百姓通信

自然と素直に向き合い、全身で風を感じて私は百姓しています。
①土づくり②循環型③無農薬・無化学肥料④永続性を大切に!

種をとる

2015-07-05 22:12:59 | Weblog
昔はあたりまえのような行為だっただろうが、今はほとんどが行わなくなった。
現代の農業では、種をとる、所謂「自家採種」という行為を行なっている百姓はごくごく限られている。
理由は“効率”が悪いからという一言で済ませることができる訳だが、効率の話をすると“農業”自身が効率的でない産業で、戦後の高度成長期に大量生産大量消費の中では人口の急増を支えるべく慣行農法で化学肥料と農薬を多投することでさも効率を追求したかのように他者からはみえたが、投入コストと売上高の差額、つまり粗利は想像以上に少なくあまり農業者を潤すことはなかった。
つまりいつまで経っても“水呑み百姓”は“水呑み百姓”のままで何か常に誰かに搾取される立場にあった。
農業の工業化も可能なことは可能だが、そこには知恵や工夫が必要だしイノベーションが不可欠になる。これは中小企業の経営者にも同じことが言え、絶えず時代の流れを見つめ新たなステージを模索していないと市場のニーズに沿って事業を行っているだけではいずれ淘汰されてしまう。
大規模農業を政府は推進するが、補助金まみれの大規模農業は成立するかもしれないが、小さな規模では、まして補助金がなくては難しい。
しかし大量生産大量消費の成長モデルも終焉を迎え、これからはいよいよ必要になるのは小さな規模のイノベーション型の農業なのではないだろうか。それは農業の六次化というよりもひと工夫した農業、例えば“自家採種”の野菜の販売を行なうなど付加価値を如何につけるかについてよく考えることから始めた方が良さそうだ。
そう考えると以前の各地で行われていた伝統的な農業の中にヒントが隠されているのではないだろうか。