百姓通信

自然と素直に向き合い、全身で風を感じて私は百姓しています。
①土づくり②循環型③無農薬・無化学肥料④永続性を大切に!

楽観社会

2018-06-14 19:56:54 | Weblog
「楽観主義者の未来予測」(早川書房)でピーター・H・ディアマンディス氏は「生活の質は過去100年で、それ以前よりも大きく改善していることがわかる。そう考えれば、進歩を突然断絶させる、心の痛む出来事はこの先もたくさんありそうだが、(略)それ以上に世界全体の生活水準はこれからも向上し続けるだろう」と述べている。
マルサスが『人口論』を書いて200年余の時が経過し、マルサスの危惧していた「人口増加が食糧不足を生み、貧困な社会を招く」という事態には世界全体(一部では貧困課題はあるものの)は陥ってはいない。
それはその後、今から1世紀程前に、あの「空気からパンを作り出す秘法」をハーバーとブッシュが発明したからであり、その事実を捉えてディアマンディス氏は「テクノロジーのレンズを通して見れば、本当に希少な資源となるものはほとんどない」(前書掲載)とも述べている。
ほんとうに私たちは『生活の質』の改善をみたのか?『生活の質』の改善は私たちに幸せをもたらしたのか?
ディアマンディス氏は「現在では、アメリカで最も貧しい人々でさえ、電話、テレビ、水洗トイレという、20世紀初めには、最も裕福な人々でさえ想像もできなかったような三つのぜいたく品を使っている」(前書掲載)というが、『質の改善』は私たちに『幸せ』をもたらしてくれたのか?『幸せ』とは物資に支えられたものではなく、もっと心の豊かさにあるのではないのか?
収入は生活維持のためにはある程度必要だが、生活満足度は上がってもある程度以上になると幸福度の向上はなくなると言われている。
経済学者のロバート・フランクは周囲との比較で満足を得るものを「地位財」といい、他人との相対比較とは関係なく幸せが得られるものを「非地位財」と整理した。
前野隆司教授(慶応大学)は「非地位財(健康、自由、愛情)にヒントがある」と考えいている。そろそろ私たちも「非地域財」の充実に『生活の質』の向上を見つけるべき時代に入っているということに気づくべきだ。