アメリカのバイデン大統領がウクライナに対し射程の長いミサイルを使用してロシア領内を攻撃することを許可したと報じられていることについて「自滅的行為だ」と反発し、「ウクライナはどのような西側の武器を与えられても敗北から逃れられない」とけん制しました。
ウクライナ外相 “ゲームチェンジャーとなる可能性” 期待示す
アメリカのバイデン大統領がウクライナに対して、ロシア領内への攻撃にアメリカが供与した射程の長いミサイルの使用を許可したと報じられていることについて、ウクライナのシビハ外相は18日、国連で記者団の取材に応じ、「簡単にいえばゲームチェンジャーとなる可能性がある」と述べ、戦況を大きく変える可能性があると期待を示しました。
その上で「ウクライナの立場は常に明確で、われわれにはロシア領内の軍事目標を攻撃する完全な権利がある。それは正当な権利であり、われわれの市民の命を救う」と述べ、ウクライナに対するインフラ攻撃などの拠点となっているロシア領内の軍事施設を攻撃することは自衛権の行使だと強調しました。
仏マクロン大統領の見解は
ウクライナがロシア領内への攻撃で射程が長いミサイルを使うことをアメリカが許可したと伝えられていることをめぐり、フランスのマクロン大統領は18日、「良い決断だ」と述べたとロイター通信が報じました。
また、マクロン大統領は、「今の状況を激化させている唯一の国がロシアだ」としたうえで「今回の決断は、北朝鮮軍がロシアとともにヨーロッパの地に進軍したという、決して過小評価できない深刻な紛争の変化によってもたらされたものと理解している」と述べたとフランスの有力紙、ル・モンドは19日、伝えました。
EU外相会議 ロシアへの「北朝鮮 イラン 中国の兵器供給に懸念」
EUは18日、ベルギーの首都ブリュッセルで外相会議を開き、ウクライナのシビハ外相もオンラインで参加してロシアによる侵攻が続くウクライナへの支援について協議しました。
会議のあとEUのボレル上級代表は記者会見を行い、冬を迎え、ロシア軍がエネルギー施設を相次いで攻撃したことを踏まえ「プーチン氏は和平交渉をする気もなく、ウクライナを征服し、服従させるという目標を達成するために戦争をエスカレートさせている」と非難しました。
その上で北朝鮮とイラン、中国の3か国を名指しし、「ロシアはこの3か国の支援がなければ、戦争を続けることができない。この3か国から兵器が供給されているという報告に懸念を抱いている」と述べました。
EUによりますと、会議ではウクライナ支援の継続を確認したということです。
一方、会議ではウクライナ支援に消極的な姿勢を示してきたアメリカのトランプ次期大統領との協力についても意見が交わされたということで、ボレル上級代表は加盟国が連携して防衛産業の基盤強化に向けて投資を増やさなければならないとの考えを示しました。
ゼレンスキー大統領 東部要衝を相次いで訪問 兵士を激励
ウクライナのゼレンスキー大統領は18日、ロシア軍が掌握をねらって攻勢を強める東部ドネツク州のポクロウシクとハルキウ州のクピヤンシクを相次いで訪問し、兵士を激励しました。
このうちクピヤンシクは、ハルキウ州の要衝で、ロシア軍が数キロまで迫り、絶え間なく砲撃を受けているとされています。
ゼレンスキー大統領はクピヤンシクと書かれた標識を背景に自らを撮影した映像を公開し、「われわれは陣地を維持している」と強調しました。
ゼレンスキー大統領としてはロシアによる軍事侵攻が始まってから19日で1000日となるのを前に、東部の要衝を相次いで訪れることで士気を高めるねらいがあるとみられます。
英国防省 “10月のロシア軍1日あたり死傷者1354人で最多”
イギリス国防省は18日、ウクライナ軍参謀本部の情報として、10月のロシア軍の1日あたりの死傷者が1354人にのぼったとSNSに投稿しました。
1日あたりの死傷者数としては最も多くなったとしています。
また、11月に入ってからの死傷者も、最初の12日間で1498人にのぼっていて、死傷者の増加傾向が続く見通しだとしています。
その背景としてウクライナ軍が越境攻撃を続けているロシア西部のクルスク州やウクライナ東部などで、犠牲をいとわないとされるロシア軍が攻勢を強めていることがあると指摘しています。
一方、アメリカ国防総省のシン副報道官は18日、ロシア側の1日あたりの死傷者についておよそ1200人との見方を示しています。
ウクライナ駐日大使 日本に復興支援の継続求める
ウクライナのコルスンスキー駐日大使は19日、都内にある日本外国特派員協会で記者会見を開きました。
この中で、コルスンスキー大使はロシア軍のミサイルや無人機による攻撃で、これまでに学校や病院などおよそ20万の建物が破壊されたと明らかにしました。
その上で「われわれは復興の時期に日本の経験を生かせるよう懸命に取り組んでいる。それが今後も続くことを願っている」と述べ、日本に対しインフラ分野をはじめとする復興支援の継続を求めました。
また、ロシアとの軍事協力を深める北朝鮮の兵士が戦闘に参加していることについては「彼らはロシア語を理解できず、意思疎通がとれていない。深刻な問題はない」と述べ、戦況への影響は限定的だとの見方を示しました。
一方で「北朝鮮が軍事技術の面でより洗練されれば、東アジアにとって直接的な脅威だ」と述べ、ロシアによる北朝鮮への見返りを注視する考えを示しました。
ロシア軍事アカデミー ピョンヤン到着 軍事交流加速ねらいか
北朝鮮の国営メディアは、ロシア軍参謀本部の軍事アカデミーの代表団が、18日首都ピョンヤンに到着したと伝えました。
包括的戦略パートナーシップ条約が両国で批准手続きを終えたこと受け、軍事交流を加速させるねらいとみられます。
北朝鮮の国営メディアは、ロシア軍参謀本部の軍事アカデミーの代表団が、きのう、ピョンヤンに到着し、キム・イルソン(金日成)軍事総合大学の幹部らが出迎えたと伝えました。
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、北朝鮮の部隊がロシアに派遣されるなど両国の軍事協力は深まっています。
今回の訪問の目的は明らかにされていませんが、有事の際の軍事的な支援などを明記した包括的戦略パートナーシップ条約が両国で批准手続きを終えたこと受け、軍事交流をさらに加速させるねらいとみられます。
また、国営メディアは、キム・ジョンウン(金正恩)総書記がピョンヤンを訪問しているロシアのコズロフ天然資源環境相ときのう、面会したと伝えました。
キム総書記は、条約によってさまざまな分野での連携が緊密になったと評価したうえで、「政府間の貿易・経済・科学技術の交流および協力を一層幅広く促進することで、両国の発展を強力に後押ししていくべきだ」と強調しました。
北朝鮮としては一連の高官などの訪問を伝えることで軍事面に加えて幅広い分野での協力が拡大しているとアピールした形です。
ユネスコ ロシア軍によるオデーサ「歴史地区」攻撃を非難
ウクライナ南部のオデーサでユネスコの世界遺産に登録された「歴史地区」が11月ロシア軍による攻撃の標的にされ被害を受けたとして、ユネスコ=国連教育科学文化機関は18日、声明を発表し、非難しました。
声明によりますと、11月14日の夜から15日にかけてロシア軍による大規模な攻撃で、ウクライナ南部のオデーサでは市の中心部にある「歴史地区」で、歴史的建造物や宗教施設などおよそ20棟の建物が被害を受けたということです。
ユネスコは、専門家をすでに現地に派遣して被害調査を行ったということで、国際的な文書のもとで保護されている文化財に対するあらゆる攻撃を停止するよう求めています。
ロシア軍はこれまでもオデーサに対して大規模な攻撃を行い、「歴史地区」にある大聖堂などに被害が出ています。
石破首相 “ウクライナで公正で永続的な平和実現の必要”
ブラジルのリオデジャネイロで開かれているG20=主要20か国の首脳会議は日本時間の19日国際機関の機構改革などをテーマに討議が行われました。
この中で、石破総理大臣は「世界は今、歴史の転換点に立っている。激動の時代に国際社会が協調するためには、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化がカギになる」と指摘しました。
その上で、ロシアによるウクライナ侵攻は、法の支配に基づく国際秩序に対する明確な挑戦だと非難し、一日も早くウクライナでの公正かつ永続的な平和を実現する必要があると訴えました。
さらに、ロシアと、核・ミサイル開発を進める北朝鮮との軍事協力がいっそう進展していることに深刻な懸念を表明しました。
林官房長官 “侵攻開始から1000日 改めて強く非難”
林官房長官は閣議のあとの記者会見で「ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがすもので、国際社会が結束して断固たる決意で対応する必要がある。侵攻開始から1000日を迎えるこの機会に改めて強く非難する」と述べました。
その上で「国連安保理の閣僚会合には藤井外務副大臣が出席してウクライナの人々に深い敬意と揺るぎない連帯を表明し、違法な侵略と民間インフラへの攻撃、ロシアと北朝鮮の間の違法な軍事協力などを最も強いことばで非難した。侵略を止め、公正かつ永続的な平和を一日も早く実現すべく国際社会と緊密に連携しながら取り組んでいく」と述べました。
軍事侵攻1000日 “長距離ミサイル使用許可”にロシア側反発
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて19日で1000日となります。
侵攻が長期化する中、アメリカのバイデン大統領がウクライナに対し、ロシア領内への攻撃にアメリカが供与した射程の長いミサイルの使用を許可したと報じられ、ロシア側は反発しています。
アメリカの複数のメディアは17日、アメリカ政府当局者の話として、バイデン大統領がウクライナに対し、すでに供与した射程の長いミサイルATACMSをロシア領内への攻撃に使用することを許可したと報じました。
ロシア西部のクルスク州で越境攻撃を続けるウクライナ軍を防衛するため、ロシア軍と北朝鮮軍の部隊に対し使用される見通しだと伝えています。
これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は18日、記者団の取材に対し「本当にそのような決定がなされ、ウクライナ側に伝えられたのならば、新たな緊張の段階に入ることになる」と述べ、反発しました。
ロシアのプーチン大統領は、ことし9月、欧米が射程の長い兵器の使用を認めれば「NATO=北大西洋条約機構の国々がロシアと戦うことを意味し、紛争の本質を変える」と発言していて、報道官の発言は、欧米を強くけん制するロシアの立場をあらためて強調した形です。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は19日で1000日と長期化していて、北朝鮮がロシアに部隊を派遣して軍事協力を進展させるなか、さらに緊張が高まる可能性があります。
米高官「アメリカは戦況に応じて政策決定と明言してきた」
アメリカのホワイトハウスで安全保障政策を担当するファイナー大統領副補佐官は18日、訪問先のブラジルでATACMSの使用の許可に関する報道について記者団の取材に応じました。
この中でファイナー副補佐官は報道の内容の確認は避けたものの「アメリカは戦況に応じて政策を決定すると明言してきた」と述べました。
そのうえで、判断のもととなる「戦況」について「ここ数日、数週間の外国兵力の自国領内への展開など、ロシアによる重大な事態の深刻化を含めてだ」と述べ、北朝鮮の兵力が投入されたことが、アメリカ側の判断に影響を与えた可能性を示唆しました。
さらに「状況が変化し、展開すれば、われわれの対応も変化していく。そして、ウクライナ人が自国の領土と主権を守り続けることができるようにしていく」と述べて、ウクライナへの支援を継続する考えを強調しました。
軍事侵攻から1000日 キーウで憤りや平和な日常戻ること望む声
ウクライナでロシアによる軍事侵攻が始まってから19日で1000日となりました。
首都キーウでは、市民の犠牲が続いていることへの憤りや、一日も早く平和な日常が戻ることを望む声が聞かれました。
首都キーウ中心部の独立広場では軍事侵攻で戦死した兵士の名前が書かれた国旗などが立てられていて、訪れた人たちが、花を手向けて亡くなった兵士を追悼する姿がみられました。
息子を戦闘で亡くしたという母親は「毎日、大勢のウクライナ人が命を落としているという状況に悲しみや痛み、恐怖を感じています。世界の人たちに戦争は残酷であることを思い出してほしい。そして一刻も早い停戦を望みます」と話していました。
また30代の女性は、戦闘が続いていることについて「多くのウクライナの人たちはもう疲れていると思います」とする一方「私たちは、毎日、同じことを願ってきました。早く勝利したいのです。この願いがわたしたちに団結をもたらしています」と話していました。
ロシアはミサイルや無人機による攻撃を繰り返していて、キーウの当局はこの1000日間に首都に対し1600機を超える無人機と900発以上のミサイルによる攻撃があったとしています。
ウクライナの当局によりますと18日夜には北東部スムイ州にある教育機関の寮がロシア軍の無人機攻撃を受け、子ども1人を含む9人が死亡したということです。
ウクライナ外相 “ロシア 北朝鮮の関係強化世界秩序脅かされる”
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて1000日となるのにあわせて、国連の安全保障理事会で閣僚級の会合が開かれ、ウクライナの外相は北朝鮮の弾道ミサイルの部品だとする残骸を手に発言し、ロシアと北朝鮮の関係強化によって世界の秩序が脅かされていると訴えました。
18日に開かれた安保理の会合で、国連のディカルロ事務次長は、22年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、600人以上の子どもを含む少なくとも1万2164人の民間人が死亡し、680万人以上が国外に逃れたと報告しました。
さらに、少なくとも580の医療施設や1300か所以上の教育施設が被害を受けたなどと指摘し、「この戦争は終わらせなければならない」と呼びかけました。
また、ウクライナのシビハ外相は、ロシアと北朝鮮やイランとの関係強化について、「新たな枢軸の活動は世界秩序を脅かしている。北朝鮮軍の関与は戦争の世界的な拡散を意味する」と述べた上で、自国への攻撃に使われた北朝鮮製の短距離弾道ミサイル「KN23」の部品だとする残骸を手に市民に被害が及んでいると訴えました。
一方、ロシアのネベンジャ国連大使は、アメリカのバイデン大統領がウクライナに対し射程の長いミサイルを使用してロシア領内を攻撃することを許可したと報じられていることについて「自滅的行為だ」と反発し、「ウクライナはどのような西側の武器を与えられても敗北から逃れられない」とけん制しました。
ウクライナ外相 “ゲームチェンジャーとなる可能性” 期待示す
アメリカのバイデン大統領がウクライナに対して、ロシア領内への攻撃にアメリカが供与した射程の長いミサイルの使用を許可したと報じられていることについて、ウクライナのシビハ外相は18日、国連で記者団の取材に応じ、「簡単にいえばゲームチェンジャーとなる可能性がある」と述べ、戦況を大きく変える可能性があると期待を示しました。
その上で「ウクライナの立場は常に明確で、われわれにはロシア領内の軍事目標を攻撃する完全な権利がある。それは正当な権利であり、われわれの市民の命を救う」と述べ、ウクライナに対するインフラ攻撃などの拠点となっているロシア領内の軍事施設を攻撃することは自衛権の行使だと強調しました。
仏マクロン大統領の見解は
ウクライナがロシア領内への攻撃で射程が長いミサイルを使うことをアメリカが許可したと伝えられていることをめぐり、フランスのマクロン大統領は18日、「良い決断だ」と述べたとロイター通信が報じました。
また、マクロン大統領は、「今の状況を激化させている唯一の国がロシアだ」としたうえで「今回の決断は、北朝鮮軍がロシアとともにヨーロッパの地に進軍したという、決して過小評価できない深刻な紛争の変化によってもたらされたものと理解している」と述べたとフランスの有力紙、ル・モンドは19日、伝えました。
EU外相会議 ロシアへの「北朝鮮 イラン 中国の兵器供給に懸念」
EUは18日、ベルギーの首都ブリュッセルで外相会議を開き、ウクライナのシビハ外相もオンラインで参加してロシアによる侵攻が続くウクライナへの支援について協議しました。
会議のあとEUのボレル上級代表は記者会見を行い、冬を迎え、ロシア軍がエネルギー施設を相次いで攻撃したことを踏まえ「プーチン氏は和平交渉をする気もなく、ウクライナを征服し、服従させるという目標を達成するために戦争をエスカレートさせている」と非難しました。
その上で北朝鮮とイラン、中国の3か国を名指しし、「ロシアはこの3か国の支援がなければ、戦争を続けることができない。この3か国から兵器が供給されているという報告に懸念を抱いている」と述べました。
EUによりますと、会議ではウクライナ支援の継続を確認したということです。
一方、会議ではウクライナ支援に消極的な姿勢を示してきたアメリカのトランプ次期大統領との協力についても意見が交わされたということで、ボレル上級代表は加盟国が連携して防衛産業の基盤強化に向けて投資を増やさなければならないとの考えを示しました。
ゼレンスキー大統領 東部要衝を相次いで訪問 兵士を激励
ウクライナのゼレンスキー大統領は18日、ロシア軍が掌握をねらって攻勢を強める東部ドネツク州のポクロウシクとハルキウ州のクピヤンシクを相次いで訪問し、兵士を激励しました。
このうちクピヤンシクは、ハルキウ州の要衝で、ロシア軍が数キロまで迫り、絶え間なく砲撃を受けているとされています。
ゼレンスキー大統領はクピヤンシクと書かれた標識を背景に自らを撮影した映像を公開し、「われわれは陣地を維持している」と強調しました。
ゼレンスキー大統領としてはロシアによる軍事侵攻が始まってから19日で1000日となるのを前に、東部の要衝を相次いで訪れることで士気を高めるねらいがあるとみられます。
英国防省 “10月のロシア軍1日あたり死傷者1354人で最多”
イギリス国防省は18日、ウクライナ軍参謀本部の情報として、10月のロシア軍の1日あたりの死傷者が1354人にのぼったとSNSに投稿しました。
1日あたりの死傷者数としては最も多くなったとしています。
また、11月に入ってからの死傷者も、最初の12日間で1498人にのぼっていて、死傷者の増加傾向が続く見通しだとしています。
その背景としてウクライナ軍が越境攻撃を続けているロシア西部のクルスク州やウクライナ東部などで、犠牲をいとわないとされるロシア軍が攻勢を強めていることがあると指摘しています。
一方、アメリカ国防総省のシン副報道官は18日、ロシア側の1日あたりの死傷者についておよそ1200人との見方を示しています。
ウクライナ駐日大使 日本に復興支援の継続求める
ウクライナのコルスンスキー駐日大使は19日、都内にある日本外国特派員協会で記者会見を開きました。
この中で、コルスンスキー大使はロシア軍のミサイルや無人機による攻撃で、これまでに学校や病院などおよそ20万の建物が破壊されたと明らかにしました。
その上で「われわれは復興の時期に日本の経験を生かせるよう懸命に取り組んでいる。それが今後も続くことを願っている」と述べ、日本に対しインフラ分野をはじめとする復興支援の継続を求めました。
また、ロシアとの軍事協力を深める北朝鮮の兵士が戦闘に参加していることについては「彼らはロシア語を理解できず、意思疎通がとれていない。深刻な問題はない」と述べ、戦況への影響は限定的だとの見方を示しました。
一方で「北朝鮮が軍事技術の面でより洗練されれば、東アジアにとって直接的な脅威だ」と述べ、ロシアによる北朝鮮への見返りを注視する考えを示しました。
ロシア軍事アカデミー ピョンヤン到着 軍事交流加速ねらいか
北朝鮮の国営メディアは、ロシア軍参謀本部の軍事アカデミーの代表団が、18日首都ピョンヤンに到着したと伝えました。
包括的戦略パートナーシップ条約が両国で批准手続きを終えたこと受け、軍事交流を加速させるねらいとみられます。
北朝鮮の国営メディアは、ロシア軍参謀本部の軍事アカデミーの代表団が、きのう、ピョンヤンに到着し、キム・イルソン(金日成)軍事総合大学の幹部らが出迎えたと伝えました。
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、北朝鮮の部隊がロシアに派遣されるなど両国の軍事協力は深まっています。
今回の訪問の目的は明らかにされていませんが、有事の際の軍事的な支援などを明記した包括的戦略パートナーシップ条約が両国で批准手続きを終えたこと受け、軍事交流をさらに加速させるねらいとみられます。
また、国営メディアは、キム・ジョンウン(金正恩)総書記がピョンヤンを訪問しているロシアのコズロフ天然資源環境相ときのう、面会したと伝えました。
キム総書記は、条約によってさまざまな分野での連携が緊密になったと評価したうえで、「政府間の貿易・経済・科学技術の交流および協力を一層幅広く促進することで、両国の発展を強力に後押ししていくべきだ」と強調しました。
北朝鮮としては一連の高官などの訪問を伝えることで軍事面に加えて幅広い分野での協力が拡大しているとアピールした形です。
ユネスコ ロシア軍によるオデーサ「歴史地区」攻撃を非難
ウクライナ南部のオデーサでユネスコの世界遺産に登録された「歴史地区」が11月ロシア軍による攻撃の標的にされ被害を受けたとして、ユネスコ=国連教育科学文化機関は18日、声明を発表し、非難しました。
声明によりますと、11月14日の夜から15日にかけてロシア軍による大規模な攻撃で、ウクライナ南部のオデーサでは市の中心部にある「歴史地区」で、歴史的建造物や宗教施設などおよそ20棟の建物が被害を受けたということです。
ユネスコは、専門家をすでに現地に派遣して被害調査を行ったということで、国際的な文書のもとで保護されている文化財に対するあらゆる攻撃を停止するよう求めています。
ロシア軍はこれまでもオデーサに対して大規模な攻撃を行い、「歴史地区」にある大聖堂などに被害が出ています。
石破首相 “ウクライナで公正で永続的な平和実現の必要”
ブラジルのリオデジャネイロで開かれているG20=主要20か国の首脳会議は日本時間の19日国際機関の機構改革などをテーマに討議が行われました。
この中で、石破総理大臣は「世界は今、歴史の転換点に立っている。激動の時代に国際社会が協調するためには、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化がカギになる」と指摘しました。
その上で、ロシアによるウクライナ侵攻は、法の支配に基づく国際秩序に対する明確な挑戦だと非難し、一日も早くウクライナでの公正かつ永続的な平和を実現する必要があると訴えました。
さらに、ロシアと、核・ミサイル開発を進める北朝鮮との軍事協力がいっそう進展していることに深刻な懸念を表明しました。
林官房長官 “侵攻開始から1000日 改めて強く非難”
林官房長官は閣議のあとの記者会見で「ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがすもので、国際社会が結束して断固たる決意で対応する必要がある。侵攻開始から1000日を迎えるこの機会に改めて強く非難する」と述べました。
その上で「国連安保理の閣僚会合には藤井外務副大臣が出席してウクライナの人々に深い敬意と揺るぎない連帯を表明し、違法な侵略と民間インフラへの攻撃、ロシアと北朝鮮の間の違法な軍事協力などを最も強いことばで非難した。侵略を止め、公正かつ永続的な平和を一日も早く実現すべく国際社会と緊密に連携しながら取り組んでいく」と述べました。
軍事侵攻1000日 “長距離ミサイル使用許可”にロシア側反発
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて19日で1000日となります。
侵攻が長期化する中、アメリカのバイデン大統領がウクライナに対し、ロシア領内への攻撃にアメリカが供与した射程の長いミサイルの使用を許可したと報じられ、ロシア側は反発しています。
アメリカの複数のメディアは17日、アメリカ政府当局者の話として、バイデン大統領がウクライナに対し、すでに供与した射程の長いミサイルATACMSをロシア領内への攻撃に使用することを許可したと報じました。
ロシア西部のクルスク州で越境攻撃を続けるウクライナ軍を防衛するため、ロシア軍と北朝鮮軍の部隊に対し使用される見通しだと伝えています。
これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は18日、記者団の取材に対し「本当にそのような決定がなされ、ウクライナ側に伝えられたのならば、新たな緊張の段階に入ることになる」と述べ、反発しました。
ロシアのプーチン大統領は、ことし9月、欧米が射程の長い兵器の使用を認めれば「NATO=北大西洋条約機構の国々がロシアと戦うことを意味し、紛争の本質を変える」と発言していて、報道官の発言は、欧米を強くけん制するロシアの立場をあらためて強調した形です。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は19日で1000日と長期化していて、北朝鮮がロシアに部隊を派遣して軍事協力を進展させるなか、さらに緊張が高まる可能性があります。
米高官「アメリカは戦況に応じて政策決定と明言してきた」
アメリカのホワイトハウスで安全保障政策を担当するファイナー大統領副補佐官は18日、訪問先のブラジルでATACMSの使用の許可に関する報道について記者団の取材に応じました。
この中でファイナー副補佐官は報道の内容の確認は避けたものの「アメリカは戦況に応じて政策を決定すると明言してきた」と述べました。
そのうえで、判断のもととなる「戦況」について「ここ数日、数週間の外国兵力の自国領内への展開など、ロシアによる重大な事態の深刻化を含めてだ」と述べ、北朝鮮の兵力が投入されたことが、アメリカ側の判断に影響を与えた可能性を示唆しました。
さらに「状況が変化し、展開すれば、われわれの対応も変化していく。そして、ウクライナ人が自国の領土と主権を守り続けることができるようにしていく」と述べて、ウクライナへの支援を継続する考えを強調しました。