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15日、阪神競馬場ではNHKマイルC(G1)の前哨戦、アーリントンC(G3)が行われる。昨年は1番人気のダノンスコーピオンが勝利。次走も勝って3歳マイル王の座に就いた。今年はダノンスコーピオンに続く馬が現れるのか、早速展望していこう。
実績面で頭一つ抜けているのは、昨年秋の京王杯2歳S(G2)を勝ったディスクリートキャット産駒のオオバンブルマイ(牡3歳、栗東・吉村圭司厩舎)だ。
近親にはいずれもスプリント重賞を2勝以上しているブランボヌールとビアンフェがいるスピード血統で、昨年9月の中京芝1400mでデビューするとあっさりこれを勝利。続く京王杯2歳Sは直線で前が詰まる場面もあったが、進路を確保してから鋭く加速して2連勝を飾った。
しかし、3連勝を懸けて臨んだ朝日杯FS(G1)はスタートでまさかの出遅れ。好位からの競馬で2連勝をマークし、血統的にも距離不安がある中だっただけに、初の1600m戦では致命的な不利となってしまった。
それでも道中では終始後方3~4番手で脚を溜めると、メンバー中3位の上がり3ハロン35秒5の末脚を使って7着まで追い上げた。前走の内容から好位さえ取れれば、マイル戦でも力は上位のはずだ。
そんなオオバンブルマイと新コンビを結成するのは、先日の大阪杯(G1)をジャックドールで制しますます存在感を示している武豊騎手。アーリントンCは過去にタニノギムレットなどで6勝を挙げている好相性のレースだが、昨年はデュガとのコンビで17着にブービー負けを喫している。今年はオオバンブルマイとのコンビで1年前の屈辱を晴らしたい。
朝日杯FSでオオバンブルマイの手綱を取っていたC.ルメール騎手。今回はゴドルフィンが所有する英国生まれハバナグレイ産駒のヤクシマ(牡3歳、栗東・寺島良厩舎)と2度目のコンビで距離の壁に挑む。
ヤクシマは昨年7月に小倉芝1200mでデビューしたように両親から受け継いだスピードが最大の武器。初戦を快勝すると、2戦目以降は1200~1400mの距離を使われ4連敗を喫した。ただし京王杯2歳Sで5着に入るなど、掲示板を外すことは一度もなく、常に上位争いを演じている。
2勝目を挙げたのは前走のクロッカスS(L)。ルメール騎手との初コンビで2番手から抜け出して1400mで初勝利。レース後には鞍上が「今日はリステッドを勝ちましたが、重賞でも足りると思います」と、もう一つ上のレベルでも通用すると自信のコメントを残している。
デビュー7戦目にして自身初のマイル戦となるヤクシマ。再び距離の壁を破ってNHKマイルCへ進むことができるか。
距離不安が残るオオバンブルマイとヤクシマに対して、ナヴォーナ(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)は血統的にも直線の長いマイルがベスト条件だろう。
父はロードカナロア、母がセリエンホルデなので、半兄が21年のNHKマイルCを勝ったシュネルマイスターという良血馬だ。体質的な弱さから、デビューは2月の東京3歳新馬と遅かった。
血統背景もあって1番人気に推された一戦は序盤の行きっぷりは今一つだった。ところが中団後方のまま4角を迎えると、直線で大外を鋭伸。ラスト3ハロンが「11.4 – 11.4 – 11.2」と減速しないレースラップだったにもかかわらず、次位の馬より0秒9も速い上がり33秒2の末脚で悠々と差し切った。
管理する矢作師が「今の状態で勝てたのは大きい」と話せば、鞍上を務めた坂井瑠星騎手も「まだまだ緩いところがありますがそれでいてこれだけの脚を使ってくれました」と成長途上での完勝劇にニンマリ。出走には抽選突破が条件となりそうだが、ゲートインを果たせば間違いなく主役に推されるだろう。
自身が最も得意としたマイル戦に産駒2頭を送り込むのは新種牡馬のグレーターロンドンだ。数少ない産駒の中からはロンドンプランという小倉2歳S(G3)ウイナーをすでに輩出しているが、マイル戦で2頭目の重賞ウイナーが出るかに注目が集まる。
1頭目の産駒は前走のエルフィンS(L)を逃げ切り、通算成績を4戦2勝としたユリーシャ(牝3歳、栗東・中村直也厩舎)。これまで松山弘平騎手を背にマイル戦で逃げたときは2戦2勝と負けていない。今回も逃げの手を打てれば面白い。
2頭目はキョウエイブリッサ(牡3歳、美浦・武市康男厩舎)。近2走は期待を裏切っているが、3走前の朝日杯FSで16番人気ながら4着に激走しており、阪神のマイル戦なら巻き返してもおかしくはないだろう。
この他には、デビュー4戦目で勝ち上がり、昇級初戦のシンザン記念(G3)でライトクオンタムの3着に入ったリアルスティール産駒のトーホウガレオン(牡3歳、栗東・石坂公一厩舎)、昨秋のデイリー杯2歳S(G2)で0秒3差の3着に好走し、前走の3歳1勝クラスを順当勝ちしたマインドユアビスケッツ産駒のショーモン(牡3歳、栗東・橋口慎介厩舎)、ダートの新馬戦、芝の3歳1勝クラスで2連勝を飾ったキタサンブラック産駒のタガノシャーンス(牝3歳、栗東・中尾秀正厩舎)などが出走を予定している。
※NZTのあの馬があっさり沈んだ流れが続くかも?